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変形性膝関節症(膝OA)を克服しよう!!
膝関節の基本構造・特徴を知ろう!!
はじめに
変形性膝関節症(膝OA)を克服するためにこれは知っておくべきことを述べていきます。
最初は膝関節の基本的な構造からはいり、膝関節の特長を説明していきます。
治療の基本となるべき事も多いので、ぜひよくお読みください。
膝関節の基本的構造
身体のなかの最大の関節であります。
全体重という大きな荷重に耐えているために荷重関節と呼ばれています。
膝関節は2体系の結合した複合関節です。
○大腿脛骨関節
大腿骨の内側顆・外側顆と脛骨の内側顆・外側顆で構成されます。
大腿骨と脛骨ともに二つの顆を持っている双顆状の関節になっています。
○膝蓋大腿関節
大腿骨と膝蓋骨で構成され、膝の伸展機構に関係を持っています。
この2体系はおなじ関節包内で関節包・滑膜に囲まれています。
膝関節と呼ぶのは、通常この2体系を示しています。
つまり膝関節は3つの骨で構成された複関節であり、
大腿脛骨関節と 膝蓋大腿関節という二つ関節に体系づけられた複合関節です。
ただし、
大腿骨は脛骨と膝蓋骨の両方に面していますが、脛骨は膝蓋骨とは面していません。
みなさんが、膝関節を想像されているのは主に大腿脛骨関節でしょう。
股関節は、大腿骨と寛骨臼と二つの関節頭と関節窩で構成される単関節であり
球関節と呼ばれています。
膝関節は、股関節に比較しても非常に複雑な関節だという事が理解できます。
次回からは膝関節の構造における様々な特長を述べていきます。
この特徴を知ることは非常に大切です。
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膝関節の特長
<1>膝関節の関節面は?
膝関節の関節面は、非常に不利な条件で働いています。
膝関節は可動性の滑膜性の関節です。→関節の基本構造
○大腿脛骨関節
膝関節を構成する関節面(凸面と凹面)である、
大腿骨と脛骨の関節面の骨の形態は、きわめて非適合な関節なのです。
膝関節の関節頭(凸面)に相当する大腿骨は一つの凸面ではありません。
二つの凸面を持っているのです。
凸面である大腿骨について、
大腿骨は、内側顆と外側顆二つの凸面を持っているのです。
内側顆・外側顆部の前後の彎曲は円形ではなく、らせん形となっています。
外側顆半径は内側顆半径より前方から後方にいくにしたがって減少しています。
その大腿骨の内側顆と外側顆の中間はへこんでおります。
凹面である頸骨について
関節面にである頸骨にも内側顆、外側顆にも関節窩を持つのは持っているのですが、
残念なことに脛骨の内側顆、外側顆は凹面ではなく、ほぼ平面なのです。
しかも頸骨上関節面は内側と外側では異なった状態なのです。
特に外側頸骨上関節は、前額面では凹状なのですが、矢状面では平坦か、
わずかに凸状となっています。
この形態は、大腿外顆の前後の動きをかなり自由にする役目を持つ事になる。
関節面の状態は関節の関節頭の凸、面関節窩は凹面という関節の状態からは
程遠いのです。
膝関節は、解剖学的には球関節が変化した顆上関節であり、しかも加えて
二つの顆をもっているので双顆状の関節になっているのです。
通常の顆状関節は2軸性の屈曲と伸展しか行えません。
この双顆状の関節は一平面上の運動とわずかな回旋運動を行います。
そして、関節面は二つの凸面と二つの凹面ではなく
二つの凸面と二つの平面という極めていびつな形状で不適合な関節です。
この膝関節を形成する両関節面の不適合を補うために、
脛骨の上面に線維軟骨でできた内側半月、外側半月が乗ることにより、
ようやく浅い皿のようになって凹面をつくり関節の体裁を構成しているのです。
また関節包の滑膜ヒダも関節半月と同じように、
関節面の適合性を増すために役立っています。
このように、
大腿脛骨関節は、2個の構成単位、つまり2個のコンパーメントが存在します。
内側コンパーメントは、大腿内側顆と脛骨内側顆上関節面の間の関節面(硝子軟骨面)
外側コンパーメントは、大腿外側顆と脛骨外側顆上関節面の間の関節面(硝子軟骨面)
極めて非適合な関節面を構成しています。
二つのコンパーメントにおいて、
関節表面(硝子軟骨)の間に線維軟骨である内側半月板、外側半月板が介在する。
硝子軟骨と線維軟骨は同じ軟骨でも少し違います。→硝子軟骨と線維軟骨の相違
次に
○膝蓋大腿関節
関節面は、
大腿骨の遠位骨端の前面にある膝蓋面と膝蓋骨の後面と関節を構成しています。
関節面を作る膝蓋面は内側顆および外側顆が会合して生じるので双顆状です。
一方の膝蓋骨の後面はほぼ扁平な形をしているのですが、
膝蓋面の内側面はやや狭い面、外側面は広い面とに分けられています。
やはり不安定な関節なのです。
後に述べますが、膝蓋骨は本来は大腿四頭筋の腱中に発生した種子骨です。
したがってこの関節の役目は主に膝関節の伸展機構にかかわっています。
これは、少し記憶しておいてください。
股関節は、単関節であり、
関節頭と球の一部の形で、関節窩もそれに応じた丸い窪みである球関節であり、
しかも、
関節窩が深く関節頭の半分以上はまり込む臼状関節であり、極めて安定しています。
膝関節は、(大腿脛骨関節、膝蓋大腿関節ともに)
膝関節を構成する関節面の形態が非適合性を持った関節であり、その結果、
膝関節は非常に不利な条件で働いている関節であるという事実を理解してください。
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膝関節の特長
<2>膝関節の関節面の運動は?
膝関節の関節としての動きは、屈曲ー伸展、内旋ー外旋の組み合わせです・・・・・が、
関節面での動きは、非常に複雑です。
膝関節の関節面は非常に複雑であり不利な条件で働く。(前回に説明)
このことにより自然と膝関節の関節面の運動様式は複雑になってしまいます。
1、大腿内側顆・外側顆の前方の彎曲は小さいく、後方の彎曲は大きい。
この関節面の構造は、膝関節の前後の動き(屈曲ー伸展)は非常に大きく動きます。
膝関節を屈曲すると、
膝関節の屈曲は最初は転がりによって後方に動き始めます。
そのままだと、大腿骨は脛骨の後方で外れて落ちてしまいます。
純粋な転がりは短く、屈曲の10〜20度で、その後は滑りに移り、屈曲が終了する。
純粋な転がり運動→徐々に滑走運動が加わり→純粋な滑走運動。です。
膝関節の伸展は、この逆になります。
2、大腿骨内側顆は外側顆よりも彎曲が大きい。
この関節面の構造は、屈曲ー伸展に伴い自動的に回旋する機能をもつ。
膝関節の屈曲時は、
最初に大腿骨内側顆・外側顆は脛骨上で回転し、次に滑る動作になります。
伸展時はその反対で、最初に滑走して、次に回転する。
3、、脛骨顆も左右対称ではありません。
脛骨顆は横状に凹面状でありますが、外側顆は前後がわずかに凸状
内側顆は前後ともに凹状である。
その結果、外側顆は内側顆よりも回転度が増す。
屈曲すると大腿骨外側顆は内側顆よりも後方に回転し、外方に向く。
4、、膝の屈曲は下腿の内旋を自動的に伴う事になります。
これは上記の2,3のためです。
これは実際に簡単に観察することができます。
膝伸展位では、前足部は外方を向きます。
屈曲位においては、前足部は前方を向く結果になります。
次に、大腿骨と脛骨との間に介在する半月板の動きは?
○膝関節屈曲時、半月板は、後方に動く。
大腿骨顆が直接後方に押し出す。
半腱様筋と膝窩筋腱、内側側副靭帯が後方に引く。
○膝関節伸展時、半月板は、前方に動く
大腿骨顆が直接前方に押し出す。
膝蓋骨が上方に移動するために半月膝蓋靭帯が前方に動く。
○屈曲ー伸展時半月板の半月体部周辺は横滑りします。
○膝関節の回旋時、同側の半月板が大腿外側顆に圧迫を受けて前方に動く。
下腿の内旋により、内側半月板は前進し、外側半月板は後進する。
下腿の外旋により、外側半月板は前進し、内側半月板は後進する。
外側半月は内側半月より自由な動きを持っています。
以上のように膝関節の関節面は非常に複雑な動きを伴う事になります。
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膝関節の特長
<3> 膝関節は靭帯支持性の関節である。
膝関節は靭帯によって、支持性を確保することができます。
膝関節は人体最大の荷重関節である。
膝関節の関節面は非常に複雑であり不利な条件で働く。
膝関節の関節面の運動様式は複雑になってしまいます。
そのために膝関節の靭帯は、大きな役目を持つ必要があります。
1、生理的な関節の運動を正しく誘導する誘導機能。
2、生理的な骨の動揺や限度を超えた異常な方向への関節運動を阻止する抑制機能
これらの運動時には、膝関節を支持するには靭帯が支持に大きく関与します。
(靭帯の役目など→ 靭帯を参照してください。)
膝関節には、関節包の内・外からこれを守ってくれている靭帯が存在します。
つまり膝関節は、靭帯支持性の関節でという特長を持っています。
これは非常に大きなポイントです。
○膝関節に存在する主な靭帯
膝関節には関節包から分離している副靭帯と
関節包からは分離できない関節包靭帯が存在しています。
(1)膝関節の副靭帯
副靭帯には関節腔外に存在する関節包外靭帯と
関節包内に存在する関節包内靭帯の2種類が存在しています。
関節包内靭帯としては、膝の前十字靭帯と後十字靭帯が存在します。
関節包外靭帯としては、外側側副靭帯と内側側副靭帯が存在します。
皆さんが良くご存じなのがこの4種類の靭帯です。
○二つの側面側副靭帯は側方の安定・支持性を確保するために存在しています。
膝関節は、生理的な外反のために、内側の関節歴劇が離開されやすいために、
内側の靭帯機構がこれを支えなければならないため、外側側副靭帯よりも、
内側の側副靭帯は広い範囲で存在し、遥かに強力で、屈曲位でも弛緩しない。
外側側副靭帯:大腿骨の外側上顆から、外側半月の外側縁、腓骨頭の先端および
外側面につく。
約30%は膝窩筋腱と関係を持ち、起始部あるいは経過を膝窩筋腱とともにする
内側側副靭帯:大腿骨の内側上顆から、脛骨の内側顆および内側半月内側縁につく
膝関節のは内・外の側副靭帯により転がり、滑走運動に対して側方面は安定するのですが、
この側副靭帯のみでは前後方向が安定・支持できないのです。
○膝関節の前後の安定・支持性のために、二つの十字靭帯が存在しています。
前十字靭帯は、大腿骨外側顆が後退するのを抑制します。
前十字靭帯(ACL):脛骨の前顆間区の内側部の非関節面よりおこり、上外後方を走り、
大腿骨の外側顆の内面後部に付着する。
起始が脛骨の前方からおこっているので前十字靭帯という名称です。
後十字靭帯は、大腿内側顆部の前進を抑制します。
後十字靭帯(PCL):脛骨の後顆間区の外側部からおこり、外側半月から線維を
受けながら前上内側方にのぼり、前十字靭帯の後側を通って
大腿内側顆の内面前部につく。 ACLの約2倍の強度をもつ
※膝関節が屈曲ー伸展するには、十字靭帯はこのように交叉する必要があります。
正常の膝関節においては、いかなる屈曲の角度においても、前方、後方の引き出し運動は
認められません。(膝の動揺性のテスト)
非常に理解しずらいでしょうが、臨床的には十字靭帯は膝関節の屈曲位、伸展位の
いずれの肢位においても、緊張しています。
このように膝関節の運動は、副靭帯によって正常な運動が可能になるのです。
確認は→膝関節の運動制限、運動方向の制限
さらに膝関節の安定・支持性を高める為に靭帯が存在しています。それが、
(2)膝関節の関節包靭帯
大腿骨と脛骨を囲んでいる関節包と分離できない靭帯が存在しています。
膝関節を補強する靭帯ですあり、やはり膝関節の安定化に役立ちます。
斜膝窩靭帯:関節包の後面を補強しています。
弓状膝窩靭帯:大腿骨の外側顆から、関節包の後面を下方に向かい弧を描いて
内側方にはしり、斜膝窩靭帯の下で分かれて終わる。
内側膝蓋支帯:膝蓋靭帯の内側にあり、膜様をなして大腿四頭筋腱の内側から
脛骨の内側顆の内側にいたる。
外側膝蓋支帯:膝蓋靭帯の外側にあり、膜様をなして大腿四頭筋腱の外側から
脛骨の外側顆の下縁にいたる。
膝関節はこのように4つの副靭帯と4つの関節包靭帯により安定・支持されています。
しかし、膝関節の運動の安定・支持性性の確保としては、
これらの関節包と靭帯構造(関節包外靭帯、関節包内靭帯)だけでは
まだまだ不足しているのです。
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膝関節の特長
<4>膝関節は筋により安定する関節です。
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