変形性膝関節症(膝OA)を克服しよう!! 膝関節を知ろう 膝関節の構造  大阪市東住吉区南田辺 おくだ鍼灸整骨院

治療院名

 変形性膝関節症を克服しよう!!
 膝関節の構造を知ろう!!
 膝関節の基本的構造
 膝関節の構造の特長
 <1>膝関節の関節面は?
 <2>膝関節面の運動は?
<3>膝関節を支持する靭帯
 <4>膝関節を安定さす筋肉
<5>膝関節伸展機構
膝蓋骨ー大腿四頭筋
<6>膝の関節腔 


 変形性膝関節症(膝OA)の克服
 変形性膝関節症(膝OA)と
膝の人工関節全置換術について
 はじめに
変形性膝関節症(膝OA)で
知っておいてほしいこと
なぜ?膝の人工関節全置換術が
増加しているのか?
 膝の人工関節全置換術は万能か?
膝の人工関節全置換術の
早期手術実施について
 


 変形性膝関節症を克服する
はじめに
 ロコモーションチェックの実施
疼痛を鎮静化させる 
 膝関節周囲の浸出液を
減少・消失させる。
 関節水腫および滑液包と
関節穿刺
 膝関節が十分伸展できますか?
 内側広筋に注意しよう!!
 姿勢(円背)に注意しよう!!


 変形性膝関節症を克服しよう!!
  変形性膝関節症(膝OA)を
      克服するポイント
ポイント1
消失、減少した軟骨を目標にしない
 ポイント2
関節穿刺について
関節穿刺後確認すべき点
ポイント3 
関節穿刺後スグ実施すべき事
 ポイント4
膝関節の疼痛を理解し、変化を知る
 ポイント5
組織内圧を減圧させよう
 ポイント6
筋・筋膜の機能異常に対応する
 ポイント7
神経系の機能に対応する
 ポイント8
運動療法を実施する
 ポイント9
効果的にトレーニングを行う
 ポイント10
良い姿勢を作るため 歩こう!!
ポイント11 
変形性膝関節症を克服する。
最後のポイント


変形性膝関節症(膝OA)を克服しよう!!

                  膝関節の基本構造・特徴を知ろう!!



                            はじめに



変形性膝関節症(膝OA)を克服するためにこれは知っておくべきことを述べていきます。

最初は膝関節の基本的な構造からはいり、膝関節の特長を説明していきます。

治療の基本となるべき事も多いので、ぜひよくお読みください。




膝関節の基本的構造


身体のなかの最大の関節であります。

全体重という大きな荷重に耐えているために荷重関節と呼ばれています。


膝関節は2体系の結合した複合関節です。

 ○大腿脛骨関節

   大腿骨の内側顆・外側顆と脛骨の内側顆・外側顆で構成されます。

   大腿骨と脛骨ともに二つの顆を持っている双顆状の関節になっています。

 ○膝蓋大腿関節


  大腿骨と膝蓋骨で構成され、膝の伸展機構に関係を持っています。

この2体系はおなじ関節包内で関節包・滑膜に囲まれています。

膝関節と呼ぶのは、通常この2体系を示しています。

つまり膝関節は3つの骨で構成された複関節であり、

大腿脛骨関節と 膝蓋大腿関節という二つ関節に体系づけられた複合関節です。

ただし、

大腿骨は脛骨と膝蓋骨の両方に面していますが、脛骨は膝蓋骨とは面していません。


みなさんが、膝関節を想像されているのは主に大腿脛骨関節でしょう。


股関節は、大腿骨と寛骨臼と二つの関節頭と関節窩で構成される単関節であり

球関節と呼ばれています。

膝関節は、股関節に比較しても非常に複雑な関節だという事が理解できます。


次回からは膝関節の構造における様々な特長を述べていきます。

この特徴を知ることは非常に大切です。

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膝関節の特長

1>膝関節の関節面は?

膝関節の関節面は、非常に不利な条件で働いています。


膝関節は可動性の滑膜性の関節です。→関節の基本構造


○大腿脛骨関節

膝関節を構成する関節面(凸面と凹面)である、

大腿骨と脛骨の関節面の骨の形態は、きわめて非適合な関節なのです。


膝関節の関節頭(凸面)に相当する大腿骨は一つの凸面ではありません。

二つの凸面を持っているのです。


凸面である大腿骨について、

 大腿骨は、内側顆と外側顆二つの凸面を持っているのです。

 内側顆・外側顆部の前後の彎曲は円形ではなく、らせん形となっています。

 外側顆半径は内側顆半径より前方から後方にいくにしたがって減少しています。

 その大腿骨の内側顆と外側顆の中間はへこんでおります。


凹面である頸骨について

 関節面にである頸骨にも内側顆、外側顆にも関節窩を持つのは持っているのですが、

 残念なことに脛骨の内側顆、外側顆は凹面ではなく、ほぼ平面なのです。

 しかも頸骨上関節面は内側と外側では異なった状態なのです。

 特に外側頸骨上関節は、前額面では凹状なのですが、矢状面では平坦か、
 わずかに凸状となっています。
 この形態は、大腿外顆の前後の動きをかなり自由にする役目を持つ事になる。


関節面の状態は関節の関節頭の凸、面関節窩は凹面という関節の状態からは

程遠いのです。


膝関節は、解剖学的には球関節が変化した顆上関節であり、しかも加えて

二つの顆をもっているので双顆状の関節になっているのです。

通常の顆状関節は2軸性の屈曲と伸展しか行えません。

この双顆状の関節は一平面上の運動とわずかな回旋運動を行います。

そして、関節面は二つの凸面と二つの凹面ではなく

二つの凸面と二つの平面という極めていびつな形状で不適合な関節です。


この膝関節を形成する両関節面の不適合を補うために、

脛骨の上面に線維軟骨でできた内側半月、外側半月が乗ることにより、

ようやく浅い皿のようになって凹面をつくり関節の体裁を構成しているのです。


また関節包の滑膜ヒダも関節半月と同じように、

関節面の適合性を増すために役立っています。


このように、

大腿脛骨関節は、2個の構成単位、つまり2個のコンパーメントが存在します。

内側コンパーメントは、大腿内側顆と脛骨内側顆上関節面の間の関節面(硝子軟骨面)

外側コンパーメントは、大腿外側顆と脛骨外側顆上関節面の間の関節面(硝子軟骨面)

極めて非適合な関節面を構成しています。

二つのコンパーメントにおいて、

関節表面(硝子軟骨)の間に線維軟骨である内側半月板、外側半月板が介在する。

硝子軟骨と線維軟骨は同じ軟骨でも少し違います。→硝子軟骨と線維軟骨の相違


次に

○膝蓋大腿関節

関節面は、

大腿骨の遠位骨端の前面にある膝蓋面と膝蓋骨の後面と関節を構成しています。

関節面を作る膝蓋面は内側顆および外側顆が会合して生じるので双顆状です。

一方の膝蓋骨の後面はほぼ扁平な形をしているのですが、

膝蓋面の内側面はやや狭い面、外側面は広い面とに分けられています。

やはり不安定な関節なのです。


後に述べますが、膝蓋骨は本来は大腿四頭筋の腱中に発生した種子骨です。

したがってこの関節の役目は主に膝関節の伸展機構にかかわっています。

これは、少し記憶しておいてください。



股関節は、単関節であり、

関節頭と球の一部の形で、関節窩もそれに応じた丸い窪みである球関節であり、

しかも、

関節窩が深く関節頭の半分以上はまり込む臼状関節であり、極めて安定しています。


膝関節は、(大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節ともに)

膝関節を構成する関節面の形態が非適合性を持った関節であり、その結果、

膝関節は非常に不利な条件で働いている関節であるという事実を理解してください。


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膝関節の特長

<2>膝関節の関節面の運動は?

膝関節の関節としての動きは、屈曲ー伸展、内旋ー外旋の組み合わせです・・・・・が、

関節面での動きは、非常に複雑です。


膝関節の関節面は非常に複雑であり不利な条件で働く。(前回に説明)

このことにより自然と膝関節の関節面の運動様式は複雑になってしまいます。


1、大腿内側顆・外側顆の前方の彎曲は小さいく、後方の彎曲は大きい。

この関節面の構造は、膝関節の前後の動き(屈曲ー伸展)は非常に大きく動きます。

 膝関節を屈曲すると、

  膝関節の屈曲は最初は転がりによって後方に動き始めます。

  そのままだと、大腿骨は脛骨の後方で外れて落ちてしまいます。

  純粋な転がりは短く、屈曲の10〜20度で、その後は滑りに移り、屈曲が終了する。

  純粋な転がり運動→徐々に滑走運動が加わり→純粋な滑走運動。です。

 膝関節の伸展は、この逆になります。


2、大腿骨内側顆は外側顆よりも彎曲が大きい。

この関節面の構造は、屈曲ー伸展に伴い自動的に回旋する機能をもつ。

 膝関節の屈曲時は、

  最初に大腿骨内側顆・外側顆は脛骨上で回転し、次に滑る動作になります。

  伸展時はその反対で、最初に滑走して、次に回転する。


3、、脛骨顆も左右対称ではありません。

 脛骨顆は横状に凹面状でありますが、外側顆は前後がわずかに凸状

 内側顆は前後ともに凹状である。

その結果、外側顆は内側顆よりも回転度が増す。

屈曲すると大腿骨外側顆は内側顆よりも後方に回転し、外方に向く。


4、、膝の屈曲は下腿の内旋を自動的に伴う事になります。

 これは上記の2,3のためです。

  これは実際に簡単に観察することができます。

  膝伸展位では、前足部は外方を向きます。

  屈曲位においては、前足部は前方を向く結果になります。


次に、大腿骨と脛骨との間に介在する半月板の動きは?

○膝関節屈曲時、半月板は、後方に動く。
 
  大腿骨顆が直接後方に押し出す。
  半腱様筋と膝窩筋腱、内側側副靭帯が後方に引く。

○膝関節伸展時、半月板は、前方に動く
 
   大腿骨顆が直接前方に押し出す。
   膝蓋骨が上方に移動するために半月膝蓋靭帯が前方に動く。

○屈曲ー伸展時半月板の半月体部周辺は横滑りします。

○膝関節の回旋時、同側の半月板が大腿外側顆に圧迫を受けて前方に動く。

   下腿の内旋により、内側半月板は前進し、外側半月板は後進する。

   下腿の外旋により、外側半月板は前進し、内側半月板は後進する。

   外側半月は内側半月より自由な動きを持っています。


以上のように膝関節の関節面は非常に複雑な動きを伴う事になります。


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膝関節の特長

<3> 膝関節は靭帯支持性の関節である。


膝関節は靭帯によって、支持性を確保することができます。


膝関節は人体最大の荷重関節である。

膝関節の関節面は非常に複雑であり不利な条件で働く。

膝関節の関節面の運動様式は複雑になってしまいます。

そのために膝関節の靭帯は、大きな役目を持つ必要があります。

 1、生理的な関節の運動を正しく誘導する誘導機能。

 2、生理的な骨の動揺や限度を超えた異常な方向への関節運動を阻止する抑制機能

これらの運動時には、膝関節を支持するには靭帯が支持に大きく関与します。
              (靭帯の役目など→ 靭帯を参照してください。)


膝関節には、関節包の内・外からこれを守ってくれている靭帯が存在します。


つまり膝関節は、靭帯支持性の関節でという特長を持っています。

これは非常に大きなポイントです。      


○膝関節に存在する主な靭帯

膝関節には関節包から分離している副靭帯と

関節包からは分離できない関節包靭帯が存在しています。


(1)膝関節の副靭帯

 副靭帯には関節腔外に存在する関節包外靭帯と

 関節包内に存在する関節包内靭帯の2種類が存在しています。

 関節包内靭帯としては、膝の前十字靭帯と後十字靭帯が存在します。

 関節包外靭帯としては、外側側副靭帯と内側側副靭帯が存在します。

 皆さんが良くご存じなのがこの4種類の靭帯です。


○二つの側面側副靭帯は側方の安定・支持性を確保するために存在しています。

 膝関節は、生理的な外反のために、内側の関節歴劇が離開されやすいために、

 内側の靭帯機構がこれを支えなければならないため、外側側副靭帯よりも、

 内側の側副靭帯は広い範囲で存在し、遥かに強力で、屈曲位でも弛緩しない。

  外側側副靭帯:大腿骨の外側上顆から、外側半月の外側縁、腓骨頭の先端および
        外側面につく。
        約30%は膝窩筋腱と関係を持ち、起始部あるいは経過を膝窩筋腱とともにする

  内側側副靭帯:大腿骨の内側上顆から、脛骨の内側顆および内側半月内側縁につく

膝関節のは内・外の側副靭帯により転がり、滑走運動に対して側方面は安定するのですが、

この側副靭帯のみでは前後方向が安定・支持できないのです。


○膝関節の前後の安定・支持性のために、二つの十字靭帯が存在しています。

  前十字靭帯は、大腿骨外側顆が後退するのを抑制します。

  前十字靭帯(ACL):脛骨の前顆間区の内側部の非関節面よりおこり、上外後方を走り、
          大腿骨の外側顆の内面後部に付着する。
          起始が脛骨の前方からおこっているので前十字靭帯という名称です。

  後十字靭帯は、大腿内側顆部の前進を抑制します。

  後十字靭帯(PCL):脛骨の後顆間区の外側部からおこり、外側半月から線維を
          受けながら前上内側方にのぼり、前十字靭帯の後側を通って
          大腿内側顆の内面前部につく。 ACLの約2倍の強度をもつ

 ※膝関節が屈曲ー伸展するには、十字靭帯はこのように交叉する必要があります。

正常の膝関節においては、いかなる屈曲の角度においても、前方、後方の引き出し運動は

認められません。(膝の動揺性のテスト

非常に理解しずらいでしょうが、臨床的には十字靭帯は膝関節の屈曲位、伸展位の

いずれの肢位においても、緊張しています。

このように膝関節の運動は、副靭帯によって正常な運動が可能になるのです。

確認は→膝関節の運動制限、運動方向の制限


さらに膝関節の安定・支持性を高める為に靭帯が存在しています。それが、

(2)膝関節の関節包靭帯

大腿骨と脛骨を囲んでいる関節包と分離できない靭帯が存在しています。

膝関節を補強する靭帯ですあり、やはり膝関節の安定化に役立ちます。

 斜膝窩靭帯:関節包の後面を補強しています。

 弓状膝窩靭帯:大腿骨の外側顆から、関節包の後面を下方に向かい弧を描いて
          内側方にはしり、斜膝窩靭帯の下で分かれて終わる。

 内側膝蓋支帯:膝蓋靭帯の内側にあり、膜様をなして大腿四頭筋腱の内側から
           脛骨の内側顆の内側にいたる。

 外側膝蓋支帯:膝蓋靭帯の外側にあり、膜様をなして大腿四頭筋腱の外側から
           脛骨の外側顆の下縁にいたる。


膝関節はこのように4つの副靭帯と4つの関節包靭帯により安定・支持されています。


しかし、膝関節の運動の安定・支持性性の確保としては、

これらの関節包と靭帯構造(関節包外靭帯、関節包内靭帯)だけでは

まだまだ不足しているのです。

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膝関節の特長

<4>膝関節は筋により安定する関節です。


 膝関節の周囲の筋は、関節を動かすという動作力の発揮だけではなく、

 膝関節の安定性・支持性にも非常に重要な要素になっています。


本来の筋肉の主な作用は関節を動かすための力(パワー・エネルギー)の発揮です。

そのパワー・エネルギーが

筋→腱→靭帯(膝の副靭帯としての関節包外靭帯)→関節包(膝の関節包靭帯)の

順序によって伝えられ目的の関節が稼働します。

膝関節の周囲の筋は、パワーエネルギーの発揮だけではなく、

膝関節の安定性・支持性にも非常に重要な要素になるのです。

(もしよければ確認してね。→ 筋肉と筋膜 腱の作用靭帯の作用関節包の作用 ) 


そして、関節を動かす筋肉は自動的であり加えて骨格筋は随意筋です。

他動的ではなく、自動的であるという事が重要です。


膝関節は関節包や靭帯による安定・支持性が確保されるのですが、

これらは、どちらかといえば他動的要素になります。

確かに膝関節の関節包ー靭帯機構は、力学的に強靭です。

しかし、荷重関節であり、複雑な形体構造を持ち、複雑な動作が必要な膝関節が、

関節包ー靭帯機構のみでは、日常の反復する力を長時間ささえるには不十分であり、

この機構は徐々に弛緩していくとされています。


弛緩が大きくなれば、膝の不安定性は増すことになります。

そのために、他動的要素ではない、膝関節の筋の要素が重要になるのです。



膝関節を安定させている筋肉。

 ★膝関節の
側方の安定性を確保する筋

 ○内側の筋

 1、鵞足筋・・・・外反を防ぎ、内旋筋として作用し、側方と回旋安定性

   鵞足筋:縫工筋・薄筋、半腱様筋の三種類の筋

 2、内側広筋支帯・・・・内側広筋が優位な作用になっているので、外反の増大を防ぐ。

   内側広筋支帯:
人間の大腿にある膝関節の伸展を行う筋肉。
   大腿骨粗線から起こり膝蓋骨の上縁内側から膝骸靭帯をへて脛骨粗面停止する。
   内側広筋、外側広筋、中間広筋、大腿直筋と一緒に大腿四頭筋を構成している。

 ○外側の筋

 3、大腿筋拡張筋

  大腿筋膜張筋、大殿筋の収縮は、腸脛靭帯を緊張させます。

  この腸脛靭帯は強力な外側の側方安定組織として働きます。

  大腿筋膜張筋:上前腸骨棘からおこり、大転子の前をへて腸脛靭帯にうつり
            下方に向かい、脛骨の外側顆につく。

 ★膝関節の前後方向の安定性を確保する筋

 ○後方の筋

  膝の荷重線は膝蓋骨の前を通っています。

  したがって立位においては常に後方に張力がかかります。

  膝関節の過伸展を防ぎます。

  4、大腿顆部殻

    半膜様筋、膝窩筋、後部線維帯、弓状膝窩靭帯などで形成された部位

 ○前方の筋

  この作用は非常に重要で、膝関節を構成している一つの関節である

  膝蓋大腿関節の特長的な作用でもあります。

  膝蓋骨を含めた膝関節の伸展機構による安定化しています。

  5、大腿四頭筋(膝蓋骨を含む)

    膝関節の伸展機構としての膝蓋骨(大腿四頭筋を含む)は重要です。


以上のように、膝関節は筋によってさらに支持性・安定性が増すことになります。


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膝関節の特長

<5>膝関節は膝蓋骨、大腿四頭筋とセットで膝の伸展機構を支えています。


膝関節の運動機能の基本は屈曲・伸展です。

この伸展機構のために膝蓋骨が存在しています。


膝関節は、大腿脛骨関節と膝蓋大腿関節と複合関節でした。

膝蓋骨と大腿骨で構成される膝蓋大腿関節の機能は膝の伸展機構に重要です。


<膝蓋骨と大腿四頭筋>

 膝蓋骨は、もともと大腿四頭筋の腱の中に発生した種子骨です。

 したがって、

 膝蓋骨と大腿四頭筋の作用はセットで考える必要があります。

○膝蓋骨

 膝蓋骨後面は、4分の3が関節面であり、上方から下方にかけわずかに凹状

 内側面は平坦あるいは凸状

 外側面は大きく凹状

 内側面、外側面は関節軟骨で被われています。

 大腿骨遠位の前面は、内側顆、外側顆の会合によてできる膝蓋面があり、

 膝蓋骨の後面と関節を作っています。

 膝蓋骨は小さな靭帯で大腿骨と内・外側顆と半月板に付着しています。
  (※内・外膝蓋支帯)


○大腿四頭筋

  大腿四頭筋は四つの筋とその終末の腱よりなっています。

  四頭からなっており、共同腱は膝蓋骨を種子骨として包み、さらに下方にすすんで、

 膝蓋靭帯となって脛骨粗面に付着します。

 大腿伸筋のほぼ全部をなす強大な筋で、3個の単関節性広筋と1個の2関節性の

 直筋からできています。

 全体としては下腿を伸ばし、大腿直筋のみは大腿を挙げる(働きがあります。

  大腿直筋:下前腸骨棘と腸骨の寛骨臼上縁から3つの広筋上面をとおり、
         四頭筋腱にうつり、膝蓋骨底につき、膝蓋靭帯を介して、脛骨粗面にゆく。
  
  中間広筋:大腿骨幹前面の上部3分の2に起始しており、
  外側広筋:大転子の外側面、大腿骨粗線の外側唇からおこり、膝蓋骨の外側、
  内側広筋:大腿骨の転子間線の下部、大腿骨粗線の内側唇から起こり、
  3筋の共同腱(中間広筋の前面)に合する。そして、膝蓋骨底に至る。
  その後の末梢の腱は中央の腱である膝蓋靭帯は、前方の脛骨粗面につく。

※内側膝蓋支帯:膝蓋支帯の内側にあり、膜様になり、大腿四頭筋腱の内側からおこり
脛骨顆の内側にいたる

外側膝蓋支帯:膝蓋支帯の外側にあり、膜様になり、大腿四頭筋腱の外側からおこり、
脛骨顆の外側にいたる


<膝蓋骨の作用>

大腿四頭筋に膝関節を伸展させる力の働く線は、膝蓋骨によって得られる支点による。

この力学的な作用が膝蓋骨の最も大きな作用であります。

この作用を効率的に働かせるために以下の作用が必要なのです。

 1、大腿骨膝蓋骨面の、伸展機能の滑りを良くする。

  膝蓋骨は、屈曲・伸展において大腿骨膝蓋面の溝の中を滑ります。

 2、膝蓋骨後面野関節面は、屈曲時に大きな圧縮力を受けます。

  スクワットなどではその圧力は400キロ以上に達する。

 3、膝関節は生理的外反のため、作用軸を修正し、大腿四頭筋の効率を高める。

  特に外側部は安定しない。

   内側広筋により防御される。

   大腿骨内側顆よりも大きな外側顆の構造

 4、大きな滑液包を持っています。

    膝蓋骨と皮膚の間には、屈曲・伸展時、滑り運動が生じるために、

    膝蓋骨滑液包が発達存在しています

 5、膝関節は非常に表層にある関節のために膝を保護しています。

以上がおよその膝関節の伸展機構における、膝蓋骨ー大腿四頭筋の作用の重要性です。


さて、

総合的にこの大腿膝蓋靭帯の伸展機構を潤滑にうるためには、

大腿四頭筋が、大きな伸張力を発揮する必要があります。

膝蓋骨と大腿骨の関節面が、お互いに自由に滑る必要があります。

大腿四頭筋の後面に存在する滑液包が、十分に奥行きが深くし存在し、なおかつ

柔軟である必要があります。

そのために膝関節には人体で最大の関節腔を持っています。

次回に


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膝関節の特長

<6>人体で最大の関節腔を持ち、滑液包も豊富に存在する。


人体で最大の荷重関節であり、その複雑な構造ゆえ、

膝関節における関節腔は人体で最大であり複雑です。

関節腔内に存在する滑液(関節液)も人体の関節で最大の量を有し、

関節周囲の滑液包も多数存在し、関節腔と交通する滑液包も多く存在し、

それらの滑液の循環機構は膝関節に必要不可欠になります。


<膝関節の関節腔>

 脛骨大腿関節、膝蓋大腿関節の二つの関節を包み込む大きな関節包に包みこまれ、

 膝関節は人体最大の関節腔を作ることになります。


<膝の関節包>   関節包  滑膜  

 関節包そのものは、大腿前面では関節面の縁より約1センチ上の比較的高いところにつき、

 両側では大腿骨の内・外側上顆付近(実際は両顆は関節包外)、

 下方面では脛骨上方関節縁のやや下につく。

 関節包は膝蓋骨底では軟骨から少し離れて付くが、その他の部位では軟骨部に付く。
 
 その前・後面は、ともに大腿筋腱によって補強され、

 前面では大腿四頭筋腱が関節包の一部をなし

 その中に含まれる膝蓋骨は後面が大腿骨の膝蓋面にふれて関節包の前壁に

 はまり込んでおり膝関節の一部をなしています。

 後壁は上部で孔がたくさんあり、脂肪組織で満たされ血管の通り道となっている。

 内側半月板は、全て関節包と付着しています。

 外側半月板は、前方部分のみ関節包に付着します。

 (半月板は血行に乏しいために、滑液による栄養を受けています。)

 十字靭帯は関節内靭帯ですが滑膜によって囲まれているために関節包は、

 この部分で窪んだ形になっています。→十字靭帯は滑膜外組織になっています。


 前方の膝蓋腱、大腿顆部、脛骨の間の腔間は膝蓋下脂肪体で埋められています。

 このように関節包は非常に複雑な構造をしています。

 膝関節は、全体にわたる関節包つまり滑膜で張り巡らされ、

 関節腔は前方・後方・内方・外方の腔間に分けられるようにみえますが、

 お互いに交通していることになります。

 
<膝関節の滑液包>

 膝関節には、非常に滑液包が多く存在しこの関節腔と交通している滑液包と

 交通していない滑液包が存在しています。


★関節腔と交通している滑液包

 膝関節の前方部には、

 ○膝蓋上包:膝蓋骨の上、大腿四頭筋の下

  この滑液包は臨床にも非常に重要です。

  滑液包は大腿四頭筋と大腿骨の間で長く延長できる袋になっています。

  内側広筋の線維がこの膝蓋上方に直接付着しています。

  この滑膜性の線維束を膝関節筋といいます。

  膝関節伸展時、この膝関節筋が収縮することによって、膝蓋上方は上方に引っ張られ、

  延長する骨ができます。

  膝蓋上包および膝関節筋の癒着は膝関節の屈曲ー伸展機構に重要な障害を起こす。

 
 膝関節の後方部には、

 ○膝窩筋下陥凹:関節の後壁と膝窩筋の間

 ○腓腹筋の内側腱下包:腓腹筋の内側頭と大腿骨の内側上顆の間

 ○腓腹半膜様筋包:腓腹筋の外側頭と半膜用筋
   腓腹筋脛側頭包と腓側半膜様筋包とが一緒になったもの

そして、これら4つの滑液包もお互いに交通しているのです。

★関節腔内での滑液(関節液)の潤滑

 膝関節の屈曲時、

 滑液包(関節包)の後方は弛緩しするが、膝蓋上包は大腿四頭筋により圧迫され

 (膝関節筋は弛緩し)押しつぶされます。→滑液は後方に移動する。

 膝関節の伸展時、

 膝蓋上方は上方にひかれ延長する(膝関節筋は緊張)が、滑液包(関節包)の後方は、

 腓腹筋により圧迫され、押しつぶされます。→滑液は前方に移動する。

 このようにして、滑液は関節腔内を絶えず循環しています。

 さらに、

 半月板は、屈曲ー伸展時の圧迫力を分散させるとともに、関節腔内での関節面の膜を

 二重にすることで、関節腔内の滑液の潤滑をさらに改善させています。

 半月板は屈曲ー伸展時には、移動することはすでに述べましたね。

 移動すればさらに滑液の潤滑を改善することになります。


人体最大の関節腔の中に含まれる滑液の量は、通常はわずか3〜5ccです。

このわずかな滑液がこのように屈曲ー伸展機構のにより、関節全域をくまなく循環し、

関節の潤滑、軟骨の栄養、関節の新陳代謝による清浄化することによって、

はじめて膝関節の機能の維持・正常化をすることができるのです。


★ 関節腔と交通していない滑液包。

 ○浅膝蓋下滑液包

 ○前膝蓋滑液包

 ○深膝蓋下滑液包

 その他の滑液包

 ○脛骨粗面皮下滑液包

 ○鵞足包

 ○縫工筋腱下包

 ○下大腿二頭筋腱下包

 ○その他


いかがでしょうか?

膝関節に何らかの傷害や炎症がおこるとこの関節腔に浸出液が貯留するのです。

皆さんが水が溜まったという状態ですね。

変形性膝関節症への第一歩かもしれません。

最低限この状態でシッカリと治療しましょう。


まだまだ伝え足りませんが、今回で膝関節の構造を知ろう!!を終了します。

変形性膝関節を克服することは、まずは膝関節の特長を知ることからです。

膝関節の構造において関節軟骨については敢えて述べていません。

なぜ??? 理由は次回以降に。

次回からは、変形性膝関節症(膝OA)を克服するために!!項を改めてお話します。



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