治療院名


日常遭遇する各関節の傷害

上肢編


日常遭遇する各関節の傷害

下肢編


はじめに

骨折かどうか? 
緊急性があるの?
しばらく様子を見てもいいの?
一体どうすればよいの?


骨折時の大原則

足関節捻挫(T)




足首を捻挫?骨折?
一体どうしましょう?

初期治療のRICEの前に

オタワ足関節のルールとは?

ジョーンズ包帯をご存知ですか?

スポーツ現場では必須です。


足関節捻挫(U)



内反捻挫と外反捻挫

現場での初期治療について


足関節捻挫(V)



修復期と再構築期の治療
日常生活・スポーツの
完全復帰のためには?


シンスプリントと疲労骨折


筋肉収縮の仕方など


アキレス腱断裂および
アキレス腱周囲の傷害



肉離れ・挫傷



膝の傷害

始めに

膝関節の弱点
膝関節の触診の方法


膝関節の靭帯の損傷

膝関節靭帯損傷の総論です。
診断にとっても重要です。


膝関節の靭帯損傷各論

内側・外側側副靭帯損傷

前・後十字靭帯損傷

膝関節 半月板損傷



膝関節 周囲の傷害

膝関節 伸展機構による傷害

ジャンパー膝
シンディング・ラルセン・ジョハンソン病
オスグッド・シュラッター病
膝蓋下脂肪体炎

膝関節周囲の傷害

鵞足炎
腸脛靭帯炎(ランニング膝)
滑膜ヒダ障害(タナ障害)

関節水腫と滑液包炎


膝関節に水が溜まった。
膝の関節自体が腫れている? 
膝の一部分が腫れるれている?


膝関節ねずみ


関節内を走り回るねずみ

膝蓋骨脱臼 
膝蓋骨亜脱臼
(膝蓋大腿関節不安定症)
膝蓋軟骨軟化症


膝関節骨特発性壊死






                 日常よく遭遇する各関節の傷害
              
                    ( 下肢編 )





はじめに

トップページでも書いていますが、今回私自身が右手首の骨を骨折しました。 

正式には、バートン骨折という前腕の脱臼を伴う骨折で橈骨遠位端骨折の一種です。

そんなこともありこのホームページでも関節の傷害について、

様々な観点から述べて行こうと思っています。・・・・・・また長くなりそうです。


痛みを訴えて来院される皆さんがまず最初に心配されるのは、

患部の骨がどうにかなっているの? 

あるいは単に筋肉や腱の傷害なの?


つまり患部を関節を構成している骨が、骨折しているのか?していないのか?

単なる軟部組織の打撲? 捻挫? 挫傷? なのか?を心配されます。


整骨院を開院している私ども柔道整復師は法規上、

骨折は応急処置しかできませんし、加えてレントゲンの撮影もできません。

理学的な骨折の判断の基準はあるのですが、骨折しているかどうかの、

判断に迷うときもあるのは臨床上多々経験するのも事実です。

また明らかに変形して骨折しても、専門のお医者様に託すのが患者さんにとってもプラスです。

そんな時は、応急手当をしてから、

整形外科のお医者様に対診の依頼をするわけです。


が、最近は、そんな事情も患者さんもよくご存知で、

患者さんのほうで、お医者さまのレントゲンでは骨には異常が無かったので、

診てくれますか?治療してくれますか?と来院される患者さんもおられます。


整形外科のお医者様も保存療法を行いますが、

私たちとは幾分異なるところがあります。


だから、患者さんの中には整形外科を受診する人もいれば、

我々のようなレントゲンもできない、まして投薬もできない整骨院を、

最初から訪れる人もいるのでしょう。


柔道整復師の施術が良いと思って来院してくれる患者さんがいる。

私たちの行う施術が、患者さんに認められている。・・・・・・と思っています。

本当にありがたいことです。 感謝 感謝


今回は、日常よく遭遇する各関節の傷害、特に捻挫・打撲・挫傷などに

ついて、幅広く様々な観点から述べようと思っています。




骨折の大原則


最初に述べたように、皆さんが家庭であるいは外出先などで負傷し、

骨折したかどうか迷った場合、あるいは骨折した場合に、

応急処置は?  救急車? あるいはもう少し様子を見る?  

・・・・一体どうしたらよいの? 皆さんが、あわてないために


是非知っていれば便利な知識を最初に申しあげます。


一般的な骨折の場合は、

整復処置は早期に越したことは無いが、少々遅れてもあまり問題は無い。


私の骨折の場合は、負傷後10日後に手術です。それまでは整復なしの副子固定のみです。


骨折がどうかの判断は、

レントゲンを撮れば簡単に分かるのだからあまり心配しなくとも良い。


なーんだと思われるでしょう。


でも、現場では・・・・・・? どうしていますか?・・・・・

骨折かただの捻挫かどうかわからない時はどうします?


重要なことは、

★ 受傷部を不必要にいじらないことが大切です。

  よく引っ張ったり、捻ったりしますが、まったく不必要です。

それどころか、

膝や肘周辺などでは不用意に引っ張ると血管損傷を起こすことがあります。

また、開放性骨折などでは、体外に出た骨辺が体内に入り感染する。


● 一般的な骨折の大原則

1、現場で骨折をみたらそのまま副子を当てて固定です。
 
  また、骨折の固定は大げさでも恥ずかしがらない。

  むしろ大げさにするものです。

  固定の原則は患部を含む上下2関節をふくめます。2関節固定です。

  たとえば、肘が患部の場合は手首と肩になます。

  もし骨折でなくても副子固定は無駄でも恥ずかしくもありません。

  患部の安定・安静を確保できる安全・確実な治療方法です。

  
2、外傷があれば、骨折があるものとして、対処してください。


最初は患部に傷があるかどうかをよく見てください。

骨折と傷に注意してください。


3、開放性の傷があれば、すぐに病院に搬送。救急車。

  骨折と思われる部位から血が出ている。出血痕がある場合です。

  しかも、受傷後6〜8時間以内の処置が必要です。早く早く。


  これ以上経過すると、細菌の増殖がはじまり傷口を縫合できません。

  開放性の骨折を少しでも疑ったら傷をガーゼで覆い副子を当てる。

  そして、病院に直行です。あるいは救急車を呼ぶ。

  おおげさでも良い。もし骨折が無くてもそれはそれでOKです。

  開放性骨折の参考 日本赤十字社 とっさのとっさの手当・予防応急手当(外傷)骨折から



4、12歳以下の小児には基本的に脱臼はありません。

  先天性股関節脱臼あるいは肘内障はありますが、

  外傷性の脱臼は稀で、脱臼は起こらず骨折する場合が多い。

※小児に多い骨折

  ○上腕骨顆上骨折(肘の骨折)

  小児の肘周囲では非常に多い骨折です。

  腫れも強く神経血管傷害も多い骨折です。包帯は注意して巻く。

  また予後の注意も必要な骨折です。 あわてる必要はありませんが、

  骨端軟骨線、骨端核の問題もあり、お医者様に任せましょう。

  レントゲンでも軟骨は写りませんので骨折の診断が難しい。
  
  成長過程で様々な部分で新たな骨化ができる。

  骨矯正能力が肘周辺部は小児でも非常に小さい。

  関節内骨折の場合は、緻密な整復が必要で手術。

  手術が成功しても後遺症障害を残しやすい。

  以上の理由で、手の専門の整形外科医に任せましょう。

  整復などの操作は、なまじっか禁止です。あわてずに
  
  副子固定し 三角巾で吊るして病院に送ってください。

  ○橈骨遠位端骨折(手首の骨折)

  この骨折も多い骨折です。 あわてる必要はありませんが、

  骨端離解の問題もあり、完全な整復のため最近は手術の傾向があります。

  整復せずに、副子固定し三角巾で吊るして手の専門医のいる病院に搬送。

  ○鎖骨骨折(よく見逃されます)


5、高齢者に多い骨折

  転倒はモチロン、しりもちをついたり、段差をトンと降りる際などでも

  負傷したりしますので注意が必要です。

  また、痴呆が有る場合は転倒したことも忘れている場合もあります。

 その他には睡眠薬、安定剤などを服用していている高齢者の場合は、

 夜間や早朝のトイレに行く際の転倒も多い。

 ○橈骨遠位端骨折

 ○上腕骨外科頸骨折、

  手術です。

 ○大腿骨頸部骨折・・・・非常に多い

 ○脊椎圧迫骨折


  


その他、どんな場合でも

、血管・・・・・・脉が触れるか、皮膚の色は良いか

  神経・・・・・・指は動くか、感覚があるか 麻痺があるか

  PMS:脉・運動・知覚の確認です。必要確認事項です

  異常があれば救急車。

 

7、関連して、激痛が持続性なら血管の障害の有る可能性があります。

  骨折は、痛みは当然強いのですが、動かした時に痛みます。

  患部を動かした時、あるいは身体を動かした時に痛みますね。・・それが、

  安静にしていても激痛が持続する場合は、

  血管が途絶えている場合がある。・・・よく観察してください。

  異常があれば救急車。


結論

交通事故や高所から落ちたりした場合は別として、

普段の生活上での骨折では緊急を要する場合、救急車を呼ぶ場合は、

めったに遭遇することは無いでしょう。

もしあれば、3、6、5の場合でしょう。めったに遭遇することはありません。


本当に非常に少ないのですが稀に、3の開放性の骨折は見かけます。

激しいスポーツの現場などでは特に、ご注意ください。


それ以外では、固定し翌日あるいは2日後の処置でも充分です。

早い受診にこしたことはありませんが、あわてる必要がない。という意味です。



次回から日常よく遭遇する各関節の傷害について、捻挫・打撲・挫傷はモチロン骨折など

も含めて広い観点から述べてみたいと思っています。



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足関節捻挫(T)

足首を捻った、捻挫? 骨折? あるいは痛くなった時、

 あなたはどうする?

 腰・肩・膝の傷害についで多く見られるのが足首の傷害でしょうか?

 足関節の傷害は、普段の生活はモチロン、スポーツでも多く見られますね。


このホームページをごらんの皆さんならば、捻挫・打撲の処置として「RICE」 

という言葉と意味はご存知だと思われますが、もう一度確認です。

それは、下記の処置のことですね。

 (安静) I(冷却) (圧迫) (挙上)で 「RICE」すが、


足首の関節の負傷については、皆さんにまず知っていただきたいこと。


「オタワ足関節のルール」という言葉を知っていますか?

 このルールは足関節のレントゲン撮影が必要かどうか?あるいは

 骨折の疑いがあるかどうか?の一つの指標になるルールです。


 剥離骨折には無効ですが、受傷後48時間以内の感度は、なんと!!

 文献では99,6%つまり0,4%しか骨折を見逃さないとのことです。

 ただし子供(16歳以下)、妊婦さんでは感度が低く特異度は、

 状況により10〜79%と幅があります。



しかし、この方法は、レントゲン撮影ができない現場、あるいは

私のような柔道整復師利用が利用する価値は充分にあります。

家庭でもスポーツの現場でも同様ですので是非知っておいてください。


● オタワの足関節のルール

 1、外果先端(外くるぶし)より6センチまで後上方に圧痛があるか

 2、内果先端(内くるぶし)より6センチまで後上方に圧痛があるか

 3、第五中足骨基底部に圧痛があるか

 4、舟状骨に圧痛があるか

 5、受傷直後および来院時に4歩以上歩けないか

 1〜4の圧痛が陽性の場合は骨折の疑い

 5は重大な障害がある可能性


つまり1〜5が確認できれば骨折の可能性があるということです。

裏返せば骨折をしやすい部位であり、骨折線に一致した特に強く出現する

限局性圧痛の確認をしてくださいということです。

確認できれば、副子固定し免荷して病院に搬送する。

杖などがあれば無荷重歩行してください。


反応が陰性の場合でも骨折が無いとはいえませんが、

臨床的な意義のある骨折かどうかの初期判断として大変有効です。

詳しくは Ottawa Ankle Rule  http://www.ohri.ca/emerg/cdr/ankle.html から

    オタワ足ルール     こちらの方が見やすいかな 

前回でも述べましたが、

それでも判断がつかない、あるいは心配な場合は、

副子固定をしましょう。

足首の捻挫であっても、靭帯の損傷がひどい場合は、シッカリとした

固定が必要です。

おおげさな固定は、必ず負傷者の利益につながります。


さて一応の判断し骨折はないと仮定すれば、初期治療として、

「RISE}の処置に移りましょう。

すでにRrest,安静 患部の安静の処置が終わっています。

 固定による患部の安静が保たれて、動揺による悪化を防いでいます。


 よく患部をシップして包帯を巻いて挙上している場合があります。

 シップは不完全な治療です。


包帯を巻いた後に氷嚢などで患部をicing、冷却は大切です。

 アイシングは湿布ではダメです。

 氷による冷却で炎症の広がりを防止します。アイシング

 このホームページをお読みの人はもう間違わないでしょう。 アイシング
 
 患部の腫れが目立たない内にアイシングすれば非常に効果的です。


そして、elvation 挙上しましょう。

 患部を心臓の位置より高い位置に保ちます。

 患部に血液やリンパの流入が減少し、流出を促進させ腫れを抑えます。



以上を要約すると、捻挫などの初期治療の、最大の目的は

 患部の腫脹つまり腫れを最小限度に押さえることです。

 安静、冷却、挙上もそのために必要ですね。


RICEの安静・冷却・挙上は一般的によく守られています。

しかし、Cのconnpuression,圧迫が意外と守られていません。

 受傷直後は痛みのみで、腫れが無い場合があります。

 痛みの軽減と今後の腫脹を予防するために必ず圧迫・固定を行う。

 腫れが無いといっても決して安心してはいけません。


では受傷直後の圧迫固定のはどうするのか?

特に著しい腫脹やしている場合あるいは予想される場合は、

本来はジューンズの包帯を実施します。膝の疑問で述べています。クリックしてね

 足関節では、ギプス下巻き綿包帯を足指〜下腿遠位3分の1まで巻き、

 次に弾力包帯でその上から巻く。

 綿包帯→弾力包帯を2回しても良い。


この方法は、シーネやギプス固定より固定性は弱いが、ある程度の固定力、

圧迫力が維持できます。

 患部の腫脹の防止、安静に有効でありますし、

 腫脹による血行障害、神経障害を心配な場合にも安心に実行できます。

 捻挫、打撲、肉離れなどの軟部組織損傷の初期治療に大変に有効です。


★スポーツの現場の指導者などは必ず知っていただきたい包帯です。


家庭では厚手の幅の広い包帯などで患部を中心にやや広く巻き圧迫します。

 薄手の包帯は圧迫力が弱くねじれやすいのでダメ!!です。

 幅の狭い薄手の包帯は避けてください。禁止です。



<まとめ>

 足首を負傷した場合は、

 オタワの足関節のルールを確認せよ。骨折を疑えば固定し、病院に搬送

 「RICE」の意味をもう一度確認。

 圧迫を忘れるな。

 この際にジョーンズの包帯を知っておきましょう。


次回は足関節捻挫についての予定です


<余談・・・・ボヤキです。

このまま続ければ、非常に長い掲載になってしまいそうです。簡潔に述べないとイケマセンネ。 

またOCNのホームページの無料サーバーの容量の限界に近づいています。

OCNの無料のサーバーの容量の限度が10MBはは少なすぎます。

PCやインターネットのイロハを知らない初期にホームページを作ったもので後悔してます。

学生が運営している無料サーバーでさえ容量が10MBありますね。

広告ナシの無料サーバーでも容量が100MB以上があたりまえのようですね。

ブログや広告アリなら無料でも容量が1Gもありますし・・・・・・・・・・。


以上は知らないということは、失敗するし、後悔しますヨという良い例ですね。


自らが行動しないで不平不満だけでグズグズしているぐらいなら、

自らが行動した結果、失敗して反省し物事を知り、将来に一歩前進することも大事です。

でもその前にチョットした知識をもって行動すれば、失敗が防げる可能性が大きいでしょう。


健康も同じです。

病を知り、自分自身の体を知り、「足りるを知り」、将来のために今は何をするのが良いのか、

そして、今やれることを、またやるべきことを淡々と実行すれば後悔はしません。

あるがままの自分自身の健康を維持しましょう!! 取り戻しましょう!! 

このホームページの作成を続けている大きな理由です。


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足関節捻挫(U) 

足首の足関節の捻挫には、

 内反捻挫(外側捻挫)と外反捻挫(内側捻挫)の二種類があります。

多くは内反捻挫(外側捻挫)です。


日常に多くみられる捻挫です。

またスポーツ外傷としても多い疾患です。

初期治療としてスポーツ現場に関係する皆さんは是非お読みください。


なぜ内反捻挫が多いのか?

 足の関節は外くるぶし(腓骨外果)が、内くるぶし(脛骨内果)よりも下に

 あるために、内返し(内反の状態)になりやすいためです。


内返し:足が底屈、内転、回外の複合した運動です。つまり

     足首が足底に動き、足先が内に曲がり、足の内側縁が挙上し足背が

     外に回り地面に近づくような運動です。

足関節の外果(腓骨)と足根骨を連結している靭帯が引き伸ばされます。

足関節の外側の靭帯の損傷するため外側捻挫ともいう。


反対の運動が、

外返し:足が背屈、外転、回内

内果(脛骨内果)と足根骨を連結している靭帯が引き伸ばされます。

内側の靭帯が損傷するので内側捻挫ともいう。


内返しと外返しを一度やってみてください。 どうでしょう?


明らかに内返しが簡単にでき、外返しはやりづらく無理があるでしょう。


つまり内反捻挫(外側捻挫)は簡単に発生しやすい。

反対の外反捻挫(内側捻挫)は起こりにくいが発生する場合は、無理やりの

大きな力が必要とされます。→→→骨折につながりやすい。


○ 内反捻挫(外側捻挫)

<一般的な症状>

 足関節の外果および周囲の疼痛、腫脹、歩行困難が主訴。

 腓骨の外果周囲を中心に腫脹や皮下出血を認めます。

 受傷直後は、捻挫の程度がひどくても腫脹や出血が少ない場合もあります
 
 ので注意してください。

 損傷が重度であったり、時間が経過している場合は外果〜アキレス腱〜

 内果など広範囲に及びます。

 ※前面、内果の疼痛を訴える場合は、靭帯の損傷に合併した骨折も疑う。


<圧痛部位>

少し専門的ですがもしよければ覚えてね。

 1、二分靭帯・・・外果の2〜3センチ前

 2、前距腓骨靭帯・・・外果のすぐ前にある関節包内靭帯

 3、後距腓骨靭帯・・・外果のすぐ後ろ

 4、踵腓靭帯・・・外果の後下方にある関節外靭帯

    外果が骨折しないで3の後距腓骨靭帯とともに靭帯が切れてしまい

    内果が骨折してしまう内反骨折を疑う。非常に稀。オタワのルール

 5、第5中足骨基部・・足の小指を外側を後方になぞって最も飛び出すところ

               圧痛があれば骨折の疑い。オタワのルール


1の二分靭帯の圧痛の場合は一応安心です。

捻挫しやすく問題となるのが2の前距腓骨靭帯と4の踵腓骨靭帯です。

 まず前距腓骨靭帯が損傷し、その捻挫の程度が強度であるとさらに

 踵腓骨靭帯も損傷してしまいます。

 踵腓骨靭帯は腓骨から踵骨を連結する靭帯で関節外を走り足関節と

 距骨下関節の二つの関節の安定性を確保する靭帯です。

 前距腓骨靭帯の単独の損傷は、外果の前方を中心にした腫脹と圧痛

 踵腓骨靭帯の損傷を併発すると、外果全体の腫脹し外果後下方にも圧痛

 この2つの靭帯が切れると骨折でなくともギプス固定あるいは手術です。

 この二つの靭帯の圧痛は必ず調べてください。

靭帯が切れずに内果と外果が骨折する場合もある。内転骨折・・オタワのルール

 
靭帯の損傷の程度により分類しますと、

 T度・・・靭帯が伸びる。

 U度・・・靭帯が部分的に切れる。

 V度・・・靭帯が完全に切れる。・・・・関節の動揺性・不安定性が有る。


骨折は当然ですが、捻挫がU度以上の損傷が疑わしい時は必ずお医者様

の診断が必要です。


前距腓骨靭帯と踵腓骨靭帯の損傷を併発するとV度以上になりやすい。


負傷の現場では健側と患側の関節の動揺性・不安定性を比較します。 

内返しと引き出しテストを実施します。・・・・優しくね


また疼痛の激しい、腫脹が高度な場合は無理せずに、固定して病院に搬送し、

お医者様のレントゲン撮影と治療が優先させることは、当然です。

お医者様はレントゲン撮影の際、麻酔下で内返しと引き出しテストの

ストレス撮影を施行し、健側と患側の骨の違いを調べます。


制度上、我々はできませんので、あくまで圧痛と動揺性で推測ですね。

ただしむやみに引っ張ったりのストレスは加えない方が良いでしょう。

捻挫の程度がひどいと思ったら骨折の処置の原則と同じです。

 引っ張るな!!動かすな!!固定して病院に搬送。


内反捻挫の際に注意すべき骨折

 内果、外果の両果部骨折・・オタワのルール

 第5中足骨粗面裂離骨折・・・タワのルール

 腓骨近位部 腓骨遠位部・・・・・オタワのルール

 舟状骨・・・・オタワのルール

 まれに踵骨前方突起骨折・・・二分靭帯踵骨付着部の剥離骨折です。

  稀です。ここまで心配すると疲れますね。

 踵骨骨折・・多い骨折です。捻挫による靭帯の付着部骨折もあります。

         後遺症が多く厄介な骨折として知られています。

         この骨折を疑えば専門医のいる大きな病院に搬送。

 距骨の骨折・・・交通事故や転落などで起こり一般には稀です。

  後突起骨折はバレーやサッカーなど足関節の過度の底屈の多いスポーツにみられる。

  距骨外側突起基部の骨折は反対の外返しで起こりやすくスノーボーダー骨折と呼ばれる。

  距骨外側突起先端の剥離骨折は内返しで起こりやすい。

  正確な診断、治療方針を決めるにはCT撮影が必要です。

  距骨骨折は一般病院ではなく、できれば専門病院の受診が必要です。


最近は関節内骨折の果部骨折はモチロンですが、足関節の不安定な場合は積極的に

手術が行われてます。



○ 外反捻挫(内側捻挫)


多くは強力な三角靭帯のために捻挫よりも内果の骨折を起こしやすい。

 三角靭帯:脛舟靭帯、踵脛靭帯、浅前脛距靭帯、後脛距靭帯の4つの靭帯

 オタワのルール

またこの骨折が有る場合は腓骨近位部、遠位部の骨折(pott骨折)あるいは

膝の近くで骨折を伴っていることあります。

基本的にこのタイプの捻挫は骨折の合併を疑うべき捻挫であるということを

必ず念頭においてください。


<その他の注意すべき骨折>

中足骨骨折

 第5中足骨基部剥離骨折が多く。

 歩行中につまずき短腓骨筋腱により牽引されて発生する。ゲタ骨折ともいう。

 骨折部位がより末鞘で骨幹部での骨折をJones骨折と呼ぶ。

 その他の中足骨部での骨折は重量物の落下による。

踵骨骨折・・・比較的多く発生し、足根骨の骨折では最も多い。

 単なる捻挫、打撲と誤診しやすい。

 高所から飛び降りて(かかと)踵を地面で衝撃された場合に起こる。

 胸椎、腰椎の移行部の脊椎圧迫骨折を合併しやすい。

 逆に椎骨の圧迫骨折を起こした場合は踵骨の骨折に注意する。

 その他では捻挫による靭帯の付着部骨折もあります。

 高齢者は少しの段差を踏み外しただけで骨折したりします。注意!!

 すでに述べましたが後遺症の多くみられる骨折です。

リスフラン関節脱臼・脱臼骨折

 交通事故の他には高所から落ちたりした時、踵骨骨折とは反対に、

 前足部が固定された状態で前足部に水垂直に力が加わり、

 これに回旋力などが加わった場合におきる。


次に

○ 現場や受傷直後の初期治療


<治療>

軟部組織の治癒過程を考える。


★直後はRICE処置

受傷後2〜3日は損傷の程度がT〜V度すべての捻挫に共通です。

難治性の合併症となる足根洞症候群、足関節滑膜炎の予防に重要。

当然、足関節捻挫そのものの治療になります。

 何度もいいますが腫脹の防止と内出血を最小限度に留めます。

 この時期の治療の良否で治療期間が左右されます。

 炎症期といわれる受傷から約72時間(3日間)が重要です。

 受傷30分以内にアイシング

 圧迫・固定を忘れるな!!

 固定は大げさでも良い。大げさな方が患者の利益になります。

 捻挫の程度がU度以上であればまずRICEによる初期治療をします。

 固定は、足関節90度(良肢位)で足指から下腿までの副子固定をし、

 松葉杖などにより患肢に体重をかけない。



たとえ骨折がなくても捻挫の程度がV度になれば、3日後にギプス固定、

あるいは早期に靭帯修復術の手術になる場合があります。

特に若年者で活動性の高い人は靭帯修復術の手術になってしまいます。


今回は初期治療のここまでとします。


<まとめ>

 足首の捻挫は内反捻挫と外反捻挫の2種類
 
 最初にオタワの足関節ルールの圧痛は必ず調べる。

 多くは内反捻挫で足関節の外側の靭帯を損傷する。

 内反捻挫の場合は前距腓骨靭帯の踵腓靭帯の圧痛に注意。

 前距腓骨靭帯・踵腓靭帯ともに圧痛あればV度以上の捻挫を疑う。

 外反捻挫は常に骨折の併発を念頭にいれておく。

 V度以上の捻挫か骨折を少しでも疑えば、骨折に準じる処置をする。

 損傷の程度がT〜V度の全ての捻挫の初期治療はRICEの処置。


今回までは、スポーツの現場の指導者や医師ではない私たちのような立場の皆さんが、

病院のお医者様に搬送、あるいは対診までの注意事項のような記載ばかりでした。


レントゲンが撮れればいいなー。・・・・・・と常に思いますね〜。記載していてイライラしてきます。

しかし、足関節捻挫の受傷後の初期治療として、

最低限は知っていて実行していただきたい必要なことは記載したつもりです。


次回からは炎症が治まり修復期から回復期にかけてどうすれば良いか?


レントゲンでは異常がないのにいつまでも痛みが取れない、可動域が悪い、その他・・・

イヨイヨ私たちの捻挫の後療法あるいは骨折の後療法であるリハビリの出番になります。

また皆さんの協力も治療に少し必要になってまいります。


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足関節捻挫(V)

前回は炎症期の初期療法でしたね。

今回からは修復期と再構築期の治療です。

もう一度確認のために軟部組織の治癒過程をお読みください。


捻挫の程度の重症度によって治療方針が違います。・・当然ですね。


大まかな目標は、捻挫の損傷の程度が、

 T度では弾性包帯やジョーンズ包帯での圧迫固定を約1週間。

 U度ではT度の方法のほかにシーネ固定、やギプス固定などを臨機応変に

 使いわけますが、足関節の不安定感、動揺性の防止するのキチントした

 固定が必要になり、固定期間は2週間以上が必要です。

 V度では、靭帯修復術の手術の場合は病院の管理下になってしまいます

 ギプス固定の場合は3〜6週間の固定になります。


捻挫の損傷度U度以下の基本的な治療法について述べます。

ポイントは

 T、U度の皆さんは捻挫を軽く考えすぎです

 特にスポーツ関係の人たちは、復帰を焦りすぎます。

 足関節の保護を目的に圧迫包帯やサポーターを装着しながら日常生活を

 暮らし、場合により軽いスポーツの練習も可能ですが、就寝時ははずして、

 日中の活動時は必ず装着する。

 最低6週間は装着してください。


痛みが消失してもあるいは軽症で症状が消失し治癒下と思って、足関節の

保護をしないと、この時期に再び捻挫を起こすことが非常に多い。


何度も繰り返すと、陳旧性靭帯損傷による足関節の不安定を残し、

距骨滑車骨軟骨障害などの厄介な足関節の障害に陥ることもあります。


捻挫を甘く見ないこと。特にスポーツ選手は気つけてください

日常生活の完全な復帰あるいは完全なスポーツ復帰には、

たとえT度程度の軽症の捻挫でも3〜6週間は必要です。

もう一度軟部組織の治癒過程をお読みください。


さて炎症期の期間3日間のRICEの時期が経過しました。

次ぎの期間が修復期です。(約3〜6週間)


修復期の治療目的は、

 軟部組織の修復を行いながら関節などの柔軟性を保持することです。


実際には圧迫包帯やサポーターなどをしながら徐々に関節可動域を行います。

患部は無荷重から始め徐々に荷重し、その後完全荷重とする。

運動や可動域の拡大には自働運動から始め、徐々に他動運動とする。


患部が熱感をもち、腫脹することもありますが、そのつどアイシングなどを続ける。

熱や腫脹がなくともエクササイズ後は必ずアイシングしてください。


無理な過度の運動は難治性の滑膜炎につながりますので無理はしないこと。

またそれらの予防にはアイシングが有効です。必ず実施してください。

少し専門的ですがRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の予防には、暖める→冷やす→

暖める→冷やすの交代浴が良いといわれています。が最後は必ず冷やすで終わってください。


RSDは、皆さんが治療を任せておられる先生にお聞きください。



さあイヨイヨ、

標準的なリハビリのエクササイズの紹介です。

○受傷後の3日間はRISEの処置


これ以降はサポーターなどの装具を装着しての訓練です。

あせって訓練中はずさないように。

少なくとも6週間以前に装具をはずして訓練しないように。


○1週間以内に大腿四頭筋・ハムストリング・タオルギャザーなど

        足関節自体の可動域は負荷をかけない自働運動のみ

○2週間以降(サポーターなどの装具を装着しての訓練です。)

     腓骨筋訓練や腓腹筋などの下腿三頭筋などの

     足関節周囲筋の訓練

     外返し中心のの訓練  外返し:内返し2:1の割合

○3週間 両脚荷重によるバランスボード

      注意して行ってください。

      慣れれば目をつぶって実行してください。

      バランスボードの訓練時は必ずサポーターなどの装具は着用。

○4週目 片脚荷重によるバランスボード

     特に注意して行う。まず両脚で慣れてから実行してください。

     慣れずにやると再負傷したりします。

     できれば補助の人のサポートがあればグッドです。

     軽いランニングの実施。

○5週目

○6週目 スポーツへの復帰ですが、まだまだサポータなどの装具の着用。


6週間以降が軟部組織の再構築期になります。


★再構築期の治療目的は、

 軟部組織の柔軟性、耐久性、協調性を日常生活やスポーツの練習のなかで、

 徐々に強化すべき時期になります。


スポーツの完全な復帰は8週間を目標とし、

12週間は必ず固定包帯やサポーターなどの装具を着用のこと



基本的なリハビリは以上のとおりです。


ギプス装着時は大腿四頭筋やハムストリングを中心に、

ギプス除去後に足関節可動域訓練などの訓練に入る。

状況により順次遅らせて開始します。


リハビリやエクササイズの注意。

足関節捻挫で最も可動域制限をおこすのは、背屈運動です。

はじめは自働的な可動域訓練から徐々に他動的な訓練に移行します。

1週間ごとに可動域が改善するなら特別に他動的な訓練は、

必要はないのですが、改善しない場合は必ず専門家とともに訓練してください。


したがって今回はあえてエクササイズの写真は掲載いたしません。

できうるだけ治療と平行して行ってください。

損傷のステージによってまた、治癒経過によって様々だと思います。


あらかたのエクササイズはすでに紹介いたしています。


創意工夫して標準のメニューを、無理をしないように実施してください。


わからない、理解できない場合は皆さんが信頼されている治療者あるいは、

スポーツの指導者、トレーナーに必ずお尋ねください。


負傷状況と回復状況に合わせたリアルタイムな治療と平行しながら、

リハビリとしてエクササイズを実施してください。


<まとめ>

 捻挫を軽く見るな。

 圧迫包帯あるいはサポーターなどの装具は、就寝時以外は、
 
 3〜6週間は必ず着用する。

 スポーツの完全復帰は8週間以降。

 治療やリハビリに迷えば、軟部組織の治癒過程に従いなさい。


以上で足関節の捻挫を終わります。


次回は何をしようか迷っています。

足首の捻挫に関連して意外と多く診られるシンスプリントとアキレス腱の周囲か、それとも

少し息抜き的なものにしようかな?と思ったりしています。


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シンスプリントと疲労骨折

この症状もよくみられますね。

後内側シンスプリントと前外側シンスプリントの二種類があります。

圧倒的に後内側シンスプリントが多い。


まず、足の内側が痛〜い!!

★後内側シンスプリント

足関節捻挫では内反捻挫が多く、過度の内返しの動作で負傷します。

シンスプリントは外返しの一部の足の回内の繰り返しにより起こります。

 外返し:回内、外転、背屈の複合運動
 足の回内:足の裏が外に向く動作  足の外転:足先を外方に曲げる運動
 回内、外転は足首の背屈運動に随伴して起こります。
 これら一連の動作の繰り返しは、足の蹴りだし動作の繰り返しと一致しています。
 
 
ただし、シンスプリントは足関節の捻挫ではありません。

筋、腱の繰り返しの動作により骨膜が負傷するので、一般的には、

過労性脛骨骨膜炎と考えられているようです。

オーバーユースですね。


<症状>

運動時や運動後に下腿の下3分の1の脛骨の後内側にみられる慢性的な

痛みと圧痛を訴えます。


 痛む箇所は脛骨下部内側で骨の後側に沿って圧痛があります。
 
 これは、ランニングの際に足を外へ蹴りだす動作の繰り返しや、バスケット

 などのような、極端に左右の移動のサイドステップの運動などのように、

 外返し動作を構成している足の回内(足の裏が外を向く動作)の繰り返しで

 主にヒラメ筋、あるいは長趾屈筋が付着している脛骨内側の下方の骨膜が

 繰り返し引っ張られる結果によるものです。


脛骨の下3分の1の内側後方が筋肉に常に繰り返し繰り返し、過剰な力に

引っ張られてついに、骨膜の炎症が起こります。


<治療>

○安静です。・・・最も効果的ですが、残念ながら最も守られません。

○アイシング・・・・・最も効果的なアイシングの氷ポチャン大作戦を実行。

○足関節を固定する圧迫包帯やサポーターの装着を勧めています。

  ただし包帯の巻き方内反捻挫と逆の巻き方になります。

○足底板などの着用も有効です。

○テーピングは炎症により患部周囲が腫れ、皮膚が浮腫んでいる場合が多く
 
 まず無理でしょう。

 
患部より離れた足底などのテープも有効な場合もありますが、それよりも

 足底板のほうが長期に利用でき良い。

  各種のテーピングは治療の補助にも利用でき、便利といえば便利なのですが実際、
  炎症などで腫れが有る場合は、皮膚が浮腫んでいるため皮膚が弱く、長時間テープを貼ると
  カブレたりタダレたりしてし、利用できません。
  「アンダーラップをしてからテ−ピングをしてください。」 といわれる場合がありますが、
  テープの支持性が著しく落ちるために、なんのためのテーピング?がわかりません。
  それならば、固定包帯の方が良いと思います。
  一般的なテーピングはあくまで競技の直前に貼り、休憩時にまた貼り替え、競技終了時に
  完全に剥がしてしまうのが原則です。
 
 
 <一般的なスポーツのテーピングの大きな目的としては>
    ○ケガの予防
    ○再発の予防
    ○応急措置
  これらはテーピングを実施することで次ぎの効果が得られるためです。
    関節の可動域を制限し捻挫や脱臼などの予防
    スポーツが日課になっている人は特定の靭帯や腱の補強のため、
    患部の保護
    精神的な安心感のため

 以上の目的のため本来のテーピングは、スポーツの直前に貼り、支持性が悪くなるとまた
 貼り替えるために、現場ではトレナーあるいは、選手自体が巻かなければなりません。
 私どもの治療院での治療後に明日の試合のためのテーピングとか、1時間後の試合のための
 テーピングは現実的ではありません。
 無効ばかりかむしろそのままスポーツなどをすれば、害になる場合の方が多いでしょう。

 皆さんに是非知っていただきたいことは

  私たちが治療院内で普段使っている治療の補助を主眼としたテーピングと

  現場でのテーピングの目的は内容が大きく違うという事実です。

  目的が違えば手段・方法が違ってきます。


<リハビリとしてのエクササイズ>

○足関節捻挫に順ずるエクササイズを実行。

ただし注意する点は、

あくまでこの疾患は使いすぎの疾患という点をお忘れなく!!

オーバーユースですよ!!

炎症が治まるまでは必ず患部外筋肉のエクササイズから始めること。

今回も紹介はありません。

信頼されている先生の治療と平行して実施してください。


次に、スネの前が痛〜い!!あるいは横も痛〜い。

★前外側シンスプリント

下肢前面の筋肉と後面の筋肉の拮抗関係で起こるとされています。

ここ筋肉の収縮のお勉強。  エクササイズなどで重要です。・・・・・・が
興味のない方は クリック してください。 次ぎにとびます。


<基本的な筋肉の収縮の分類>
   
静的な筋肉の収縮・・・・関節の運動が起こらない筋肉の収縮の仕方
            
 等尺性収縮:筋力と抵抗の大きさが一致したとき、筋肉は収縮していますが距離は
         変わりません。

動的な筋肉の収縮・・・関節が動く運動 起始と停止が近づくあるいは遠のく動き。

 等張性収縮・・・・求心性収縮と遠心性収縮があります

  求心性収縮:発揮する筋力が抵抗より大きい場合、筋肉は短縮しながら収縮する。

  遠心性収縮:反対に筋力より抵抗が大きい場合は収縮している筋肉が引き伸ばされる。。

 たとえば筋力を考えてみると
 肘を曲げるときは上腕二頭筋が収縮しつつ、上腕三頭筋も肘を曲げる動作に抵抗しながら
 収縮しコントロールされつつ肘が曲るという動作が行われています。
 上腕二頭筋が求心性収縮し、上腕三頭筋が遠心収縮しながら肘が曲がっていく。
 反対に肘を伸ばすときは
 上腕三頭筋が収縮しながら肘を伸ばしていますが、同時に上腕二頭筋も伸ばす動作に抵抗
 しながら 収縮しコントロールされつつ肘が伸びる動作が行われています。
 上腕三頭筋が求心性収縮し、上腕二頭筋が遠心収縮しながら肘が伸びていく。
 このような筋肉の収縮で肘の屈曲、伸展という肘の曲げ伸ばし運動ができるのです。



前外側スプリントに関連する筋肉は、

 下肢前面の筋肉は前脛骨筋。腓骨筋・・足首を背屈

 下肢後面の筋肉は腓腹筋・・足首を底屈。・・・強力な足関節の屈筋です。

これらの筋群は拮抗関係にあるのですが、屈筋の力の方がはるかに強く、
 
伸筋の力は弱いために伸筋である下肢前面の筋が過剰に繰り返し

引き伸ばされ、脛骨の前面の骨膜や腓骨の骨膜に痛みと炎症が起こります。

 先ほどの筋肉の収縮の点から考えると、
 
 足首を底屈し屈曲する際には、(ジャンプなどを想像してください)
   足の屈筋である腓腹筋の求心性収縮が強すぎ、同時に遠心性収縮する前傾骨筋や
   腓骨筋の力が弱いために、筋肉の遠位付着部に大きなストレスがかかりすぎるのです。
   そして結果的に後内側スプリントと同じように骨膜に炎症が起こります。

   普段の動作でも長時間歩行すると脚の後ろより脛の前が疲れるのも同様です。

   このタイプの傷害はジャンプなどの動作が多いスポーツ、や練習に多く発生しやすい。

   バレーボール、バスケットやウサギ跳びなどに多いです。



<症状>

 脛骨前面や外側が痛みます

 運動中と特に踵が地面に着地した直後に痛みが出ます。

<治療>

 後内側シンスプリントに順ずる。


 エクササイズは注意を要する。

シンスプリントは筋肉の使いすぎの疾患ということを忘れないように!!

オーバーユースですよ〜〜〜。


問題はまだまだ続きますよ〜〜〜。

問題はこの先ですよ〜〜。

この状態をガマンして続けると筋肉・腱の付着している骨膜が、

ついに耐え切れなくなり・・・・・・・・・・・・・・、

ビリッ!!ビリビリ!!バシッ!!と骨から骨膜が剥がれてしまい、

骨折!! に至ってしまいます。

疲労性骨折です。


後内側シンスプリント、前外側シンスプリントともに

これらの症状がひどくなると疲労性骨折になってしまうのです。

つまりシンスプリントは疲労骨折の一歩手前の準備段階の症状なのです。


シンスプリントは疲労骨折の予告です。

この状態は一日も早く治そう!!




よく起こる疲労性骨折


○脛骨疲労性骨折

 脛骨下三分の一・・・跳躍型バスケットやバレーボール

 脛骨上三分の一・・疾走型陸上の長距離

○腓骨疲労性骨折

 腓骨上部・・跳躍型 ウサビ跳び

 腓骨下部・・・疾走型

その他の疲労性骨折

 ○中足骨疲労性骨折:第2、第3中足骨に好発する。

       以前は軍隊の行軍骨折と呼ばれたが、陸上・バスケット・剣道

       テニスなどのスポーツに多い。



ここで少し下腿の筋肉の概要のお勉強  読みたくない人はクリック

●下腿の後側の筋肉 (屈筋になります)

 1〜3の筋肉はよくスポーツなどで傷害されます。

是非、覚えてください。

<浅層筋>

1、ヒラメ筋

起始:脛骨後面のヒラメ筋線、脛骨内側縁、腓骨頭、腓骨と脛骨との間に張るヒラメ筋腱弓
停止:腓腹筋の腱とともに踵骨腱(アキレス腱)に着く。

2、腓腹筋
起始:内側頭は大腿骨の内側上顆、外側頭は大腿骨の外側上顆からおこりともに合わさって
    幅の広い腱となる
停止:ヒラメ筋腱と融合し踵骨腱(アキレス腱)となろ踵骨隆起に着く。

1、のヒラメ筋と2、の腓腹筋を併せて、下腿三頭筋と呼んでいます。

3、足底筋
起始:大腿骨の外側上顆、膝関節包ことにその弓状膝窩靭帯から起こり、まもなく腱となり、
    長い薄い腱は腓腹筋とヒラメ筋との間を下行する。
停止:踵骨の内側につき、あるいは踵骨腱(アキレス腱)にいたる。
    また、下腿筋膜・足底筋膜にもつく

4膝窩筋
起始:大腿骨の外側顆、外側側副靭帯および膝関節包からおこり、下内側方に走る
停止:脛骨の後面でヒラメ筋線より上方

<深層筋>

5、長趾屈筋・・ヒラメ筋のすぐ下
起始:脛骨の後面、下腿骨間膜から、長母趾屈筋の内側を下方に進んで腱となり、腱は内果の
   後方で屈筋支帯および載距突起のしたをくぐって足底に出る。
停止:第2〜第5趾にいたり各腱は短趾屈筋の筋裂孔を貫いて第2〜第5趾末節骨底につく

6、後脛骨筋
起始:脛骨の後面、腓骨の内側面、下腿骨間膜の後面から起こり、強い腱は筋肉の内側から
   起こり内果の後方に進み、下方に転じ屈筋支帯の下を通って前方んまたがり、
   踵骨の載距突起と舟状骨粗面との間を走り足底に出る。
停止:舟状骨粗面、第1〜第3契状骨、立方骨、第2〜第4中足骨の底側面

7、長母趾屈筋
起始:腓骨の後面の下方3分の2、下腿骨間膜後面の下部から起こり、長趾屈筋の外側に
    沿って下り、その腱は距骨の後突起の溝を通り、踵骨の載距突起の下を通り、
    足底にでて前方にすすむ。
停止:母趾の末節骨につく。


次ぎに下腿の前面の筋肉

●下腿の前の筋 (伸筋になります)

1、前脛骨筋
起始:脛骨上方2分の1外側面、下腿酷寒膜上方3分の2の前面および下腿筋膜
停止:平たい腱になり下腿の前面下端で下伸筋支帯の下の内側部を通って
    第1契状骨突骨および第一中足骨底の側面につく

2、長趾伸筋・・・・・前脛骨筋の外側に沿って下方に走る。
起始:脛骨上端の外側面、腓骨の前縁、下腿骨間膜および下腿筋膜
停止:筋腹から起こる付着腱は4腱に分かれて、下伸筋支帯の外側部を通って足背に出て、
    第2〜5趾の趾背腱膜に移行する。

3、第3腓骨筋・・・・長趾伸筋が分かれて、独立したもの
起始:腓骨の下部から起こり、下伸筋支帯の外側部を通り足背に出る。
停止:第5中足骨底の背側面

4、長母趾伸筋・・・・前脛骨筋、長趾伸筋に被われて、下腿骨間膜の前方に有る、
起始:下腿骨間膜、腓骨中央部の内側面から起こり、その腱は下腿前面下部で前脛骨筋腱と
    長趾伸筋腱との間に現れ、下伸筋支帯の下の中央部を通り背側にいく。
停止:第1中足骨の背側面をへて母趾の趾背腱膜に移り、母趾末節骨の底につく。
    またその一部は基節骨につく。


●下腿の外側の筋肉

5、、長腓骨筋

起始:脛骨の外側顆、脛腓関節包、腓骨頭、腓骨の外側縁でその上方3分の2、前および後ろ
    下腿筋間中隔、下腿筋膜から出て、短腓骨筋の外側を下って腱となり、
    下部ではその後方にあり外果の後側にいき、上腓骨筋支帯によって固定され、
    前方にまたがり、さらに踵骨の外側で下腓骨筋支帯に固定され、
    第5中足骨底の後ろを回って足底に現れる。
停止第一契状骨、第一中足骨底

6、短腓骨筋・・・・長腓骨筋に被われて、長趾伸筋の後ろにある。
起始:腓骨の外側側面から起こり、長腓骨筋の内側を下り、その腱は次第に長腓骨筋腱の前方
   を走り、外果の後方で長腓骨腱戸ともに共同の鞘に包まれ、外側を進み踵骨の外側を通り
   腓骨筋滑車の上方で腱を固定する固有の腱鞘、すなわち上・下腓骨筋支帯の下を通る。
停止:第5中足骨粗面

以上。


まとめ

 シンスプリントは疲労性骨折の前兆

 
治療は安静に勝るものナシ。

 アイシングは氷ポチャン作戦。

 エクササイズは充分に注意しすぎてもしすぎることは無い。



次回はアキレス腱周囲から足底の傷害の予定です。
もしよければ今回の解剖を読んでいただけると、わかりやすいと思います。


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アキレス腱の断裂

これもスポーツの外傷で多くみられます。

下腿三頭筋の腓腹筋がヒラメ筋と融合しアキレス腱となり踵骨(かかと)の

踵骨隆起に付着します。

強力な屈筋である腓腹筋が足首を底屈する際に力をかかとに伝達する、

非常に太く大きな腱です。

<原因>

 下腿三頭筋が収縮している時に無理やり引き伸ばされた際

  前回の筋肉の収縮の仕方では等張性収縮の遠心性収縮に当たりますね


 しゃがんだ格好から突然勢いよく立ち上がったときなどに断裂しやすい。

 ママさんバレーボールでジャンプやレシーブの際よく遭遇されますね。

 部分断裂から完全断裂まで様々です。


<症状>

○ほとんどの受傷者は、アキレス腱の部分を強打されたように感じます。

○断裂した音を、隣人が聞くこともあるし、本人も感じる。

○つま先立ち歩行は不可能。

○完全断裂でもベタ足で歩行ができます。・・・・・注意!!

○足関節の底屈筋である足趾屈筋や足底筋により、足関節の底屈で歩行

 可能の場合もあります。・・・・・注意!!

アキレス腱の断裂は歩けない・・・・・常識のウソです。注意!!

上記2点がアキレス腱断裂を見逃し、陳旧性アキレス断裂の原因となります

陳旧性アキレス腱断裂は手術になります。


<診断>

 上記の症状に加えて、

 伏臥位で下腿の遠位部に枕などをおき足首を背屈させる。

 踵骨のかかと部からアキレス腱に沿ってゆっくりと膝窩の方向に、

 ゆっくりとていねいに指腹でやや押し気味に触診する。

 アキレス腱断裂部にペッコという陥没と圧痛を認めます。

 歩行や足関節底屈は可能でも腱断裂はあリマス。・・・注意

 何度も言いますが、アキレス腱断裂は歩行困難はウソです。・・・注意


<初期治療>

 RICEの処置は当然です。

 断裂部の拡大防止のため、

 足首は必ず尖足位で副子固定します。良肢位ではありません。・・注意!!

 尖足位:足首をできるだけ底屈させた位置です。

  足関節のU度以上の捻挫の固定は足関節の良肢位(足首が90度)でしたね。


 膝関節 軽度屈曲(30度)・足関節尖足位で大腿から趾まで副子固定し、
 
 松葉杖などで免荷して病院に搬送。


次ぎに問題なのが

保存療法か?手術か?

その人の社会的背景によって決定されるのですが、論議されていますが、

現状では手術が圧倒的に多い。

ただし、

手術でも保存療法でもギプス固定はされます。

固定期間は3〜6週間で

固定の方法も

膝の上から趾まで膝下から趾までのギプス

足関節の足位も尖足位から、やや底屈位、中間位のギプスと

加療の時期で順次変わって行きます。

荷重の有無も加療の時期で変わります。

ギプス除去後、足関節の可動域訓練に入ります。

リハビリは足関節とおおむね同様です。


ただし、断裂部の柔軟性が極端に落ちています。

無理なリハビリは再断裂を起こしやすく、注意が必要です。

また転倒や過度の運動での再断裂も起き易く注意が必要です。


その他の アキレス腱周囲の傷害

過度のスポーツはモチロンですが、

ジョギングや軽いスポーツでも害されたり、間違った歩行、あるいは

合わない靴の着用などが原因で長時間歩行する場合などに、

多くみられるアキレス腱周囲の傷害を簡単に紹介します。

モートン病以外は既にウォーキングの項目で紹介していますのでクリックしてください。

 ○アキレス腱炎

 ○踵の痛み

 ○足底筋膜炎

 ○趾屈筋

 ○モートン病

  中足骨の疲労骨折が第2、第3中足骨に多くみられるのに対し、

  長期の歩行後、急に発作的に

  第4、あるいは第3中足骨頭に激痛を発し、趾先まで放散する。

  特徴的なのは、靴を脱いで休めば痛みは消失する。

  原因は、脛骨神経から分かれた足底神経の趾への知覚枝が、

  中足骨骨頭間で圧迫刺激されるため。


<まとめ>

 アキレス腱断裂でも歩行は可能です。だまされるな!!注意!!

 アキレス腱の断裂は爪先立ち歩きができない。

 アキレス腱断裂の固定は足関節は尖足位かつ膝30度屈曲位

 ギプス除去後の再断裂に注意しろ!!



今回は腱の断裂でしたので、次回は挫傷・肉離れの予定です。



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挫傷、肉離れ

この負傷も多いですね。

筋の損傷ですが筋の断裂ではなく、

筋繊維の一部や筋膜、筋繊維間の軟部結合組織の損傷です。


前回のアキレス腱の断裂は

筋肉全体の連続性が絶たれている場合が筋・腱の断裂です。


筋肉全体の連続性が保たれている場合が挫傷・肉離れです。


厳密には発生する原因により、

 ○打撲による圧挫などの直達外力による筋肉の損傷を挫傷。

    骨挫傷:骨の打撲 ヒビが入る一歩手前の状態 膝に多いようです。
          確定診断はMRI
 治療は安静です。

 ○自家筋力による筋肉の損傷を肉離れと分類します。


多くは、スポーツ中に発症しやすい。

短距離の全力疾走、ハードル競技、バレバールなどの球技のジャンプなど


好発部位は下肢筋群に多く、頻度では

ハムストリングと呼ばれる大腿屈筋群(大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋)

大腿四頭筋、大腿内転筋、腓腹筋など

また、柔軟体操中などに大腿内転筋を負傷する人も多い

普段の生活では重いものを持ち上げたときなど

大胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋など


<症状>

 受傷時に本人は損傷音を感じるときもあります。

 損傷した筋の動作痛。

 損傷筋肉が引き伸ばされる時の伸展時の疼痛です。


<損傷の程度>

 ○T度(軽症)

   筋繊維や筋膜には変化がなく、筋肉間の軟部組織の損傷です。

 ○U度(中等度)

   筋繊維の一部の損傷があり、筋周囲膜に断裂を見ることがある。

 ○V度(重症)

   筋肉の部分断裂であり、瘢痕形成、癒着がある。


<診察>

 筋肉の緊張をなるべく除いた状態で行う。

 損傷筋肉を丁寧になぞると指先に凹部を感じる。

 凹部に圧痛が認められる。

 疼痛は損傷筋肉に抵抗を与え自動収縮させたり、伸展させると増悪する。

 出血班があれば、損傷の程度はU度の中等度以上と考えられる。

 出血班は損傷部位の圧痛部や重力により遠位部に認められる。

 数日後、損傷筋肉の圧痛はモチロン時に硬結や腫脹を認める。

 中等度では診察は簡単です。

 むしろ軽症で診断に迷います。

 軽い疼痛のみの場合、現場では、すぐにスポーツを再開し重症化しやすい。

 重症では剥離骨折を引き起こす場合もある。


<治療>

 ○RISE

 ○損傷筋肉の起始と停止を近づけた肢位での圧迫包帯と免荷

  要は損傷筋肉を伸展させないような肢位で圧迫包帯をしてください。

 ○中程度の場合でも受傷直後のテーピングや圧迫包帯により

   現場でスポーツの復帰は可能になるが、絶対に禁止!!
  

   このパターンで損傷を拡大させる場合が非常に多い!!

   U度程度の損傷がV度になってしまい筋肉の瘢痕化を残しやすい。

 ○V度の場合はエコー診断やMRI診断をすれば正確な判断できます。

 ○1週間は圧迫固定と免荷です。初期療法と同じです。

 ○1〜3週間は可動域訓練

 ○3週間以降は筋力強化

 ○スポーツ復帰は3週間以降です。焦るな!!


<リハビリの目安>

○3日以降 (熱感消失、自発痛の軽減後)

  負傷筋肉以外の運動、全身運動

○1週間〜3週間  (自発痛消失後)

  可動域訓練に入る。決して痛みのない範囲で行う。

  可動域全般にわたって痛みがなく、筋肉の伸展ができるようになれば、

  徐々に負荷をかけていく。

○3週間以降

  最初は等速性運動とし、徐々に負荷運動(必ずサポーターなど着用)

  ランニング、徐々にスピードアップ

  筋力強化100%を経て対人競技のスポーツに復帰する。

※トレーニング後は必ず損傷部位をアイシング

※トレーニング復帰直後は、再発しやすく筋肉の瘢痕化を残しやすく、

  筋肉の収縮がうまく行われなくなり、慢性的な肉離れに移行しやすい。

  最悪選手生命を断念せざる場合も多い。

  競技復帰を焦るな!!


 等速性運動とは、筋肉の収縮の仕方では特殊な動的収縮になります。
 関節運動の角度・速さを一定に保ちながら筋収縮させる動的な筋肉の収縮です。
 等速性筋力分析装置により筋力を正確に測定しつつ、等速度性訓練器を使用し主に、
 膝・股・足関節の筋力トレーニングに利用されている特殊な動的収縮です。
 この機器は今では、スポーツ選手のトレーニングや筋力の評価に欠くことができない
 訓練機器とされて利用されております。・・・・・・残念ですが当院にはありません。

 実際は我々のような整骨院・鍼灸院レベル程度の施設には、あえて必要ないのでしょうが、
 スポーツ傷害を看板としてされている整骨院、スポーツ傷害を多く扱われている医院・病院や、
 リハビリ専門施設や整形外科において、理学療法士がしっかりとリハビリされいる施設には、
 常設されている機器であります。


<ちなみに筋力トレーニングのランクをスポーツレベル別に分けると>
 トップレベルが17〜20  女性トップレベルが15〜16 女性スポーツレベルで11〜12

 レクレーション程度のスポーツのレベルが9〜10 女性が7〜8 筋力不足レベルで5〜6
 と分けられています。
 つまり、上記の等速度性訓練器は、
 当院が目的としているエクササイズではなくて、
 競技復帰のリハビリの一環として筋力トレーニングが10レベル以上が必要な皆さんが
 トレーニングに取り組まれる場合には、等速度性訓練器などは必要不可欠な機器になります。
 リハビリ専門施設、あるいはスポーツ傷害を掲げられている医院、施設でシッカリとした治療と
 管理された中での筋力トレーニングに励まれ、スポーツの現役復帰を目指してください。
 

治療を受けながら筋肉の瘢痕化を防ぎながらのリハビリが必要です。

皆さんが信頼されている先生の指示に従ってください。


<リハビリ、トレーニングの注意点>

○どのような目的のリハビリテーションであれ、筋力トレーニングであれ、

 痛みを我慢して行ってはいけません。

 痛みは身体の正常反応です。

 原因を除去しつつトレーニングを続けることが原則です。

 痛みを無視して、筋力トレーニングを続けても全く効果はありません。

 それどころか・・・・・、

 反射性の筋萎縮やRSDをおこして、筋力を低下させます。


<まとめ>

スポーツの最中に筋肉の損傷が発生すれば、競技の即時中止!!

初期治療はRICE

再負傷を起こしやすく、選手生命を断念せざる場合もあります。

競技復帰を焦るな!!

 

次ぎは膝周囲に起こる傷害について述べようの思っています。 既に

各種の膝の疾患   膝の痛み  膝に対する質問  膝のエクササイズ と

膝については、述べていますが外傷として別の観点から述べてみようと思います。


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膝の外傷
  <始めに知っていただきたいこと


スポーツ傷害はもとより日常的に膝関節の傷害は非常に多くみられます。

なぜでしょうか?


★膝関節構造自体が大きな弱点

○膝関節は身体の中で最大の関節であり、最も複雑な関節です。

○全体重という大きな荷重に耐えている荷重関節です。

○大腿骨の内・外側顆と脛骨の内・外側顆、それ膝蓋骨で構成されている

 関節です。

 大腿ー脛骨関節、膝蓋―大腿関節で構成される複合関節です。

○人体の中で、運動で高度な負荷を受ける関節で、最も酷使されやすい。

 ○関節の形状は、大腿骨表面は凸状で、脛骨上関節面および膝蓋骨

 後面は、ほぼ扁平でいびつな関節面です。

そのために、内側半月板、外側半月板という一種のクッションの役目の

大きな軟骨が脛骨に付着しています。

半月板は大腿骨の内外側顆と関節面を形成し、体重の負荷を分散し、

膝関節の安定性を増加させる。

○関節の安定維持するために、特殊な靭帯をもつ。

 関節包内に前十字靭帯・後十字靭帯の二本の靭帯

 関節包外に内側側副靭帯・外側側副靭帯の二本の靭帯

○分厚い関節包の壁に囲まれている股関節や肩の関節と異なり、

 関節と隣り合う筋肉はすぐに筋から腱に移行する表在性の関節です。

 筋肉から、関節隣接部で終末腱へと移行している。

○膝関節は筋肉の付着部が関節運動の中心軸に近いため、股関節に比べ、

 運動の力学的効率と安定化機構が劣っている。そのために

 強い張力をうける靭帯系により安定化され、動さなければならない。


あらゆる筋肉は、

それ自体関節を動かす動作筋としての筋肉本来の作用のほかに、

関節自体を安定化させるという重要な作用をもつ。・・・・ポイント

その膝の筋肉が力学的効率も膝関節の安定化の機構も悪いのです。


その膝の筋肉に続く終末腱である、

もし靭帯が損傷すれば、あるいは膝関節の安定機構の半月板が損傷すれば、

しかも残念ながら、靭帯も半月板も血行が少なく再生能力は低いのです。


膝の関節のエクササイズが重要な理由です

   膝のエクササイズ 座位でのエクササイズ   ベッド上でのエクササイズ


<簡単にまとめると>

 ●膝関節は、身体で最も大きな、かつ最も複雑な関節に属する。

 ●膝は強力な筋肉と強い張力を受ける靭帯により、シッカリと安定されて、

  動かなければならない。

 ●力学的なストレスにさらされしつつ、なおかつ自由に安全を確保しながら

   運動する関節として保持することは非常に困難な関節なのです。
 
 ●膝関節安定機構の半月板や靭帯は血行に乏しく再生能力が低い。


<膝関節を構成する骨>

大腿骨、脛骨、および膝蓋骨で、腓骨は関節の構成に関与しない。

大腿骨と脛骨との間の関節は蝶番関節

関節面は大腿骨顆が強い凸面をなすが脛骨の関節面が扁平なために、

接触面は左・右2個の繊維軟骨から成る外側半月・内側半月に補われる。


<膝関節を構成する主な筋肉>、


○膝の前面の筋肉(大腿四頭筋)

  1、大腿直筋は腸骨から四頭筋腱をへて膝蓋骨に付着する2関節筋

  2、外側広筋

  3、内側広筋

  4、中間広筋はその繊維が膝蓋上包に付着する。
  
  大腿四頭筋全体の末鞘の腱である膝蓋靭帯は脛骨粗面に付着する。

○後方の筋肉(唯一膝関節後方の関節包は分厚く膝の過伸展を防いでいる)

  半膜様筋、膝窩筋、腓腹筋など

○内側側方の筋肉

  半腱様筋、薄筋、縫工筋・広筋支帯など

○外側側方の筋肉

  腸脛靭帯、大腿筋膜張筋(大殿筋)、広筋支帯など

以上の筋肉により、

膝関節の運動と膝関節の安定化の役目がを果たされています。


次ぎに、膝関節を構成している骨と骨を連結している、

各種の靭帯が膝関節の一定の動きを制限させ膝関節を安定させます。


<膝関節本来の安定化に重要な主な靭帯>

○前十字靭帯は脛骨の前方への変位を防御する。

○後十字靭帯は前十字靭帯より強く脛骨の後方への変位を防御する。

○内側側副靭帯は関節内方への離開を防ぐ。

○外側側副靭帯は関節外方への離開を防ぐ。


<解剖のお勉強>

前十字靭帯:脛骨の前顆間の内側部から大腿骨外側顆の内面後部につく

後十字靭帯:脛骨の後果敢区の内側部からおこり外側半月の繊維を受け、前上内側方に
        のぼり、前十字靭帯の後側をとおり、大腿骨内側顆の内面前部につく

外側側副靭帯:大腿骨の外側上顆から起こり、
          外側半月の外側縁、腓骨頭の尖端および外側面につく

内側側副靭帯:大腿骨の内側上顆から起こり脛骨の内側顆(強い)および 
          内側半月内側縁(弱い)につく



一般の治療院のレベルでは、

日常的な臨床としては、靭帯の大きな外傷は、少ないかな?と思っています。

むしろ、過去の傷害が基盤にあり、わずかな外力で膝を受傷したり、あるいは

加齢が基盤にあり、わずかな外力により受傷し傷害される場合が多いです。

また、純粋な膝の外傷では、やはりスポーツ傷害が圧倒的に多く、次に

転倒などの日常的な事故が多い。


<当院からのお願い>

このホームページでは膝・腰・肩などのエクササイズの紹介でも普通の人が、

普通の日常生活に戻れるような安全なことを紹介しています。

したがって、前回の筋力トレーニングのレベルで紹介しているように、

あえて、選手の競技復帰までの詳しいトレーニングは紹介していません。


膝の傷害は当然ですが、その他の腰・肩などの関節の痛み治療から、

復帰のエクササイズなどの指導やアドバイスは治療院として対処できますが、

残念ながら私のような、一般的な治療院レベルでは、

選手個人レベルに合わせる等速性筋力測定器も等速性運動の訓機器も

ありませんし、選手を管理する人材の確保、時間の確保もできません。

また、アスレチックトレーニングに必要な各種の機器の確保や、

トレーニングに必要な広さの場所の確保も困難で不可能です。

スポーツレベルの高い人は、

是非そのような、設備が整っており、、充分な人的、時間的にも整っている、

スポーツ傷害の病院・医院、あるいは施設で治療と管理をしていただきたい。


長くなりましたので今回はここまで、次回は膝の靭帯の外傷を紹介していきます。


その前に、

皆さん!! 一度他人の膝を、是非触れてみてください!!

もし、相手がいなければ自分自身の膝でもかまいません。

 
膝は表在性の関節でしかも大きな関節であるおかげで、大雑把ですが

レントゲンが撮影できなくてもある程度の診断が可能です。

当然ですが、確定診断はレントゲンはモチロン、MRI検査に委だななければなりません。


<まず、膝を触れてみよう!!>

まず椅子やべッドの上に座って膝を90度に曲げ力を抜いてから始めましょう。

膝屈曲位で膝蓋腱の両側の皮膚のくぼみに指を置く。この陥凹が触診のポイントです。

この陥凹を圧迫すると、大腿骨と脛骨の間の膝の関節列隙を触れることができます。

まず、この関節列隙を触れてください触診の最初に必要です。

関節列隙を内側にたぐっていくと、前から順に内側半月板前角、内側側副靭帯、内側半月板後角
を触れることができます。

半月板付着部で半月板損傷時はここに沿って圧痛がそんざいし、感度も高い。

内側側副靭帯損傷では関節列隙ではなく、靭帯の骨の付着部に圧痛がある場合が多い。
内側側副靭帯それ自体は、はっきりとは触診できないように思います。(幅が広いため?)
内側側副靭帯は骨付着部に注意しろ!!

関節列隙から外側へなぞると外側半月板がある。

外側側副靭帯は膝を組むとその上を覆う腸脛靭帯が緩むためによく触れるることができます。
硬く索状に触れるのが外側側副靭帯で、腓骨頭につきます。

大腿二頭筋も腓骨頭につき筋群の最も黄ハウに触れることができる。
腸脛靭帯はその上方に触れることができ、脛骨のGerdyれづ結節につく。

簡単には、膝を組んで、外側に在る腓骨頭を触れてみます。
この腓骨等にシッカリと付着しているのが大腿二頭筋、その上方に触れるのが腸脛靭帯です。
外側側副靭帯は腸脛靭帯に覆われた、下にある硬い索状の靭帯です。

腸脛靭帯炎は大腿骨外側上顆の2〜3センチ近位で腸脛靭帯を圧迫しながら、
膝屈曲位から伸展させようとすると、痛みのために伸展できない。

再び膝蓋腱に戻ります。

ここから下にたどると、脛骨粗面がある。

オスグッドシュラッター病はここに圧痛が在ります
ジャンパーー膝は膝蓋骨の下縁または上縁にあ痛がある。
膝蓋骨上は滑液包があり、滑液鞄炎を起こせばここに熱感・発熱・圧痛や液貯留がある。

膝蓋骨の触診は伸展位のほうが分かりやすい。
力を抜かせて膝蓋骨をずらすと裏の関節面を触れることができる。

膝蓋骨を外方にずらし多時非常に怖がる場合は膝蓋骨脱臼の既往症のある場合が多い。
膝蓋骨を左右に動かした時、ゴリゴリとした摩擦感が出る場合は変形性膝関節症。
膝蓋骨内側に圧痛が有る場合は「たな傷害」という内側滑膜ひだの傷害を疑う。

もう一度脛骨粗面に戻ります。脛骨粗面の内側に指をなぞっていくと腱の塊を触れます。
ここは脛骨内側顆 につく鵞足(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の付着部になります。

この部に圧痛があれば鵞足腱炎を疑う。


いかがですか? 確認できましたか?

きっと、役に立ちます。

それでは、次回は膝関節の靭帯の損傷です。


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膝関節の靭帯損傷 総論


膝の靭帯の外傷も損傷の程度の差はありますが、多く遭遇します。


<損傷する靭帯の種類>

前十字靭帯損傷・・・・・半月板損傷を合併しやすい。

内側側副靭帯損傷

外側側副靭帯損傷・・・・少ない。

後十字靭帯損傷


前十字靭帯損傷と内側側副靭帯損傷と半月板の損傷の合併した場合を、

「不幸の三主徴」という。

スポーツ競技においては競技復帰に早くて6ヶ月から約1年かかります。


<損傷の程度>

 T〜V度に分類されます。

 グレードT:局所の腫脹・疼痛の少なく膝の動揺性は認められない。

 グレードU:靭帯の部分断裂。

        軽い膝の動揺性を認める。

        腫脹・熱感、局所の圧痛も顕著

 グレードV:靭帯の完全断裂。

        高度な膝の動揺性を認める。

        出血、腫脹、圧痛も著しい。


<診断>

膝の障害の診断は触診と徒手検査によりかなりの診断が可能です。

 レントゲンが無くても?   確定診断はMRIによります。

 かなり確かな診断が可能ですので、紹介しておきます。

 圧痛については、前回の<まず!膝を触れてみよう!!>から。


まず。


★圧痛を調べる

 圧痛部位により膝の靭帯や半月板を特定する

 内側にあれば内側側副靭帯や内側半月板損傷

 外側にあれば外側側副靭帯や腸脛靭帯の損傷

 前面にあれば膝蓋靭帯や膝蓋骨骨折

 等を疑う。・・・・・解剖が重要です。


次ぎに、

★膝の動揺性を調べる。(膝の動揺テスト)

 靭帯損傷の程度により膝関節の一定方向に動揺性が現れてきます。

 膝の動揺性を調べることにより損傷部位を推測できます。

 診断とともに損傷の程度、あるいは予後までの推定が可能となります。

 代表的な徒手検査のストレステスト(膝の動揺性テスト)を述べます。


必ず健側と患側を比較してください。

内側側副靭帯損傷

 ○外反ストレステスト

  膝30度屈曲位で大腿外側部と下腿遠位部を両手で押さえ、外反を強要

  陽性であれば、内側側副靭帯損傷を疑う。


外側側副靭帯損傷


 ○内反ストレステスト

  外反ストレステストと同様の手技で、内反を強要する。

  陽性であれば、外側側副靭帯損傷を疑う。


膝伸展位で外反と内反の不安定性をまずみる。

次に、膝30度屈曲位で動揺に外反・内反をみる。


側副靭帯の単独損傷の場合は伸展位では陰性。屈曲位で陽性になる。

伸展位で陽性の場合は、前十字靭帯あるいは後十字靭帯の損傷を伴う。


前十字靭帯損傷


○前方引き出しテスト

 膝90度屈曲位で、力を抜かせ、両手で下腿近位部を握り、母指で膝蓋骨を

 押さえるようにして下腿を前方に引き出す。

○ラックマンテスト

 膝30度屈曲位で片手で大腿骨外側を、もう一方の手で脛骨粗面を握り

 前方引き出しテストを行う。

 90度屈曲位の前方引き出しテストより感度がよく、前方動揺性が少ない

 場合、あるいは、90度屈曲位ができない場合などに有用です。

 前十字靭帯では最も感度のよいストレステストです。

○Nテスト

 膝関節を内旋外反させながら、

 膝屈曲位から徐々に伸展していくと20〜30度の屈曲角度で脛骨が、

 大腿骨から前内方向に滑り出し不安感や疼痛を訴える。


後十字靭帯損傷

○後方引き出しテスト
 
 前方引き出しテストと同様の手技で下腿近位部を後方に押し込み、

 異常可動性を見る。

○ザギングサイン

  診察台で両膝を90度屈曲させたまま、真横より観察する。

  患側の脛骨粗面が脛骨自身の重力により脛骨前縁が健側より下方に、

  落ちて込んでいるか否かをみる。


以上述べましたように、

圧痛や、これらストレステストの徒手検査確を行うことで、およそ膝関節の

どの靭帯が損傷しているかの確認ができます。


<なぜこのようになるのか? 少し考えて見ましょう>興味のない方飛ばして読む

膝の靭帯の役目は?

当然膝の安定性(運動制限・運動方向)の確保ですね。


○側方の安定性は、

 完全伸展位では膝は安定

 20〜60度では、膝は少し不安定

 60度以上では、膝はほぼ安定


○前後方向の安定性は、

 十字靭帯は膝の角度のいかんにかかわらず、

 常に緊張し前後方向の移動を防ぐ。

 完全に安定しています。

 つまり前後の引き出しは存在しないことになる。


○回旋に対する安定性は、

 1、完全伸展位では、膝の軸回旋は存在しない。

      仮に、側副靭帯のみであれば膝の内旋は少し可能

      仮に、十字靭帯のみであれば膝の外旋は少し可能。

  したがって、この安定性は側副靭帯と十字靭帯の両機能による。

  外旋は両側の側副靭帯・後十字靭帯により制限されている。

  内旋は前・後十字靭帯により制限されている。

  回旋域の角度はわずか10度程度


 2、屈曲位では膝の軸回旋が可能になります。

  20〜60度の屈曲位では可能

  外旋は内側側副靭帯と後十字靭帯の緊張、および内側半月板により制限

  内旋は前十字靭帯により制限される。

  60度屈曲位で回旋域は30度になり、

  膝は最大の回旋に対して不安定性を発揮することになる。

  この膝関節60度屈曲位が膝関節の最大危機にさらされた肢位です。


<この事実がスポーツによる靭帯損傷の受傷機転の典型例です>

サッカー、スキーヤー、ラクビーなどの多くみられます。・・たとえば

サッカーのシュートなどのように蹴り脚が60度屈曲・外反・外旋が

強要されると、内側側副靭帯に強い緊張がかかる。

結果的にもし内側側副靭帯が断裂すると、外旋は前十字靭帯によって

制動されないので、外旋が増加し、回旋域が55度になってしまう。

もし、この外旋がこの限度をこえて強要されれば、結果的に

前十字靭帯の断裂も起こりえる。

つまり前十字靭帯が損傷していれば、内側側副靭帯の損傷も疑うべきです。


 90度の屈曲位では

  十字靭帯が緊張し内側側側副靭帯はほんのわずか弛緩する。

  可動域は相対的に減少し、20度になる。


以上、膝関節の肢位による安定性から、

受傷時の膝の肢位を知ることで負傷する靭帯を容易に予想できる。


<受傷時の膝の肢位>

 ○膝軽度屈曲位、外反外旋位・・・・・内側側副靭帯、前十字靭帯

 ○膝軽度屈曲位、内反内旋位・・・・・外側側副靭帯、後十字靭帯

 ○膝過伸展位・・・・・・・前・後十字靭帯
 
 ○膝を深く屈曲位での後方押し込み位・・・後十字靭帯

 ○前十字靭帯損傷時は内側側副靭帯を疑え。

以上を詳しく聞きだし、確認し診断してみる。


<初期治療>

グレードT:RICE

グレードU:RICE、シーネ固定あるいは膝装具による固定

ゲレードV:RICE、現場でシーネ固定、その後はギプス固定あるいは手術



今回はここまで、 膝関節靭帯の損傷を疑ったとき、


<まとめ>

○受傷時の膝の肢位を聞き出す。

○靭帯の圧痛を調べる。

○ストレステストを調べる。

○ストレステストが陽性反応ならば、損傷の程度はU度以上。

○初期治療はRICE 

 損傷の程度がU度以上はシーネ固定、固定後は病院搬送でMRI診断



次回は膝関節靭帯損傷の各論に移ります。


余計なことかもしれませんが

覚えておきたい。 知っておきたい。 膝の運動の常識です。

下腿の屈伸をおこなうが、
伸展と同時に下腿を少し外側に回旋し、屈曲するときは少し内側方に回旋する。

膝蓋骨は、膝の屈伸に共同して働く。


<屈曲・伸展・内反・外反・内旋・外旋運動>

太ももの大腿骨軸と下腿部の腓骨軸を中心に考える。

○伸展

完全伸展位を基本肢位とする。・・・・角度0度

膝関節の正常伸展は0度か過伸展でも数度です。

起立して、横から見て前記の両軸が前方に向かって開く角度を形成している膝を反張膝という。

脊髄性小児麻痺の患者にしばしば見られます。

軽度の過伸展は、両側性であれば正常です。

一般には、小児や若い人のみにみられます。 大人になると正常に戻ります。


○屈曲角度は

大腿軸と下腿軸とが後方で作る角度を180度から引いた角度で表す。

正常の膝関節は自動的運動では完全伸展位から135度程度。
股股関節の影響設けます
股関節伸展位では140度。 股関節屈曲位では120度。

他動的屈曲では、
踵をお尻まで接触できます大腿・下腿後面の筋群の影響で制限をうけ150〜160度。

患者を立たせて、横から観察し、膝関節が完全伸展ができるかどうかに注意してみる。

指示したように伸展できない場合、特に片側が屈曲している場合は病変を疑う。


○横への運動(前額面において)

わずかな外反(外転)が可能

わずかな内反(内転が)可能

病態学には患側と健側の比較をするので側方動揺と呼ぶ。

大腿骨からみた脛骨の前後への運動は存在しない。


起立して横から正面から見て

下腿骨軸が大腿骨軸にたいして外方に屈曲している場合を外反膝

下腿骨軸が大腿骨軸にたいして内方に屈曲している場合を内反膝

ただし生理的にわずかに下腿は外反位にありおよそ173度程度

外反膝が両側にあるとX脚

内反膝が両側にあるとO脚


乳幼児はすべてO脚で、その後2歳ぐらいでO脚が消失し、その後徐々にX脚に移行し、

5、6歳ごろにX脚が最大になり、、その後は徐々に正常脚になる。

ただし、3歳以下で左右の膝をぴったりつけたときの両下腿の左右の内果の間の距離が、
3センチ以上在る場合の、X脚のときは専門医を受診してください。


○軸回旋の運動

この回旋は下腿の回旋になるわけです。

内旋・・・足先を内側に向ける動作。

外旋・・・足先を外側に向ける動作。

その角度は膝関節の屈曲角度によって栄影響されます。・・・今回の膝の回旋に対する安定性

膝の伸展時は外旋し、屈曲時は内旋します。

以上を常識として知っておいてください。


次回は膝関節靭帯損傷の各論を説明します。


ページの頭に




膝関節 靭帯損傷の各論


★内側側副靭帯損傷

 膝靭帯損傷で最も頻度が高い。

 膝関節が外反、外旋を強制されると生じます。・・たとえば、

 ラクビーなどで外側からタックルを受けたり、柔道で大外狩りを受けたり

 して、膝が内側に強く押し出される格好になると損傷します。

<症状と診断>

 膝関節内側部の疼痛、腫脹、膝関節外反強制時の疼痛、外反動揺性

 外反ストレステスト陽性
 
 外力の強さで単独損傷か複合損傷かに分かれます。

 単独損傷では膝内側に腫脹が出現する程度です。

 複合損傷では膝全体に腫脹が出現し、膝関節は軽度に屈曲位に固定され
 
 完全伸展は困難になります。

 複合損傷では外反ストレステストが強い場合は剥離骨折を疑い、

 異様に強い場合は十字靭帯損傷、半月板損傷の合併も疑います。

 確定診断はMRI,関節鏡検査による。


<初期治療>

 RICE

 局所の安静、固定には弾力包帯やニーブレースなどを用いる。


<治療>

 内側側副靭帯単独損傷の場合の基本は保存療法です。

 グレードUでは膝装具あるいはギプス固定。

 グレードVではギプス固定になります。 

ただし複合靭帯の損傷時、

 特に前十字靭帯との合併症は基本的には手術になります。

 重症では前・後十字靭帯損傷や半月板の損傷などが合併します。
 
 内側側副靭帯、前十字靭帯、内側半月板損傷の合併症を

 「不幸の3兆候」という。

 年齢、職業、スポーツなどにより靭帯再腱手術などが考慮されます。


<リハビリ>

 必ず膝を安定させるため膝装具を着用しながら膝の関節の内側や外側が、

 グラグラしないように安定させながら膝可動域と筋力の回復を図る。

基本のエクササイズは

 ○激しい痛みや腫脹が減少すれば受傷関節以外の関節の自動運動

 ○安静時痛が消失すれば、

  大腿四頭筋のストレッチハムストリングスのストレッチなど

  レッグレンジングなどの自重をもちいた等尺性収縮(アイソメトリックス)

  による筋力強化などを痛みのない範囲で徐々に実施する。

 ○運動時が消失すれば、

  徐々に負荷を加えた自動運動から他動的なトレーニングに移る。

  マシントレーニングなどの実施になります。

 ※必ずエクササイズ実施後はアイシングを忘れないように

  手術後約6週程度からランニングを始める。

  競技復帰はグレードUで2ヶ月後、グレードVでは3ヶ月を目安とします。

  必ず膝関節固定の装具を装着して実施してください。

 
 十字靭帯損傷の合併時は前十字靭帯損傷に準じる。


★外側側副靭帯損傷

膝靭帯のなかでは最も頻度が低く、問題になることが少ない。

膝窩筋腱や弓状靭帯、膝窩腓骨靭帯とともに膝の後ろ外側構成体を

構成している靭帯で、膝関節の内反内旋を強要されると損傷します。

内側側副靭帯の逆の方向のストレスの強要で起こります。

外側側副靭帯単独損傷は確かにすくないが、・・・

注意!!

単独損傷の頻度は少ないが、

十字靭帯や後外側支持機構の損傷を合併しやすいので診断には注意!!

膝の前内側部に打撲やスリ傷が在る場合。

膝関節屈曲位で脛骨が大腿骨に対して外旋しながら後方にズレる外力が

加わった場合に見られる。


<症状と診断>

 膝関節外側部の疼痛、限局性圧痛、腫脹。

 内反ストレステスト陽性


<治療>

内側側副靭帯に順じます。


★前十字靭帯損傷(ACL損傷)

前十字靭帯は、膝関節の動きの中心になる重要な靭帯です。

この靭帯は下腿が大腿に対して前にずれないように抑える働きをします。


膝のスポーツ外傷の中でも頻度は高い。

膝過伸展の強要や内側側副靭帯と同様に外旋外反の強制時に受傷する。

たとえばバスケットなどのピポットターン、ラクビーのタックルや柔道の

大外狩りなどで膝が内側前方に押されたとき、ジャンプからの着地や

急停止や方向転換などにより、脛骨に前方ストレスが加わった場合など

様々な状況で損傷します。


<症状と診断>

 受傷時にビシとした音を感じる。

 膝には激しい痛みが起き、痛みのために体をかけることができなくなる。

 体重をかけると膝がガクガクするような不安定感を感じる。

 膝くずれ症状が見られる。(giving way: 歩行中膝がガクンと折れ曲がる)

 新鮮例では膝関節内血腫が存在し、膝が短時間で腫れます。

 膝蓋跳動がみられます。

 ストレステスト陽性。

 多くは内側側副靭帯、半月板損傷を合併しやすい。


<治療>

 現場では内側側副靭帯に準じます、。・・・が、

 前十字靭帯損傷は自然治癒が通常期待できません。

●前十字靭帯と後十字靭帯は関節内に存在する靭帯(関節内靭帯)で、

 周囲の薄い膜から栄養の補給を受けています。

 そのために、靭帯が断裂して膜からの血行がなくなると、靭帯に栄養が

 いきわたらず靭帯が壊死してしまいます。

 完全断裂の場合は、自然治癒や縫合術では治癒が難しい。

 手術により靭帯を新たに形成する手術を行う必要があります。


 MRI検査や関節鏡検査により正確な診断により、原則的には手術です。

 手術は、膝蓋靭帯や半腱様筋腱を用いた再建手術が一般的です。

 
リハビリは内側側副靭帯に準じますが

 術後のリハビリは最低6ヶ月以上は必要です。

 
注意する点は、

 自動運動のレッグレイジング動作は前十字靭帯に負荷がかかりやすく、

 運動する片方の膝は必ず、軽度屈曲位で行う。


 他動的トレーニングは自転車エルゴー、レッグカール、スクワットなど

 他動的トレーニングでよく行われるレッグエクステンション動作は再腱した

 前十字靭帯に過剰な負荷がかかるので特に注意して行う。

 
 ランニングは手術後、2ヵ月以降から始めるが最初は注意。

 ランニングの際足先を常に正面に向ける姿勢を保つような動きの

 トレーニングを必ず混ぜて行う。 (ツイスティング、8の字走行など)

 
 6ヶ月以上過ぎてから前十字靭帯用ブレース着用しての復帰です。

 当然リハビリの最中も膝の安定のため装具の着用は必要です。


★後十字靭帯損傷(PCL損傷)

頻度は少ないといわれていますが、接骨院レベルではむしろ感覚的には

前十字靭帯損傷より多いように思っています。


おそらく前十字靭帯損傷時は症状が激しく、血腫のため膝がパンパンに

腫れ自発痛も強く歩行障害も目立つので、病院に直行されるのでしょう。

一方の後十字靭帯はあまり症状が目立たないため、単なる膝の捻挫と

認識される傾向があります。→陳旧化しやすい。

後方引き出しテスト陽性で病院に紹介というパターンが多いです。


膝屈曲位で脛骨に後方ストレスがかかった場合に起こる。 たとえば

膝から床やグランドに落ちるコンタクトスポーツや、交通事故による

ダッシュボード損傷にみられる。


<症状と診断>

膝窩部の疼痛。

剥離骨折を伴いやすい。→膝窩部に軽い内出血を認める場合もある。

膝の伸展時に膝窩あるいは膝の奥が痛むと訴える。

ストレステスト陽性


<治療>

前十字靭帯に準じますが、

完全断裂でない場合や後方引き出しテストが10ミリ以下の場合や

後外方回旋時の不安定性がない場合や、

膝を深く屈曲した位置からの伸展動作で不安感や疼痛を訴えなければ、

特殊な装具の着用ですむ場合もあります。

前十字靭帯損傷に比べると、日常生活動作には支障をきたすことが少ない。

そのために保存療法が多く選択されます。

反対に

後方引き出しテストが10ミリ以上と後外方回旋不安定性が合併し、

膝を深く屈曲した位置からの伸展動作で不安感や疼痛を訴えれば、

再腱手術の可能性があります。

年齢、職業、スポーツ等を考慮し決定されます。


確定診断はMRI、関節鏡による検査です。


リハビリは

手術を行わなかった場合は、大腿四頭筋の強化が主体になります。

再建手術を行なった場合は、前十字靭帯のリハビリに準じます。

競技の復帰は、6ヶ月を過ぎてから後十字靭帯用ブレース着用して復帰



<まとめ>

単独損傷か?複合損傷か?を必ず想定する。

診断は必ず膝全体の圧痛の確認とストレステスト全てを実施。

内側側副靭帯の単独損傷は基本は保存療法です。

内側側副靭帯は複合靭帯損傷を合併しやすい。 合併時は手術適応。

外側側副靭帯損傷は基本的には保存療法。

外側側副靭帯の単独損傷は稀。多くは複合損傷。


前・後十字靭帯は関節内靭帯であるので自然治癒しにくい。

前十字靭帯損傷の基本は靭帯再腱・移植手術。

後十字靭帯損傷は基本的には保存療法

活動性の高い患者は保存療法より手術が一般的になります。

リハビリは必ず膝の安定性の確保できる装具着用をしながら実施。


次回は膝の半月板損傷について

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膝関節 半月板損傷

半月板損傷は単独損傷と膝の靭帯損傷に合併する場合があります。


<受傷時に多い動作>

半月板の損傷は、多くは膝を曲げた状態での回旋動作で起こる。

具体的には、

膝を屈曲したままの状態でカラダの向きを横に変えるような時に損傷しやすい。

スポーツでは、スキーの回転、うさぎ跳びやバスケットのピポット動作など、

膝の伸展時に受傷する場合は、

サッカーのキックなどで、急激に膝を伸ばした際、下腿の動きに対して

半月板の前方への動きが遅くなり、タイミングがずれた時、

このサッカーのキックと動作とよく似た動作で、日常生活では、

つまずいて膝を伸展しながら転んだりしたときなどに起こります。


単独損傷は、

○大きな力が膝に加わることで損傷。

○繰り返される微小外力により損傷。

○異常形態によるもの。(外側半月板に多い円板状半月によるもの)

○半月板の単独損傷は、外側半月板が多く、内側の4倍多くおきる。

 外側半月板の単独損傷の大部分は、普通の半月状でなく円板状になった、

 半月板におこることが多い。

 それらを除くと、内側半月と外側半月の損傷の比率は1:1で同じ頻度。

○加齢による変性に起因するもの。


複合損傷は、

○前十字靭帯損傷と合併する場合が多い。

 半月板の中部〜後部が縦に断裂する場合が多い。



<症状と診断>

膝の関節列隙の圧痛のほかには、音がしたり、ひっかかかり感があります。

断裂した半月の一部が嵌頓(ロッキング)急に膝が動かなくなったりします。

   ロッキング症状:膝の屈伸が制限され、屈伸に際して轢音(クリック音)を生じる。

膝くずれ(giving way)をおこす。

膝の腫脹

穿刺による関節液は水腫に血が混じった状態で、靭帯損傷に比較すると、

その色は薄く、量も多くない


徒手検査

マックマレー検査が有名ですので紹介します、・・・が、感度はあまり高くない。


むしろ内側半月板損傷では関節列隙後内側に沿っての圧痛の感度が高い。


外側半月板損傷では関節列隙前外側に沿っての圧痛のほうが感度は高い。


靭帯の損傷時は関節列隙ではなく靭帯の付着部に圧痛が在る。

マックマレーテストは半月板の後節部の感度が高い。

以上を念頭において、


○マックマレーテスト

片方の手で踵をつかみ、片方の手で膝の内側・外側の関節列隙に指を当て、

膝を充分屈曲した状態から内旋あるいは外旋させながら、膝を伸ばしていく

と、轢音がしたり、検者の指に轢音を感じたり、患者は痛みを訴える。


○アプレーの圧迫・牽引テスト

圧迫テスト


膝関節90度屈曲位で伏臥位をとらせます。

固定のため大腿骨後面に検者の膝を軽く乗せ、膝関節に圧迫を加えるため

踵の上に体重を乗せ、圧迫を加えながら内旋・外旋を加える。

牽引テスト

牽引テストは半月板か靭帯の障害かの鑑別に用いられる。

圧迫テストに引き続き屈曲位から脛骨を内旋・外旋しながら足を牽引する。

陽性であれば靭帯損傷を疑う。

半月板のみの損傷であれば陰性


確定診断はMRIや関節鏡検査によることが多い。

MRIによる半月板損傷の分類

グレードT:半月板内の点状の高信号

グレードU:半月板内の線状の高信号

グレードV:半月板表面に達する高信号 完全断裂を示しています。


<治療>

現場でロッキングをはずすためには、内側半月では外反を強制させ、

外側半月では内反を強制させながら、屈曲した膝を徐々に伸展していく。

RICE

弾力包帯あるいはニーブレスなどで固定・安定。


半月板損傷はすぐに手術になるわけではありません。

疼痛やロッキングが続く場合には手術が考慮されます。


手術は関節鏡視下での半月板の部分切除と縫合に分けられる。

縫合が可能な場合は縫合手術をおこなう。

半月板の関節包付着部外側3分の1以内には血行が存在します。

縫合が可能なのは半月周辺部の全周の4分の3以下の断裂と

体部辺縁の3分の1までの断裂までが半月板縫合手術が行われます。

それ以外の場合には、半月板部分切除術が行われます。


リハビリ

単独損傷の場合は手術後3週間以降に軽いランニング

レッグカール、レックエクステション、6週間以降競技復帰を目指す。

複合損傷の場合は前十字靭帯損傷に順ずる。


<まとめ>

いかがでしたでしょうか?

膝の靭帯の損傷に加え今回の半月板損傷は?

聞きなれた膝の傷害ですが、治療は意外と厳しいと感じられたでしょう。

MRIや関節鏡などの診断機器のそろった病院、また診断・治療能力ある

膝の専門医が常勤されている病院以外での治療は難しい・・・・・・・・と。

感じられた人が多いのではないでしょうか?・・・・・・・・


実際、

スポーツの最中の外傷で、最初に一般の整形外科を受診された場合は、

初期治療をされてから、中規模の中核病院に紹介される場合が多い。

不幸にして手術になってしまった場合。

アスリートの皆さんは術後はリハビリを含め徹底的な管理が必要でしょう。

検査の結果、幸いに手術しないで済んだ場合でも、

アスリートの皆さんは徹底した管理下で競技への復帰が望まれます。


スポーツ愛好家の皆さんでも、同様の管理が望まれます。


いっぽう、一般的な皆さんは、事故はともかくとして、

日常の損傷においては手術に至るほどの損傷は少ないかも知れません。

不幸にして手術になった場合においても、

日常生活の復帰には、それほどの厳しい管理はいらないでしょう。


ただし、あたりまえのことですが、

早期の関節の痛みの除去、筋肉・腱の緊張を緩和させ、なおかつ

関節包内の内圧を低下させ、膝関節の可動域の正常化をはかるべき

治療をキチンと継続することは、当然必要です。

そのために治療する私たちの治療する人の技術が必要なのです。

また、皆さん自身の努力する膝のエクササイズが必要になります。


手術になろうが手術をせずにすもうが、最初に述べたように、

膝関節は、人体で最も力学的に不利な条件で働いている関節です。

慢性化への移行、陳旧化を防ぐことが重要になってきます。

皆さんと治療家との、二人三脚で治療を続ける必要があるのです。


ぜひ、治療していただいている先生に

ご相談されぜひご指導していただくようにお願いいたします。


皆さんに、有名な言葉を紹介します。

「人体中、膝関節ほどその運動が高度な負荷を受ける関節はなく、

 また、もっとも酷使されやすい関節である。

 力学的なストレスにさらされつつ、なお自由に安全機構を保持する

 関節の構築は、自然の器用さをもっても、至難の技であった。」


いかがでしょうか?

治療はモチロン皆さんの協力が必要だと理解していただけました?


次回は、その他の膝関節周囲の傷害の予定です。

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膝関節 周囲の傷害

今回は,膝伸展機構に起因する傷害を紹介します。

比較的多く見られる傷害で、存知の皆さんも多いでしょう。


1、ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)

ランニング動作やジャンプなどにおいて、

大腿四頭筋ー膝蓋骨−膝蓋靭帯ー脛骨粗面の膝の伸展機構の

繰り返しでおこるオーバーユース症候群です。

<診断>

圧通部位は、大きく分け3つの部位で、

 ○膝蓋骨底部(大腿四頭筋と膝蓋骨の上極の接続部)

 ○膝蓋骨尖部(膝蓋骨の下極と膝蓋靭帯の起始部)

 ○膝蓋靭帯中央部から遠位にかけてみられる。

膝蓋靭帯炎は、一般に膝蓋骨尖部に膝伸展位・屈曲位共に圧痛がある。

膝蓋骨を下方に圧排し、膝蓋骨下極を裏から押すと圧痛がよくわかる。

大腿四頭筋の付着部付近の圧痛が強い場合は膝蓋靭帯炎の近位版で、

大腿四頭筋付着部炎という場合もあり、これもよく見られます。


尻上がりテスト

 伏臥位で股関節伸展位で膝関節を他動的に屈曲させ、踵を尻につけると

 正常では楽に踵が尻までつくが、膝伸展機構の傷害のある場合は、

 屈曲制限があり、無理に曲げると、尻が床から持ち上がってくる。

 本来は、大腿直筋の拘縮症(短縮症)のテストですが、

 ジャンパー膝などでは踵とお尻の距離でその重症度を推測する。


重症度を分けると、

 第1相:活動の後だけ疼痛があり機能障害はない。

 第2相:活動の前後に疼痛はあるが活動中は消失。

 第3相:常に疼痛があり活動傷害がある。

 第4相:膝蓋靭帯の断裂→手術

     膝蓋靭帯が付着部より剥離すると、靭帯の硬さを触れなくなり、

     代わりに脛骨粗面の部分に極端な圧痛を認め、膝蓋靭帯の

     欠損を触診できる。


<治療>

アイシングと安静

 第1相〜2相においては治療しながら、またスポーツ後のアイシングで

 活動の加減をしながら練習は可能ですが、

 第3相はスポーツの長期の停止は必要でしょう。

 膝蓋靭帯の上を圧迫すると痛みは軽減します。

 ストレッチは注意して実施すること。

 強くストレッチすると、かえって軟骨へのストレスを増し、症状を悪化

 させている場合が多いので、ゆっくりと行ってください。



2、オスグッドシュラター病

脛骨粗面部に発生する膝の代表的な骨端症です。

15歳前後の男性に多い。しばしば両側に起こる

スポ−ツを盛んにする場合は10歳代前半でよく起こるようです。

脛骨粗面に主張、疼痛、圧痛、長時間の歩行痛、運動痛は特に

大腿四頭筋の収縮により膝蓋靭帯に強い牽引力が作用すると著明です。

脛骨粗面に傍流が見られることが多い

X線像は脛骨粗面の骨端核の乱れ不規則な陰影を呈している。


<治療>

 膝蓋靭帯炎に準じる。

 基本的には関節機能障害は見られない。


骨端炎(無腐性骨端壊死)について・・・興味のない方はクリック

5〜6歳から17〜18歳にかけての年齢に、特定の骨の骨端部や骨隆起部に、骨壊死を起こし
、特有なX線所見を呈する。
骨端炎はいろいろあるが、放置しても自然に治るが、多少の運動障害と骨の変形は残す


ペルテス病
大腿骨頭核と頚部の一部を侵す。5〜6歳の男児に多く、大部分は片側製。
時に外傷が原因となる。
徐々に股関節から膝にかけての痛みと跛行を子タス。
骨頭部の圧痛。外転、内旋、開排運動の制限。大腿の軽い筋萎縮。

オスグッドシュラッター病
上記

踵骨骨端炎
踵骨後端の骨端核を起こす。10歳前後の男児に多い。。しばしば両側性。
局所の疼痛と軽い腫脹

キーンベック病(月状骨軟化症)
青壮年の男子で手を酷使する職業に起こる。
徐々に手関節の運動制限とくに背屈制限と痛みを訴える。

第1ケーラー病
足の舟状骨を侵す。10歳ぐらいの男児に多い。
局所の疼痛、熱間、腫脹を呈する

第2ケーラー病
中足骨骨頭部(第2中足骨、時に代3、4)「侵す。思春期の女性に多い。
局所の圧痛と腫脹を呈する。ハイヒールの著供養は本症を助長する。


3、シンディング・ラルセン・ジョハンソン病

聞きなれない病名ですね。

10歳前後の男児に多い。

ジャンパー膝の若年型と考えてください。

膝蓋骨尖部に限局性圧痛と運動痛があります。

X線では、膝蓋骨尖部に石灰化を認めます。


<治療>

ジャンパー膝に準じる。

経過は少し長期間を要します。


4、膝蓋下脂肪体炎

あまり聞きなれないかもしれませんね。

膝蓋靭帯の両側の皮膚のくぼみに指をおくと、ここが関節裂隙で、膝関節の

触診の開始位置ということは説明しました。<まず!膝を触れてみよう!!>

このくぼみに、膝蓋下脂肪体があります。

ちょうど関節裂隙の高さで膝蓋靭帯の後方にあります。

太った人やステロイド使用者ではこの脂肪が肥厚し盛り上がっています。

膝関節のこの部分が盛り上がっている人は、よくみかけますね。


<症状と診断>

普通脂肪は、痛みを感じません。

この部分の圧痛は、炎症による脂肪組織の肥大化か挫傷をしめす。

外傷などで膝を打ったりすると、この部分が腫れて痛む場合があります。

膝蓋靭帯炎では膝を屈曲すると痛みますが、

膝蓋下脂肪体炎では、膝を屈曲すると痛みが消失します。


 半月嚢腫:半月嚢腫ではしばしば関節裂隙付近に少し硬い膨隆を認めることがある。
        特に外側半月嚢腫では、膝屈曲45度で著名に見られる半月嚢腫が、膝屈曲
        90度以上ので消失する所見があります。


<治療>

RICE

膝軽度屈曲位で圧迫固定。

その他はジャンパー膝に準じる。


まとめ

 ○膝伸展機構とは、

  大腿四頭筋ー膝蓋骨ー膝蓋靭帯ー脛骨粗面をいう。
 
 ○ジャンパー膝(膝蓋靭帯炎)、シンディング・ランセン・ジョハンソン病は

  膝伸展機構に過度の張力が繰り返されおきる。

 ○オスグッド・シュラッター病は脛骨粗面部に発症する骨端症です。

 ○ジャンパー膝などは膝関節を屈曲すると痛みが出現しますが、

  膝蓋下脂肪体炎は膝関節の屈曲すると痛みが消失する。


次回も膝関節周囲の傷害の予定です。


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膝関節の周囲の傷害


1、鵞足炎

よく遭遇する傷害ですね。ご存知の人も多いでしょう。


鵞足付着部への繰り返される、伸張ストレス、および内側側副靭帯との間の

摩擦により鵞足部や鵞足滑液包に炎症をきたすオーバーユース症候群。

思春期の女子に多く、X脚の比較的筋力の弱い者に多い。


鵞足筋:縫工筋、薄筋、半腱様筋の3本の膝屈筋をいう。
     これらの筋肉が脛骨に付着する部分がガチョウ(鵞足)の足に似ているので鵞足

鵞足部:脛骨粗面から内側に約2センチほど指を滑らすと皮下に索状物の重なっている
     鵞足部を触れる。
     鵞足部は鵞足筋の腱の付着部となっている。
     鵞足筋の直下には滑液包が存在している。



<症状と診断>

 鵞足部の腫脹、圧痛がみられる。

 膝関節外反、下腿外旋強制で疼痛が誘発できる。


<治療>

RICE

X脚があれば足底板の着用など

痛みがなくなるまで、ランニングなどによる膝の屈伸運動は控える。

膝関節のエクササイズに準じる。

足先を常に正面に向ける姿勢を保つような動きができるようにする。



2、腸脛靭帯炎(ランナー膝)

腸脛靭帯:膝の外側を走行し、脛骨のガーデイ結節につく。
     膝関節伸展位で膝蓋骨外側縁に手を当て、股関節を屈曲・内旋位にすると、
      腸脛靭帯が浮き出る。
      腸脛靭帯は筋でもなく腱でもない。どちらかというと、長く厚い筋膜の帯です。
      外側側副靭帯、大腿二頭筋とともに膝関節の内反動揺を防いでいる。


膝関節の屈伸時に、腸脛靭帯と大腿骨外側上顆 との摩擦により炎症を

きたす、オーバーユース症候群。

長距離ランナーに多く発生するためランナー膝と呼ばれる。

O脚や回外足などの下肢軸の異常は、摩擦を起こしやすい。


<症状と診断>

運動後に膝関節外側部に疼痛を訴える。

下り坂の走行や階段の降下時に陣痛が増強しやすい。

大腿骨外側上顆に一致して、圧痛、運動痛があり、轢音を触知する。

○Grassping テスト

 膝屈曲位で大腿部をつかみ、外側上顆直上で腸脛靭帯を圧迫しながら、

 膝を伸展させると疼痛が再現する。

○Oberテスト

 膝を屈曲しながら圧痛点を触れると屈曲30度付近で圧痛が強くなる。


<治療>

RICE

スライド走法をピッチ走法に変える

O脚のための足底板の着用など

膝関節の一般のエクササイズ

足先を常に正面に向ける姿勢を保つような動きができるようにする。


3、タナ障害(滑膜ヒダ障害)


少し聞きなれないかも知れませんね。

膝関節の中は、滑膜という膜状の組織で覆われています。

その滑膜にはいくつかのヒダがあります。このヒダを滑膜ヒダと呼びます。

この滑膜ヒダは膝蓋骨の上・内・外に存在しています

その滑膜ヒダが先天的に大きかったり、炎症などで肥大化したりした場合に、

大腿骨と膝蓋骨の間に挟みこまれことがあります。


特に 内側滑膜ヒダは大きく、関節鏡所見から、特徴的な棚状の形態を

呈しているので「タナ」と呼ばれている。

前回の膝蓋下脂肪体と間違えやすいです。内側滑膜ヒダは膝の内側前方にみられ、膝蓋骨の
内側上縁から内側壁を下方に降り、脂肪体に入り込んでいます。



このうちの膝蓋内側滑膜ヒダが、内側膝蓋大腿関節間にインピジメント

(挟み込まれ)疼痛をきたした場合をタナ障害という。

広い意味では、膝蓋下脂肪体から滑膜ヒダ症候群と考えられている。


<症状と診断>

 膝蓋骨内側下方から膝蓋下部に疼痛がある。

 典型的な圧痛点は、内側滑膜ヒダ障害では、関節裂隙から約1横指近位の

 膝蓋大腿関節内側部に圧痛があり、同部分に索状物を触れることも多い。

 時折、膝伸展位で膝蓋骨下部、稀に膝蓋骨外側下部に圧痛があることもある。

 膝蓋骨内側部に疼痛があり、膝関節屈伸時にひっかかる感じがある。

 立ち上がり動作時や歩行時に有痛性のクリックがある。


<治療>

まずは安静。

RICE

一般的には予後は良。

しかし、

損傷を受けたタナからの出血や関節液が関節内に満たされている場合は、

動きが制限され、筋力低下や拘縮の原因となります。

血腫があれば吸引していただいたほうが治癒は早いです。


また、痛みが軽減しない場合は関節鏡による切除術も、よく行われています。

エクササイズは一般の膝のエクササイズに準じる。


次回は膝関節の関節腫脹と滑液包炎の予定です。 

そろそろ飽きてきていませんかー? もう少しのご辛抱を。 でも膝は面白いですね。。 


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膝関節水腫と滑液包炎による水腫


前回に鵞足炎という傷害を説明しましたね。


この鵞足筋腱の脛骨の付着部に、関節の運動のため付属物として、

関節の潤滑油を溜めている油の壺のような付属物があります。


この油の壺を滑液包といいます。


滑液包炎とは、この部分に炎症が生じて、熱と腫脹、運動痛・自発痛を伴い

何度も炎症が起きたり、炎症の程度が強い場合などは、この部分に、

関節液が多量に溜まってしまいます。


一般に、膝関節に水が溜まったという場合と少し異なっています。


結論を先に述べますと、

皆さんが、膝関節に水が溜まったという場合は、

 ○膝関節の関節腔内にある交通性滑液包に水が溜まった状態です。

単に関節内の軟骨や半月板などの炎症の場合は関節液です。

傷つき出血したりすると、この部分に関節液や血液が溜まり大きく腫れます。

膝全体がパンパンに腫れたりするわけです。

よく皆さんが何度も膝から水を抜いたり、検査のため穿刺したりするのは、

膝の関節腔の中にこの交通性滑液包があるためです。


もう一方の滑液包に水が溜まるとは?

 ○膝関節、周囲の非交通性滑液包に水が溜まった状態になります。

  非滑液包に炎症が起きる→炎症が強く、長びく、何度もおきる→

  関節液が多量に蓄積される。局所だけ膨れたようになる。
 

非交通性滑液包は膝関節の周囲に限らず、肩甲骨の周囲、足の関節などの

様々な関節に筋、腱が付着する部分に存在しています。

そのため大なり小なり滑液包炎がおこり、その部分に関節水腫ができます。

鵞足包炎のように、大きな滑液包が存在する箇所にはよく発症します。



一般に関節の構造は、

骨と骨が関節包というおおいで、すっぽり包まれています。

この関節包は、性質の異なる二枚の膜でできています。


内側が滑(液)膜、外側が繊維膜でできています。

○滑(液)膜
 
 滑膜は、滑液という粘っこい潤滑剤を分泌し、関節面を潤し、骨(関節頭)と

 骨(関節窩)が動くときにギシギシきしんだりしないようにする。

 また、滑液は血漿のような栄養物を含み、血管がなくて血液補給の道が

 ない関節軟骨に栄養を供給する重要な役目をしています。
 血管のない関節軟骨がなぜ壊死しないのか?どのようにして栄養補給しているのか?

○繊維膜

 繊維膜は、やぶれにくい皮のような結合組織性繊維でできた膜で、

 血管や神経が豊富に分布しています。

 この二枚の膜の間に、膝や股関節では、脂肪組織の層があります。


○交通性滑液包

 からだの中の最大の関節は膝関節で、そこには滑液包という滑液を

 ためた関節専用の油壺があり、関節腔とつながっています。

 関節を動かすことにより関節内と連絡路を持つ滑液包は、周囲の筋肉、

 腱、皮膚などから圧迫され関節包内の圧力がたかまることで、関節への、

 滑液の注入が進みます。


○非交通性滑液包

 滑液包はもともと関節包の一部がふくれ出し、独立したものです。

 関節は角度をつけて屈曲したり伸ばしたりするので、関節をつつむ

 皮膚や筋膜もそのつど圧迫や摩擦を受ける。

 このような部分には関節腔と連絡路を持たない油壺(滑液包)がある。

 非交通性の滑液包は関節のまわり以外にも、骨と皮膚、筋肉と骨の間

 などにあり、からだの動きに応じて、強い圧力や緊張を受ける場所に

 存在し、クッションの役目をするものもあります。

 このクッション役の滑液包は関節腔との間にパイプはつながっていません。

 独立して任務についています。

 滑液包の外側は繊維膜で、内側は関節包と同様に滑液膜で

 裏打ちされています。


一般によく膝関節に水(関節液)が溜まるといいますね。

コレを関節水腫といいます。

関節の中の潤滑剤である関節液はつまり滑膜で作られる滑液です。

この関節液は関節が正常である場合は無色か淡黄色を帯びた

粘っこい液で、絶えず供給されていますが、膝関節のような大きい関節でも

総量数ミリリットルしかない。(約3〜5CC)


様々の原因でこの関節に変化が起こります。

膝自体に炎症が起こると膝関節に熱を持ちます。

そんな時は、関節液が生産過剰して水がたまったというわけですね。

単なる炎症ではなく、関節腔内で骨折したり半月板のような軟骨の

外周縁部など軟骨が傷つくと関節液に当然関節液が混じり赤くなるわけです。


関節液が高度に溜まると自発痛もありとっても痛いですね。


関節液が溜まっているかどうかを調べるには、

膝蓋跳動といって、

水を遠位に追い出し膝蓋骨を押すとコツコツと音がするという検査があります

が、かなりの水がたまらないと陽性には出ません。

コレだけ関節液が溜まれば患側と腱後側を比較すれば見てもわかります。

また、膝関節周囲のしわを比較すれば容易に簡単にわかります。


では、わずかな関節液が溜まっているかどうかを調べるには、

手指を膝蓋骨の両側後方にあて、もう一方の手で水を押し出すと水が移動する

波動を手に感じることができる。


つまり、これらの検査ができるのは、

膝関節の関節腔内が交通性滑液包の中に関節液が溜まった状態を利用し、

圧迫により関節液が移動することが触れることができるのです。

交通性の滑液包の性質を利用しているのですね。


関節液を注射器で抜き取る行為を関節穿刺といいます。

少しの水なら穿刺をしなくていいでしょうが、

膝がはれているとか、自発痛が強い場合は穿刺も仕方がないでしょう。


本当は、、関節液の量が問題ではなく関節液の状態が重要です。

○関節液に血液が混じっている→骨折、関節包・靭帯、半月板の損傷

○関節液に血液と脂肪滴が混じっている→骨折の合併を疑う

○関節液が混濁している→化膿性関節炎、偽痛風

○単純な淡黄色の関節液→慢性疾患の外傷による増悪


その他の穿刺の目的として

○関節水腫により高まった関節腔内の内圧を減少させ、疼痛の減少と

 関節可動域の改善が期待できる。

○関節内の炎症物質を除去による症状の改善が期待できる。

○X線による診断が容易になる。



臨床的に問題となる、膝周囲の主な滑液包とは?

○膝蓋上包

 膝蓋骨の上、大腿四頭筋の下にあり、膝関節腔と交通しています。

 関節水腫の存在を調べる検査は、

 この膝蓋上包が関節腔と連絡していることを利用しています。

○腓腹筋の内側腱下包

 腓腹筋の内側頭と大腿骨の内側上顆の間にあり、膝関節腔と交通している


以下は非交通性滑液包

○前膝蓋滑液包

 膝の膝蓋骨の前面に多いかぶさるように位置しています。

○浅膝蓋下滑液包

 膝の膝蓋靭帯の前に位置し、、過度の膝たちの結果炎症を引きおこします。

○深膝蓋下滑液包

 膝の膝蓋靭帯と脛骨の間にある。

○鵞足滑液包

 脛の内側面と鵞足の間にある。


これら全ての滑液包に炎症がおこると、関節液が溜まり腫脹します。

ただ、非交通性滑液包炎の場合は、穿刺するほど腫脹するのは稀です。

皆さんが、膝関節の水を抜くという場合は、関節腔内の関節液です。

そして、交通性滑液包炎の場合は、関節腔と連絡しています。



<治療法>

膝の疑問点と対処法に全て説明しておりますので、

よく読んで対処していただければと思います。


<まとめ>

膝の関節水腫か、滑液包炎か、膝関節周囲の腫脹かを判断しよう。



今回は非常に説明しずらかったです。 わかりました?

またいずれブログなどでも説明する機会もあると思います。

平成19年度最後の更新になりました。 本年もありがとうございました。

膝の傷害も次回が最後になると思います。

無償のサーバーの空き容量もわずかです。

空き容量が無くなるとブログの方で、更新は続けていきます。


次回はできるだけ5日には更新したいとは思っていますが、、あくまで予定です。

それでは皆さん、良いお年をお迎えください。

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膝関節ねずみ(関節遊離体)

平成20年は、干支では、ねずみ年になりますね。

年の初めのHP最初の更新が、

偶然ですが、膝の関節内を走り回る「ねずみ」についての説明です。


関節の関節頭と関節窩は、それぞれ滑らかな軟骨面で向かい合い、

その軟骨面は潤滑剤である滑液である関節液で常に潤されているため、

重い荷重がかかっても、痛みもなく、滑らかな動きができます。


関節ねずみとは?

このなめらかな関節面の間に挟まりこむ異物の総称です。

膝関節に現れる場合が最も多く、その他には足、股、肘関節にも現れる。

この異物は関節が動くたびに関節内をウロチョロウロチョロ動き回ります。


<ねずみができる原因>

1、外傷性関節遊離体

 ○関節腔の中にある軟骨や骨が、外傷を受けた際に、小さなかけらとして、

  切れ落ちたもの。

 ○炎症のためできた産物が、米粒体として塊になったもの。

  この機転を離断性骨軟骨炎という。
 
2、病的関節遊離体

 ○滑膜から発生するオステオコンドロマトージスの病変からの小片。

 などなどです。


いずれにしても関節内の炎症の産物がねずみの生みの親になります。


<症状>

 関節ねずみ自体が痛いのではありません。

 関節ねずみが痛みの誘発の原因になります。

 関節ねずみが関節面の間に挟みこまれると、関節面を刺激し痛みは強く、

 この痛みのため、一瞬動作ができなくなってしまいます。

 ねずみの数、大きさ、動きや存在する位置で痛みは様々です。
 

関節ねずみがいる限り、関節面を刺激したり、荒らしたり、傷つけたり、

炎症が常に誘発されますので、それがまた新たな関節ねずみを、

産出するという悪循環を繰り返します。


<診断>

関節ねずみが骨を含んでいる場合は、X線で簡単に診断できます。

しかし、軟骨や米粒体は、X線にはハッキリと写らないので、関節造影や、

関節鏡の検査が必要になります。


<治療>

ねずみを作らないためにも、

運動後や炎症時の徹底した膝関節のアイシングが重要です。


ねずみができてしまったら、悪循環を断つため、

基本的にはねずみを取り除く、ねずみ退治になります。

関節鏡を使ったり、直接取り除く手術になります。

手術後は、膝の靭帯の治療に準じる。


次回が最終になると思います。 キット・・・・


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膝蓋骨脱臼・亜脱臼と膝蓋軟骨軟化症

思春期までの女性に多くみられ、関連性の有る傷害です。

順に述べていきます。


★膝蓋骨脱臼

 スポーツで、膝が外反外旋位になった瞬間に膝蓋骨が外側に脱臼する。

 膝伸展に伴い自然整復されることが大半です。

 女性に多く、中学生ころより発生頻度が高くなる。

 純粋な外傷性の脱臼は少なく、脱臼素因をもつ膝に多い。


○脱臼素因は、

 X脚

 Q−アングルの増大

 全身の関節が弛緩している人に多い

Q−アングルとは? 正常値は10〜20度
膝蓋骨中央と上前腸骨棘を結ぶ線と膝蓋骨中央と脛骨粗面を結ぶ線とが作る角度。
大腿四頭筋と膝蓋骨靭帯、それぞれの力ノベクトルの方向で角度が増すとかかる力が大きい。
正常値より大きいと大腿外側広筋の機能更新と大腿内側広筋の機能低下を引き起こし、
結果として、膝蓋骨は外方に引っ張られ、変位や膝蓋大腿トラッキング症候群などの
機能的病変がおこりやすくなる。

また、
大腿骨脛部の前捻増大による股関節過度内旋、回内足、下腿の内旋増加を呈すれば、
外見上は、正面から観察すると膝膝蓋骨が内側を向き、斜視膝蓋骨(Sqinting patella)と
呼ばれる、膝蓋骨同士がニラメッコした状態で向き合う特異な形態を示したりします。
この場合は膝蓋軟骨軟化症になりやすい。

全身の関節が弛緩している人を調べるには?
1、肘の10度以上の過伸展、2、膝の10度以上の過伸展、3、足関節の45度以上の背屈、
4、母指が前腕に接触可能 5、手指の背屈で前腕と平行
以上の5項目のうち、3項目以上陽性の人は関節弛緩ありと判定します。


次に

★膝蓋骨亜脱臼

 膝蓋骨が実際に外側にはずれた状態が脱臼。

 外れそうになった状態が亜脱臼です。

膝蓋大腿関節不安定症といったりします。

 亜脱臼では、着地や踏ん張り時の膝くずれ、脱臼感や膝前面の疼痛を訴える。


診断には、膝蓋骨のトラッキングの観察をしてください。

膝蓋骨のトラッキングとは?Patella trackingの観察

 大腿四頭筋の能動的な収縮を利用した動的な観察で診断には不可欠です。

 座位で膝90度から自動的に伸展させ膝蓋骨の動的な動きを観察する。

 膝蓋骨不安定症では、屈曲10〜20度付近まで伸展させると、膝蓋骨の外側偏移と
 外側傾斜を観察することができる

 簡単には、膝の裏に枕を置き約く15度屈曲位で大腿四頭筋を収縮させると、同じように、
 膝蓋骨の外側偏移を観察できます。

 
また、アプレヘンション(apprehension)テストも有名です。、

 膝蓋骨の外側移動を強制すると、脱臼に対する不安感を訴えます。


次に、

★膝蓋軟骨軟化症とは?

脱臼しないまでも、膝蓋骨の不安定性のために亜脱臼の状態を繰り返すと、

膝蓋骨と大腿骨との間の関節(膝蓋大腿関節)の軟骨に、亀裂が入ったり、

やわらかくなったりして、運動の際に、膝蓋骨周囲に痛みを感じます。

脱臼と同様に思春期の女性に多く見られます。


階段を昇る際や椅子から立ち上がる際に疼痛を訴える。

膝蓋骨を側方に偏移させ、裏面の圧痛を調べる。

膝蓋骨圧迫テストで疼痛や軋轢音の有無を調べる。


膝蓋骨圧迫テスト(patella femoral grinding test)とは?

このテストは、膝蓋骨の関節面と大腿骨滑車切痕の適合をみるためのテストです。

下肢を中間に置きリラックスさせ、膝蓋骨を足元方向の滑車切痕へ向け押さえつけるように押す。
同時に大腿四頭筋に力を入れさせます

膝蓋骨は滑らかに滑るのが正常であるが、関節面に不整がある場合は、膝蓋骨が動く際
稔髪音を感じることができ、疼痛と不安感を訴える。

この検査は、膝蓋軟骨軟化症、骨軟骨の損傷、大腿骨滑車切痕自体の退行変性があると、
疼痛が起きます。


治療は

脱臼時は自然修復された場合でも、瞬間は激しく痛み、徐々に関節内に

関節液、あるいは血液が貯留されるため腫れますので、RICE

何度も脱臼を繰り返せば、不安定症、膝蓋骨軟化症、大腿骨滑車切痕自体の

退行性変性など、膝の周囲の支持組織などの損傷に進んだりします。


治療の原則は、

 安静

 RICE

 膝蓋骨周囲の安定させるサポーターの着用

 足底装具の着用

 大腿四頭筋を中心としたエクササイズ。

 もともと、関節が弛緩気味の人が多いので全身のエクササイズ

 キチントしたフォームでの基本のウォーキングは欠かせないでしょう。



もう少しつづきますので、あきずによろしくお願いします。

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特発性膝骨壊死

稀な膝の疾患だとされています。

軟骨下不全骨折や軟骨下脆弱性骨折が原因とする説もありますが、

本当の原因は不明だとされています。

ただ、変形性膝関節症と症状が非常に似ていますので説明します。


所見

初期にはX線撮影でもほとんど異常がありません。

「スグに治りますよ。」といわれたにもかかわらず痛みが長引き、

しかし、徐々に進行し、

大腿骨内側顆 が空洞化していきます。

ステージT(発症期) X線でも異常がない。
ステージU(吸収期) 骨壊死が始まり亀裂が生じはじめる。
ステージV(完成期) 骨壊死が完成し空洞化し骨が陥没する。
ステージW(変性期) 陥没が進行し、あきらかに変形性を認める


ステロイドの投与が原因でおきる骨壊死はステロイド性骨壊死ですが、

特発性膝骨壊死は原因がわかっていませんので特発性、つまり

原因不明により、膝の骨が壊死し、荷重により陥没します。

発症する部位は、

大腿骨内側顆 が大部分ですが、脛骨顆部にもおこる。


<症状>
 
 初期はX線でも解りませんので、注意が必要ですが

 太字が少し特徴的です。長引く痛みの場合は注意してください。
 
○外傷やスポーツなどの誘因なく、発生する急性の疼痛です。

安静時痛や夜間痛が特徴的である。
 
○歩行痛も伴い膝関節変形症よりも強い痛みを生じるとされています。

○特に膝の内側が痛むことが多い。

大腿骨内側顆 の圧痛を確認する。

○水腫は軽度。

○特徴的な理学的所見はない。

○疼痛や筋肉の攣縮により可動域制限を伴います。

○変形性膝関節症を合併しない限り、関節の不安定性は認められない。

○半月板損傷を合併することが多く、マックマレーテストが陽性のときも有る。


<予後>

進行性の疾病で予後は悪い。

骨壊死の進行しない%は約20%とされており、80%は進行し、

悪化するとされ、手術の適応になるとされています。


<治療>

ステージT、Uでは保存療法。

変形性膝関節症の治療に準じる

ステージV、Wになると進行性ということで手術の選択が考えられます。

年齢、職業、進行のスピードを考慮してください。

一般的には、手術の方法など手術の決行は?を参考にしてください。




今回で、一応日常よく遭遇する関節の傷害(下肢編)と題して終了します

次回からは、日常良く遭遇する関節の傷害(上肢編)と題してはじめたいと思っています。

少し休憩します。1回、2回?
ブログの方はつづけていますので覗いてみてください。


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