日常よく遭遇する上肢の各関節の傷害  大阪市東住吉区南田辺 おくだ鍼灸整骨院
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日常よく遭遇する各関節の傷害

下肢編



日常よく遭遇する各関節の傷害

上肢編


テニス肘・ゴルフ肘

野球の投球による傷害

投球動作の観察



野球肘(T)


野球肘(U)
リトルリーガー肘

野球肩(T)

投球動作によるおこる肩の障害

野球肩(U)

投球フォームの確認とポイント

野球肩(V)

肩関節の機能診断のポイント
何が重要か?

野球肩(W)

肩の内旋可動域の減少

野球肩(X)


姿勢や柔軟性の重要性

野球肩(Y)

投球フォームの見直しと
矯正のポイント
 
野球肩(Z)


肩関節の理学的検査
野球肩のみでなく肩疾患の鑑別に


野球肩([)

治療とエクササイズ

野球肩(\)

ピッチング練習の基本



 



                    日常よく遭遇する各関節の傷害 
                   
                      (上肢の傷害)




テニス肘・ゴルフ肘

皆さんよくご存知でよくお聞きになっていることでしょう。

★テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

まず最初に肘関節の動きは、

屈曲(145度)と伸展(5度)が純粋な運動になります。

しかし運動時、日常生活において肘単独の単純な運動は、まずありません。

肩、前腕、手首の関節の連動的な運動が加わります。

前腕の運動として回内と回外という運動があります。
 前腕には尺骨と橈骨があります。
 尺骨を軸とし、その周囲を橈骨が橈尺関節によって回旋する運動です。
 肘を曲げて手を突き出したとき、母指が上方を向いている肢位を前腕の、回旋中間位とし、
 母指が外方に向く肢位を手掌が上に向くように前腕を捻る運動を回外:90度という。
 反対の手掌が下を向くように捻る運動を回内:90度という。
 90度回外位では橈骨と尺骨が平行になっています。
 90度回内位では交叉している。


手首の運動は
 前腕中間位で、屈曲(掌屈):90度、伸展(背屈):75度
 前腕回内位で、中指を中心として親指側に動かす、橈屈:25度 小指側に尺屈:55度

肩の運動は
 屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋、水平伸展・水平屈曲
 詳しい説明は今回は省略します。いずれまた。


さて回外位にして肘をもう一度見て見ましょう。

上腕骨の下端の外方(母指側)と内方(小指側)に出っ張りがあります。

外側の出っ張りを外側上顆といいます。

内側の出っ張りを内側上顆といいます。

外側上顆 からは手首を背屈したり回外にする筋肉の起始部があります。

内側上顆からは手首を掌屈したり回内にする筋肉の起始部があります。


テニスと呼ばれている肘の傷害は、

手関節伸筋群の起始部の腱付着部である外側上顆およびその上にある
外側上稜の傷害です。
 ○腕橈骨筋
 ○長橈側手根伸筋
 ○短橈側手根伸筋・・特にテニス肘と関係が深い。
              腱性起始部に限局性圧痛を認める。
 ○その他、総指伸筋・尺側手根伸筋なども外側上顆が起始部ですが、
  上記の三つの筋肉、特に短橈側手根伸筋の影響が強いといわれています。

<症状と原因>

テニスのバックハンドでのストローク動作や仕事で手首を頻繁に使ったり、

日常動作では雑巾絞りなど手首を背屈する動作は常に外側上顆 に、

負担がかかっています。

そのために、炎症が引きおこされたり、急激な負担がかかったりすると、

わずかな腱繊維の部分断裂などが起こったりします。

これが慢性的な痛みを引き起こします。


<診断 > 
テニス肘テスト:痛みを再現させるテストです。

 前腕を固定し、こぶしを作らせ、手関節を背屈させる。
 手首を掌屈位になるように背側から力を加えると、外側上顆 に
 急激な痛みが出現する。
 以上をテニス肘と呼んでいます。

加齢により発症率が上昇する傾向がある。


<治療>

 ○安静

 ○アイシング

 ○テーピング
 
 ○テニスのフォームの矯正
  肩→肘→手首の連動した運動は当然ですが、スポーツ傷害としては、
  下肢から首→肩にいたる連動関節の動きを忘れてはいけません。
  普通の外側上顆炎では、肩と手首を含めた指の使い方が悪い人が多い。
 
 ○正しく雑巾を絞る。
  雑巾の絞り方を間違っている人はとっても多いですよ。
 正しい絞り方は縦絞り
  雑巾を縦にして、右手を上(逆手)、左手を下(順手)に持ちます。
  脇をしめて手首を内側に絞るようにする(向こう側に押し込む感じです。)
  このようにすると無理なく、雑巾が絞れ、手首も肘も傷めません。
  反対に引くように絞るのはダメです。
  要は剣道の竹刀を持ち上段から絞り込むように打ち込む時の最後の格好です。
  横絞りは非常に負担がかかるので禁止です。
  剣道の無理のない、打ち込みの動作は肩こりを始め、上半身のエクササイズには効果的です。
 

 ○エルボーバンドなどが市販されていますが、効果はやや疑問。

 ○手関節の背側位置で短橈側手根伸筋を弛緩させ、固定できるような
  着脱可能な簡単なキャストを作成する。効果は遥かに優れています。


★ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)

ゴルフの場合は肘を伸ばしすぎたり、ダフッてしまった場合、

テニスではフォアハンドでのストローク動作でストレスが内側上顆に集中します。

外側上顆炎に比べると頻度は少ない。

日常動作では、手掌を上向け(回内位)にして、肘を伸ばしたり、

肘を曲げながら重いものを抱えたり(赤ん坊の抱っこなど)、繰り返しで起こる。


典型的なケースを、ゴルフ肘あるいは内側型テニス肘と呼んでいます。


手関節や指を曲げようとすると、肘の内側に痛みが走ります。

手根屈筋群、指屈筋群の腱の付着部の内側上顆の炎症。


治療はおおむね外側上顆炎に準ずる。
 原因筋が屈筋と伸筋と違いますので、方法は少し異なり全く同じではありません。


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野球の投球による傷害

投球動作の観察

スポーツ傷害のなかでも野球の投球動作は様々な傷害を引きおこします。

野球肘(リトルリーガー肘、ベースボール肘)

野球肩(リトルリ−グ肩)が有名ですね。

その他にも様々な傷害を引き起こします。

そこで、最初は投球動作の説明からはじめます。

自ら投球の動作を確認しながらどこに負担がかかるのか考えてください。

ゆっくりと動作の確認してみてください。


投球動作の段階

1、ワインドアップ期:動作の開始から非投球側の手がボールを離れるまで
     →
2、コッキング初期:前の足が地面に着地するまでの期間
     →
     →・・・・・・肩は外転・外旋位をとり始める
     →・・・・・・前腕が回内され、肘が外反されながら屈曲していく。
     →
3、コッキング後期:肩の最大外旋位までの期間(出前持ちのような格好)
     →
     →・・・・・肩が最大外転・最大外旋する。
     →
4、加速期:ボールが手をはなれるリリースするまでの期間
     →
     →・・・・・上腕骨は最大外旋位から大きな角度で内旋位をとる。
     →・・・・・前腕回内位から回外しながら肘が外側に開く。
     →
5、減速期(リリース期):ボールリリースから腕の動きの終了するまでの時間の
     →         初めの三分の一で減速されるまでの期間
     →
     →・・・・・・上肢の動きが急速に減速する。
     →・・・・・・加速期からリリース時の直前は伸ばされていた伸筋が、
     →     一転して収縮する。
     → 
6、フォロースルー期:ボールリリースから腕の動きの終了までの時間の後半の
     →       三分の二。投げ終えてから投球動作が終わるまで。
     →・・・・・・肩が水平屈曲、内旋位をとる。
     →
一般的な投球動作です。

これに様々な球種が加わり肩はモチロン肘などにより強い負担がかかります。

それ以外にも、体幹、股関節の動作も関連することは当然です。

今回は上肢の傷害ですので肘と肩周囲に絞ります。


<肩の運動と肩関節の可動域>

屈曲(前方挙上)180度::前腕中間位として上腕骨を軸にしてに手をバンザイする際の肩の動作
伸展(後方挙上)50度:屈曲の反対の運動

外転(側方挙上)180度:上腕骨を軸として手を身体の外側に動かす際の肩の運動
                 90度以上になったら前腕を回外することが原則
内転0度:上腕骨を軸に手を身体の内側に動かす際の肩の運動
      基本的に身体にぶつかり単独では0度ですが、屈曲または伸展とくみあわせると、
      30度の内転が可能になります。

外旋60度:前腕中間位で上腕を体幹に接して、肘関節を前方に90度屈曲した肢位で
       前腕を外方に回旋させる運動
内旋80度:同様の肢位で前腕を外方に回旋させる運動(前腕を胸に近づける動作)

水平屈曲135度:肩関節90度外転位から上腕骨を軸に水平に前方に動かす。
           水平内転とも呼ばれる場合があります。
水平伸展30度:肩関節90度外転位からじ上腕骨を軸水平に後方に動かす。
           水平外転とも呼ばれる場合もあります。

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野球肘

投球することによっておこる肘関節の傷害ですね。アタリマエ。

様々な筋肉、関節包、靭帯が関係しますので傷害も多いのですが、一般には

痛みを強く感じる部位で簡単に3種類に分けられています。

○内側野球肘
 
○後側野球肘

○外側野球肘

以上のように分けられています。


前回の投球動作の段階をもう一度確認してください。

コッキング前期では、

上腕の屈曲筋、伸展筋である拮抗筋の、上腕二頭筋と上腕三頭筋に緊張が

加わりそれぞれの筋の停止部に、牽引力が働きます。

引き続き、コッキング後期では、

 肘関節の強い外反位が強制され、この外反位に拮抗する役目を持っている
 
 内側側副靭帯が引き伸ばされます。

 この際に急激あるいは無理に動作を行うこの靭帯に微小な断裂ができ、

 それを繰り返すと、なお内側側副靭帯に石灰化や骨棘などが形成されます。

次の減速期では、

 ボールを離す際、手首のスナップを効かせるので、手の関節を屈曲うるので

 手関節屈筋の強い収縮が強制され、起始部の内側上顆に炎症がおこり、

以上のように、投球動作では肘の内側傷害の内側野球肘が最も多い。

引き続き、コッキング後期と減速期で、

 上腕の急激は振り下ろしと減速のため上腕二頭筋と上腕三頭筋の拮抗筋に

 激しい動きをしますが、上腕三頭筋の遠心性収縮により上腕三頭筋腱に

 炎症がおきる、特に減速期の直前は一転して上腕三頭筋が収縮する。

投球動作の傷害では、次に多いのが後側野球肘です。

また、変化球の投球時の際は、前腕の回内・回外運動が加わります。

 回内・回外のための筋肉は上腕骨遠位端と尺骨、橈骨に起始停止部をもつ。
 そのうちの円回内筋は上腕骨内側上顆に起始し、回内・回外に関与する
 腕橈骨筋は上腕骨外側上顆に付着する。

 前腕に様々な激しい回旋力を働かせながら、様々な球種を投げる投手は、

 肘外側で上腕骨小頭と橈骨骨頭間に衝撃が加わり外傷性関節炎などを

 引き起こす。

これが外側野球肘の原因です。


<まとめ>

投球動作では、

 ○肘関節の内側は関節と関節を引き離す力が働く。

  ★内側野球肘→靭帯の損傷が多い。

 ○肘関節の外側は圧迫する力が働くうえに、回旋力が加わる。

  ★外側野球肘→関節軟骨の損傷が多い。

 ○肘関節の後側は上腕三頭筋の牽引力が急激に働く。

  ★後側型野球肘→靭帯の損傷や滑液包炎や疲労性骨折が多い。


次回は同じ野球肘でもリトルリーガー肘です。
同じく肘の傷害ですが、大人とは少し様子が違ってきます。
成人して野球を行って、肘の傷害が起こってもそれは自分自身の責任です。
しかし、もしも子供たちが事故でなく投球で肘の傷害が起これば、それは指導者の責任です。


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参考までに。上腕と前腕の屈筋と伸筋です。 読みたい人だけお読みください。

上腕の筋肉
屈筋群
 上腕二頭筋
  長頭
肩甲骨関節上結節から肩関節包内で上腕骨頭に沿って外側方にいき、下方に向かい
      結節間溝中に入り結節間滑液鞘につつまれ関節腔をでて筋腹に移行
  短頭:肩甲骨の鳥口突起からおこり、下方に走り筋腹に移行
  両者は合して筋腹になり、次いで強い腱となり橈骨粗面につく。
  また一部の腱は薄い上腕二頭筋腱膜となり、内方に向かい前腕筋膜に放散する。
 鳥口腕筋

  肩甲骨の鳥口突起から上腕二頭筋の短頭とともに、上腕二頭筋の内側に沿って下方へ
  上腕骨の中央部で小結節稜につく
 上腕筋
  上腕二頭筋の下層にある。
  上腕の前面で三角筋の付着部下方、内側および外側上腕筋間中隔、肘関節包前面から
  尺骨のく鈎状突起、尺骨粗面肘関節包の前面につく

伸筋群
 上腕三頭筋
  長頭:肩甲骨の関節下結節(大円筋と小円筋との間を下り紡錘上をなす)
  内側頭:上腕骨の後面で橈骨神経溝の下内側方、内側上腕筋間中隔からおこり下方にむかう
  外側頭:上腕骨の後面で橈骨神経溝の上外側方、外側上腕筋間中隔からおこり内側の
       大部分をおおいながら下方へ向かう。
   3頭は合し共同の筋腹をつくり、強い付着腱をもって尺骨の肘頭につく
 肘筋
  上腕骨の外側上顆 からおこり、内側下方に向かう
  肘頭の外側面に着く。

前腕前面の筋(屈筋群)
<浅層筋筋群>
4筋からでき、ほとんどの筋が共通頭として上腕骨の内側上顆および覆われた筋膜が起始
 円回内筋
  上腕頭:上腕骨の内側上顆および内側上腕筋間中隔から
  尺骨頭:尺骨の鈎状突起、両頭は合して下方へ走る
      橈骨の前面および外側面(回内筋粗面)につく
 橈骨手根屈筋
 長掌筋
 尺側手根屈筋

 浅指屈筋
 深指屈筋
 長母指屈筋

 方形回内筋
  尺骨の下方四分の一の前面からおこり、橈骨に向かって横走する
  橈骨下部の前面につく。下橈尺関節をおおう。

前腕橈側筋(伸筋群)
 腕橈骨筋
  上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間隔からおこり、橈側前方に向かって弓状に突隆する筋腹
  を作って長い腱にうつり、前腕の橈側に向かう
  橈骨の茎状突起の上方につく
 長橈側手根伸筋
  腕橈骨筋の下方で、上腕骨の外側縁、外側上顆 および外側上腕筋間中隔からおこり、
  第2中手骨底の背面につく
 短橈側手根伸筋
  上腕骨の外側上顆 、橈骨輪状靭帯および総指伸筋の間の腱板からおこり
  第3中手骨底の背面につく
 回外筋
  上腕骨の外側上顆 、橈側側副靭帯、橈骨輪状靭帯、尺骨の回外筋稜からおこり前腕の上部
  後面の橈側下方に向かう
  橈骨の後面を回り、橈骨上端三分の一の橈側面で円回内筋付着部の上方につく

前腕後面の筋(伸筋群)
 尺側手根伸筋
 総指伸筋
 小指伸筋

 示指伸筋
 長母指伸筋
 短母指伸筋
 長母指外転筋

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野球肘(リトルリーガー肘)

成人の肘と子供の肘は何が違うか?

肘関節の骨成長と関節の形成されている途中過程であるという事実です。

成長過程の未熟な骨自体の傷害のため、成長後に後遺症を残しやすい。

また、やっかいな大きな問題として肘の骨は自家矯正能力が非常に低い。

小児の肘関節の骨折も、お医者様泣かせです。


<骨の成長は、>

まず軟骨で形が作られる。
軟骨の一部分に、骨化核(骨核)という軟骨を骨に変えていく起点ができます。
長い年数をかけて骨が成長していく元になる部分ですね。
骨化は最後に骨端で長さの成長を担当していた軟骨部分が骨化して一枚岩の
骨になった時点で完成し、発育も完了します。
骨幹と骨端の両側から進んできた骨化が一直線で交わったところに、
骨端軟骨線という痕跡ができます。
それまでは、骨端は軟骨と骨に挟まれた形になります。
この合わせ目は引っ張られる力に弱く、急に強く引っ張られると剥がれたり、
欠けたりします。
このような骨化の進行中に軟骨と骨の継ぎ目のところが壊れると、
骨化を導いている軟骨の案内を失い、変形した骨化を導いたり、
萎縮変形を起こしてしまいます。

少年期の肘関節を構成している各骨の骨核の出現する年齢が、

下記のようにずれてバラバラですので、部位により骨の成長時期も、

完全に骨化する時期も年齢によりずれて、骨核が癒合して骨化が終われば、

肘関節としての機能が完全に発揮できます。

肘関節においては、その年齢が14歳前後になるわけです。

成長途中の過程でもし、どこかの骨核の軟骨部分が剥がれたり、欠けたり、

飛んだりすれば、当然肘関節は変形し、機能障害を残す可能性もあります。

将来に後遺症を残す原因になるわけです。

この事実は、野球だけでなくスポーツ指導者は肝に銘じて置いてください。


肘にはこの骨核が6つも存在しています。

<肘の骨核と出現年齢>

1、上腕骨小頭核(外顆核)6ヶ月〜3歳
2、橈骨頭核3〜8歳
3、上腕骨内上顆核5〜8歳
4、上腕骨滑車核8〜12歳
5、肘頭核8〜13歳
6、上腕骨外上顆核10〜14歳

これら6つの骨核が融合して成人の肘関節が完成します。

つまり、高校生になって初めて肘の関節の形成が終了します。

少なくとも中学生終了までは絶対に無理はしてはイケマセン。

リトルリーグ肘は、

野球ので酷使される筋肉の起始する場所

野球を始める年齢においてまだ骨化せず軟骨で残っている場所

筋肉の収縮が、関節面で衝突する場所

以上の三つの条件が重なるとおこります。


投球動作は前回述べたように、

 ○肘内側には関節と関節を引き離そうとする力が働きます。

 ○肘外側には関節と関節の間を圧迫するような力が働きます。

 ○肘後側には関節を引き離そうとする力が働きます。

小児では不十分な骨の発育のため

そのために肘の内側には靭帯や筋肉の断裂や骨端線離開が起こりやすく

一方の肘の外側では、関節軟骨が圧迫され、軟骨の破壊が起こりやすい。

そして肘の後側では骨端線離開などがおこりやすい。


○内側型野球肘

 成人では内側側副靭帯の断裂や靭帯が緩んだりするが、内側の腱鞘炎。
 
 少年では靭帯損傷の変わりにな内上顆と呼ばれる骨の出っ張った場所の

 成長軟骨が傷害され内側骨異常や骨端線離開がおこります

○後方型野球肘
 
 肘頭部分の成長軟骨が牽引力により損傷し疲労骨折や骨端線離開したり、
 
 成長が遅れたりします。
 
 また、成長終了時には肘頭の周囲に骨棘ができ、尺骨神経神経を圧迫し、

 シビレたり握力の低下を起こす。
 
 肘頭には上腕三頭筋が付着し炎症を起こしたり滑液包炎を起こしやすい。

○外側型野球肘

 上腕骨小頭という部分の骨が軟骨と共にはがれてしまいます。
 
 橈骨と上腕骨の一部が衝突し、血行障害や離断性骨軟骨炎や関節内遊離体
 
 (関節ねずみ)が発生します。
 
 肘が完全に伸ばすことができなくなります。
 
 肘の完全伸展障害で屈曲障害を残します。
 
 初期は投球時に痛む程度で、練習後は痛みが消失するので見逃され易い。
 
 単なる使いすぎと勘違いされがちで注意が必要です。
 
 中期になると関節が腫れたり練習後にも痛みは消失しない。
 
 成人になっても変形性関節症が出現し、痛みや可動域制限を残す。

 早期治療が重要です。


<治療>

○予防が最も重要です

 少年野球連盟によると、変化球を投る事を一切禁止しています。
 自然に変化した場合でもボールの宣告あるいは投手の交代などと厳しい
 判断が審判に委ねております。

 少年野球による骨端線が完全に閉鎖する年齢に達するまでは、
 肘の問題が大きいために、このようなルールを定めています。

 投球数の目安としては、
 日本臨床スポーツ医学会では投球数に対しては以下の提言をしています。

 ★小学生では50球以内を限度に週3日まで 全力投球は200球まで
          一日の練習量は2時間以内
 ★中学生では70球以内を限度に週6日まで 全力投球は350球まで

 ★高校生では100球以内を限度に週6日まで全力投球は500球まで

 野球肘は投手だけでなくキャッチャーにも多いので注意してください。


○比較的予後が良いとされている内側型野球肘でも、約3週間から2ヶ月間の

 投球行為は禁止とされています。

○どのような野球肘でも、「おかしい?」と思えばまず安静です。

 そして、

 骨核と骨端軟骨の問題がありますので、将来に禍根を残さないためにも

 まずは、手の専門の整形外科の受診をお勧めします。

○外側型野球肘の離断性骨軟骨炎は初期でも、数か月の投球は禁止です。

 中期になってしまうと1年以上の投球は禁止になってしまいます。

 野球を続ける人は現実的ではないので、ほとんど手術になっているようです。


このように、小児の野球肘の治療は意外と難しいです。

レントゲン撮影でも軟骨は写らないのも、お医者様泣かせです。

基本的には保存療法ですが、関節ねずみや骨棘が形成されたり、あるいは

尺骨神経麻痺等の場合は手術が選択されます。

最近は同じ整形医でも、手の専門整形医の分野になっているようです。


小児の肘は野球肘に限らず、骨核と骨端軟骨の問題が存在し、
正直、非常に残念ですが我々レベルの整骨院や鍼灸院では手に余る場合が多いのです。

それでもあえて、今回このHPを書いたは、皆さんにこの事実を知って欲しかったからです。
指導者は当然ですが、子供たちのご両親なども是非知って欲しい事実を伝えたかったのです。


「痛む。おかしい?」・・・と思えば決してガマンせずに

手の専門整形外科医のいる病院を受診してください。

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野球肩(T)

様々な要因が重なっておこる肩関節の障害の総称です。

投球動作によるおこる肩の障害ですが、野球に限らずバレーボール、テニス

など、オーバーヘッド動作を行うスポーツに多く発症します。


病態としては、

 ○肩関節自体の問題。

 ○他の部位の機能異常が運動連鎖の破綻という形で肩の関節
 
  (肩甲上腕関節)に対する負荷がかかるフォームの乱れを引き起こし、

  同時に局所的に肩甲上腕関節での関節窩と上腕骨頭の求心位の乱れを
 
  引き起こし、その状態がつづくと痛みや肩関節の構造上の破壊につながる。

臨床的には遥かに肩関節自体の問題は少なく、後者のパターンが多い。

治療は保存療法で充分対応でき、機能訓練がとっても効果的になります。

つまり、

投球は全身の運動ですので、肩以外の体幹・股関節・下肢までを含めた投球

フォームまでのチェックも重要になります。


まず投球動作により肩に、どのような障害がおこりやすいか見ましょう。

1、ワインドアップ期

2、コッキング初期:肩は外転・外旋位をとり始める

  棘上筋、三角筋、棘上筋、小円筋が収縮します。

★この時点でシッカリと肩関節が安定することが大変重要です。

 肩の治療のポイントにもなります。

  インナーマッスルの重要性
  多くの場合、肩関節が不安定のため、コッキング初期移行の投球動作で
  肩の障害を引き起こす原因とになります。


3、コッキング期後期:肩の最大外旋位までの期間

 最大外旋に伴い、上腕骨頭が前方に移動しようとするため、肩の前方構成体
 (大胸筋、三角筋前部繊維、肩甲下筋、肩甲骨関節唇の前方、関節包)に、
 大きな張力がくわわる。

 肩関節前方不安定症
  肩関節の亜脱臼ですが、投球によるものは一回の外傷で生じる外傷性の
  不安定症ではなく、前方関節唇・関節包に繰り返し加わることに起こります。
  関節包や肩甲上腕靭帯の弛緩によるとされています。
 
 関節内インピジメント
  関節外インピジメントである肩峰下インピジメントに対して肩後方あるいは
  肩の内部痛を生じます。
  原因は投球側側の外旋可動域の増加と内旋可動域の減少とされ、
  外転外旋位で、上腕骨頭と肩甲関節関節窩後上縁との間で肩板関節面と
  後上方関節唇が挟まれる事による。


4、加速期:上腕骨は外旋位から大きな角度で内旋位をとる。

 内旋・内転筋(大胸筋、肩甲下筋、広背筋、大円筋)が収縮して、
  
 肩板や肩峰下滑液包が鳥口肩峰アー チの下に入る込む。

 その結果

 鳥口肩峰アーチ下でのインピジメント症候群
  滑液包炎、肩板炎さらにすすむと肩板断裂を引き起こす。
  症状はコッキング後期から加速期で、肩前部痛を認める。
  インピジメントサイン陽性、ペインフルアーク、棘上筋テストで陽性

 肩板損傷
  コッキング後期に肩板関節面側が肩甲関節窩後上縁と骨頭に挟まれたり、
  また減速期からリリース期にかけて肩板への遠心性収縮とせん断力が、
  原因であるとの説があります。
  症状はコッキング後期に肩関節後部が痛む。


5、減速期(リリース期)

 三角筋後部繊維、上腕三頭筋、上腕二頭筋長頭ー関節唇複合体(BLC)
 にも張力がかかります。

 BLC損傷(上腕二頭筋長頭ー関節唇複合体)/SLAP lesion
  外傷による上方関節唇損傷をSLAP lesionと命名されました。
  野球肩の投球動作においては、上腕二頭筋長頭ー肩甲骨関節唇複合体
  の損傷をBLC損傷と呼んでいます。
  損傷の程度によりタイプをT〜Wまで分類されています。
  症状は、最大挙上時の疼痛、引っかかり感などです。
  コッキング期から次のフォロースルー期にかけて疼痛を訴えます。
  
 上腕骨近位骨骨端線離開(リトルリーグショルダー)
  上腕骨近位の骨端線閉鎖前の成長期に生じるのでリトルリーガー
  ショルダーと呼ばれる。
  投球動作全般に疼痛がある。

6、フォロースルー期

 水平屈曲、内旋位をとるため、上腕骨頭は後方へ動こうとして、
 後方関節包・関節唇に張力がかかる。

 後方不安定性、後方関節唇損傷、肩甲上神経麻痺等がおこります。

 ベネット病変
  関節窩後下縁に生じた骨棘で、上腕三頭筋腱付着部への張力や伸展され
  剥離した後方関節包・関節唇の修復機転により形成される。
  症状はコッキング期やフォロースルー期で疼痛を訴える。

 肩甲上神経麻痺
  肩甲上神経は肩甲切痕を通り棘上筋へ、棘下切痕を通り
  棘下筋に分布する。
  コッキング期後期の過外転、外旋位では肩甲切痕で、
  フォロースルー期の内転、内旋位では棘下切痕で神経に牽引力が
  かかり、繰り返される動作で肩甲神経麻痺がおこる。
  厄介なのは、自覚症状があまりなく、徐々に棘下筋が痩せ落ちてしまい、
  棘下筋萎縮になっている人は非常に多い。

 また棘下筋はリリース期からフォロースルー期による投球のボールスピードや
 ボールコントロールによる強いエキセントリック収縮が何度も働くことにより、
 棘下筋自体の微細損傷によりダメージをうけ萎縮したりもします。
 これもとっても多い。
 

次回は予防のための注意を述べてみます。

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野球肩(U)

投球動作のフォーム確認とポイント


投球動作は下肢を基盤として、身体のエネルギーをボールに伝達するために

肩関節はモチロンですが、一連のフォームを考えなければなりません。

そこで、まず投球動作の基本フォームを見てみましょう。

皆さんの問題点に気づいてください。


1、ワインドアップ期

 振り上げる脚はおおむね三塁方向に上げる。

 高さはウエストラインより上。
 
 身体が前後左右に揺れることなく安定してあげる事が重要。


2、コッキング初期、コッキング後期期

 ○テイクバック時
  ふりかぶった位置からボールを一度おろした際、前腕回外回内中間位かつ
  肩内旋外旋中間位で脱力しており、後ろの脚太もものスグ前。
  この位置より後方に絶対に持っていかない。

 ○最大テイクバック時
  腕を引くとき背中の方向に引きすぎない。
  投げる方向と反対の方向に腕を振り上腕が肩甲骨より後方にいかない。
  前腕を少し回内させるようにすると投球腕は肘からあげやすくなります。
  肩甲骨を内転させる感覚。(肩甲骨を脊柱に近づける感覚)
  引きすぎると腕が上がらない。
  ステップの方向はキャッチャーに向けてまっすぐ着く。
  一横足分だけインステップになるように。
  ステップ幅は、広すぎず狭すぎず。
  広いと腰の回転がつかない、狭いと勢いがつかない。
  身長の約85%とされています。

 ○フットプラント時:トップの位置

 一般に振り出し足が地面に着いたとき手の位置が最も高くなります。

 そのタイミングがずれないようにする。

 ボールの位置は後頭部とし、肘をたたみ込む。
 ボールは投げる位置と逆の方向を向く。(右手の場合はショート方向)で、
 できるだけ手の甲を頭に近づける。
 ボールが頭から離れすぎるとレバーアームが長くなりその状態から腕を振ると
 肩関節に負担がかかる。

 基本的ですが、肘を先行させる投げ方とします。


3、加速期から減速期

最も多く痛みを訴えます。

ポイントは、

トップの位置において肘はゼロポジションの高さまであがっている事。

つまり、

ボールリリース期にゼロポジションでの投球が望ましい。

加速期を通じて両肩と肘を結んだラインが一直線である事。

オーバースロー、アンダースロー、サイドスロー、スリークオーターでも同じです。
ただ、肢位はそのままですが身体の傾きは変わります。

 ○最大外旋位
 
 体幹が投球方向に向く。

 振り出し足の膝の方向は、投げる間変わらない事。

 大腿の内側を締めて、ステップした方向と同じ方向にする。

 腰から下の土台がずれると、その分を腕で調整することになり、
 ボールコントロールがとりずらい。
 
 トップの位置からボールリリースまでは、肘の内側から腕が前に出るように、
 肘を中心として前腕がしなるように、体幹の回転と共に加速し
 肩甲骨が外転する。
 肘は下げない。
 「肘から腕を前に出せ!!」とアドバイスされる理由です。
 
 ボールがリリースされる
 

4、フォロースルー期

 ボールリリース以降は投球腕を振り下ろす方向は左膝の外側。

 このとき体幹の前傾と、左回旋を伴う。

 無理にブレーキをかけず、腕が身体にバチンと当たるまで振り抜く。

 同時に身体をシッカリ捻って力を逃がす。


およその動作のポイントを述べてみました。

詳しくはもっとたくさんのポイントがあると思います。

指導者と共にフォーム点検、修正していただきたいと思います。

選手ー指導者ー治療者の連携がうまくいくのが一番だと思います。


<結論>

一般的な肩関節の問題は、加速期から減速期の

ボールリリース時において、いかにうまく

肩関節のゼロポジションを維持できているか?いないか?

上腕骨が肩甲骨面内にあるのか?ないのか?

なぜ維持できないのか?なぜないのか?を点検し修正していくのが

肩関節の傷害の最大の予防になります。

それが、一連のフォームの点検と修正の意義です。

治療よりまず予防です。


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野球肩(V)

肩の機能診断には何が重要か?

本来は下肢→体幹→肩甲帯→肩→肘の順序でしょうが、、

まず、肩甲帯を含めた肩関節の機能から調べましょう。


○肩甲骨と上腕を結ぶ筋群、体幹と上腕骨を結ぶ筋群の柔軟性調べる。

 ★CAT(Combined Abduction Test)HFT(Horizontal Flexion Test)
   肩甲骨を押さえながら外転(CAT)、水平内転(CAT)をおこなう。
   明らかに可動域制限がある場合は陽性反応とする。
  
  陽性反応の場合は、手技により一時的に仮性拘縮を除外してみる。
 (皮膚刺激によりメルケル触盤を利用した触圧覚刺激法をはじめ、
  Ta抑制やTb抑制など脊髄反射経路を利用した理学的手法を用いて
  一時的に筋緊張や筋短縮を解除してみる。)
 各種の手技により陰性反応になれば、柔軟性に富んでいる事になる。
  
★CATとHFTが陰性反応である事が投球できる条件になります。
  ただし、スポーツ前には脊髄反射は使用しない。
  関節周囲筋を神経を介して緩めてると、筋肉のストレッチと違う反応です。
  したがって筋が緩むからといって、反射を使ってスグにスポーツをすると、
  筋断裂の恐れがあるので、スポーツまでの時間は充分にとる事。
  ただ単に筋肉を緩ませる目的で乱用、悪用しないように。

○肩甲上腕関節の求心性を調べる。
 肩甲上腕関節とは一般に肩関節と呼ばれています。肩の構造

 ★ EET(Elbow Extennsyon Testo)と EPT(Elbow Pusyu Testo)
    この両テストは座位で体幹機能、肩甲帯機能、肩板機能を見る。
    陽性反応の場合は、肩甲骨と上腕骨の求心位が取れていない。
   EET(Elbow Extennsyon Testo)
    肘関節90度屈曲位から、肘関節の伸展が抵抗に抗することができるか
    肘の伸展力は肩甲骨がキチント固定されていないと発揮できない。
   EPT(Elbow Pusyu Testo)
    腕を組んだ状態で肘頭を抵抗に抗して前方に押し出せるかどうか

○肩甲平面状で外転力と肩甲骨の固定性を調べる。
  同時に、
  hull can位(母指が上)とempty can位(母指が下)での両方で、
  肩甲平面上の外転運動に対する抵抗運動を加え調べる。
 
    脱力すると肩甲骨の翼状化が見られる。→肩甲骨の固定化を診る。
    正常では肩甲骨の翼状は見られない。→肩甲骨の固定化を診る。
    左右の筋力差を診る。
    ○hull can位(母指が上)では棘上筋優位に働く。
    ○empty can位(母指が下)では棘下筋優位に働く。
    棘上筋、棘下筋の問題と肩甲骨の固定性を同時に見る事ができる。

○疼痛誘発テスト
 様々な検査がありますが、各種の肩の疾患のテスト以外では次のテスト。

 上方〜関節唇と肩板の挟まり具合を見る。インピジメント
 90度外転位、120度外転位180度外転位での痛みの誘発を見る。

 CATとHFTが陽性かつ疼痛誘発テストが陽性の場合は、一度CATとHFTを
 理学療法で陰性にしてみる。
 そして、もう一度、疼痛誘発テストを試みて陰性化すれば、保存療法が奏功。。
 もしCATとHFTが陰性化しても、疼痛誘発テストが陽性のままかクリックが
 消失しない場合はMRIなどの検査を進める。
 器質的、構造的異常を検査し、異常なければ保存療法を続ける。


<まとめ>

今回のは治療における順序のような事を述べました。

皆さんに是非、理解していただきたいのは、

 ○肩甲骨と上腕を結ぶ筋群、体幹と上腕骨を結ぶ筋群の柔軟性の確保
 
 ○上腕骨と肩甲骨求心性の確保。

 ○肩甲骨の固定性の確保。

以上の三点をしっかりと守る事が投球肩に重要です。

肩の疾患の多くは野球肩に限らず、この三点が最低の基本になります。

 ○肩運動の主要な筋柔軟性の確保

 ○肩甲骨の動きの正常化とその主な筋力の充実性の確保

 ○上腕骨の安定性の確保つまり、肩の安定性を確保する役目の求心性の
  インナーマッスルと遠心性のアウターマッスルの協調性の確保

<各種エクササイズ>
 
簡単に筋肉の紹介をすると、
 ○体幹から上腕にいたる筋肉
    大胸筋、三角筋、広背筋 
 ○体幹から肩甲骨にいたる筋肉
    僧帽筋、前鋸筋 大菱形筋、小菱形筋、肩甲挙筋、小胸筋
 ○肩甲骨から上腕にいたる筋肉
    棘下筋、棘上筋、肩甲下筋、小円筋、大円筋
 ○肩関節と肘関節をまたぐ筋肉
    上腕二頭筋、上腕三頭筋

まとめれば、肩板筋と肩甲骨周囲筋の機能訓練になります。

もう既に肩のエクササイズ等で述べています。
 
最初から読むのが面倒な人は、以下に述べておきます。クリックしてください

 広背筋と大胸筋のストレッチ 大胸筋・小胸筋のストレッチ

 広背筋・大円筋  僧帽筋と肩甲挙筋

 前鋸筋  菱形筋・肩甲挙筋 菱形筋1 菱形筋2

  棘下筋・肩甲下筋@  棘下筋・肩甲下筋A 棘上筋

 上腕二頭筋 

このHPのエクササイズの基本は一般の方々が安心、安全で実施される事を目的としています。
アスリートの方々の筋肉トレーニングとしては物足りないでしょう。
そのような方々は上記の筋肉のトレーニングを別サイトから検索してください。

あえて野球肩を詳しく述べているのは、肩の疾患のための診断・治療に非常に役立つ内容が、
たくさん含まれるためです。


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野球肩(W)

今回は、肩の内旋の可動域の減少という問題点です。

野球を続けられていると、投手に限らず野手においても、

投球側の肩関節の内旋・外転・水平内転の可動域の減少が診られます。

 内旋の可動域減少は遥かに投球側>非投球側担
 水平内転の可動域減少は投球側>非投球側担
 外転の可動域減少は投球側>非投球側

 このように内旋の可動域の減少が著しく診られます。
 外旋は意外と思われるでしょうが、可動域の減少はあまりなく、むしろ
 外旋可動域は非投球側>投球側というのが多い。

前回の肩甲骨と上腕を結ぶ筋群、体幹と上腕骨を結ぶ筋群の柔軟性の確保の必要性は、
外転・水平内転を外転(CAT)、水平内転(CAT)で述べています。
肩板筋と肩甲骨周囲筋の機能訓練の必要性も述べました。

これら肩関節可動域の内旋減少の要因は、

○肩関節周囲の軟部組織の問題
   
  肩関節後方関節包・下方構成体の伸張性の低下
  
  前方関節包の伸張

○上腕骨の骨性の問題

  上腕骨の後捻角が、投球側のほうが非投球側より大きい。

この2点が大きな理由とされています。


骨性要素が主要原因であれば何も手段がなくなってしまいますが、

もう一方の軟部組織の問題であれば改善することで野球肩の防止になります。


投球フオームの矯正でのべますが、

肩をキチント内旋する事は非常に重要なポイントになります。

可動域の減少は、投球障害として多く診られる腱付着部損傷はモチロン、

ゼロポジションの保持性の困難や腋窩神経の絞扼障害を招く大きな原因です。


是非、肩関節の内旋の可動域制限は改善していただきたい。


内旋制限を引き起こす筋としては、

 直接な筋として棘下筋と小円筋

 間接的な筋として広背筋と大円筋
 また、広背筋と大円筋はまた外転制限の原因となる筋肉でもあり重要です。

<治療>
 
基本的には前回とほとんど同じです。内旋の可動域減少に対しては、

 1、最初は広背筋と大円筋の伸張性を確保する。

   それでもまだ内旋の制限が改善しない場合は、

 2、棘下筋と小円筋の伸張性の改善へのアプローチを試みる。
 
 3、筋力強化に進む。


皆さん自身のコンデッションつくりとしては、セルフストレッチングになるでしょう。

広背筋・大円筋を主としたストレッチ、上腕三頭筋長頭のストレッチなど

様々な方法は専門書やインターネットで検索してください。

セルフストレッチでは効果が表れない場合はパートナーストレッチが必要です。

良き指導者のもとで実施されるか、専門家に指導を受けてから実施してください。

パートナーストレッチの注意点として、無理して肩を壊さないように!!

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野球肩(X)

姿勢確認し、下肢・体幹・股関節の柔軟性も確認しよう。

投球動作は運動連鎖に基づく全身運動です。
  
 下肢・体幹の柔軟性やバランス保持能力が低下したり、運動連鎖がスムーズに
 おこなえないと、下肢・体幹のエネルギーを充分につかえずに、上肢にたより、、
 肩・肘のオーバーユースにつながりやすい。

1、骨盤の傾斜から胸郭の形状や頭の位置を診る。

 ハムストリングの緊張や腹部の筋力低下などの情報が読み取れます。

  ○頭部前方姿勢のアライメント   ○頭部前方姿勢の変化と症状の推移


 胸郭の後弯が大きく伸展動作ができないと、
              
 胸郭自体の動きも制限され、結果として肩甲骨の位置異常がおこり、
 肩甲骨の動きが制限されます。

 このような状態では肩甲上腕関節にかかる負担が大きくなる。

2、体幹後面では肩甲骨の位置異常は、 肩甲骨の動き

 下制・外転・前傾している場合が多い。

 このような場合は、

 胸郭が硬く、小胸筋の短縮、僧帽筋の弱化、前鋸筋の弱化が予想される。
 
 その結果、

 ○肩甲平面上で肘関節の伸展ができないので、過剰な肩の回旋動作の
  強要により、棘下筋の萎縮がおこる。

 ○小胸筋の短縮は鳥口突起に付着する筋群の短縮や過緊張のため、、
  鳥口突起の圧痛周囲の肩板なども傷害される。

3、股関節の内旋・内転・伸展を診る。

 特に内旋を診る。内旋動作がうまくできないと、

 投球動作では体重の移動がうまくおこなえない。その結果、

 体幹の開きがうまく行えないので、体幹の開きが早くなり、肩関節の過剰な
 回旋動作を行ってしまう。

4、その外には前腕の回内筋・屈筋群の伸張力をみる。

 投球側の前腕の回内筋・屈筋群の伸張力の低下していると、

 加速期の肘関節内側に加わる牽引ストレスに抵抗する内側側副靭帯の
 傷害につながります。


結論

 体幹・肩関節の可動域や柔軟性はモチロン重要ですが、

 下肢・体幹のコンデッションつくりが重要です。

  ○姿勢 

  ○立位体前屈、SLR、FFD、HHDなどで体幹、股関節の柔軟性

  ○Wing Testにて胸郭および広背筋などの柔軟性

  ○股関節内旋の正常可動域

<治療>

 腰痛を治そう!!であらかた説明しています。

 ただし、腰痛症としての柔軟性の回復を主体として述べていますのでスポーツ選手には、
 物足りないかもしれませんが参考にされるといいでしょう。
 全て読んで欲しいですが長いのでクリックしてください

 骨盤の前屈・後屈   腰・骨盤の回復 ハムストリングスの柔軟性

 胸郭の柔軟性  股関節の柔軟性

 体幹の回旋の回復


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野球肩(Y)

投球フォームの見直しと矯正のポイント


ワインドアップ期

 軸足は投球方向に垂直、軸足膝は伸展位、体幹は後傾 しないように

コッキング初期

 ★両股関節・両肩関節の内旋が重要になります。

 ○軸足の股関節をキチンと内旋すると、
    骨盤の後傾 を防止し、足内側での蹴りだしが容易になります。
    その結果体重の移動が容易になり、体幹の前方への推進力が
    得られやすくなります。
 
 ○ステップ脚の股関節を内旋にすると、、
    ステップ脚の臀部が前方を向き重心が軸脚にしっかりと残こせるため
    骨盤・体幹の前方回旋(俗に言う身体の開き)を遅くすることができる。
    俗に言う投球時のタメができる状態が出来上がる。

 ○肩関節を内旋すると、
    肘の高さがあがり肩関節の水平伸展が防止できる。

ステップ脚のいずれかが着地する瞬間(Foot plant時)

 ステップの方向はキャッチャーの方向で、(軸足は投球方向と直角に置き、
 股関節内旋を意識すると、地面を蹴りだす方向が投球方向に向きステップ
 方向も直角になりやすい)
 直角投球側の肘の高さは両肩を結んだライン上付近で、肘関節の屈曲角は
 90度以上で、肩の過度な水平過伸展は避ける。
 肘の角度を90度以上にすることで(肩から指先までの距離が小さくなる。)
 慣性モーメントが小さく肩の傷害が少なくなります。

コッキング後期→加速期

 グローブ側の肘を適度に折りたたんで引き込み、体幹前方回旋を誘導し、
 投球側の肘関節内側でなく肘頭を先行させる。
 これが、投球側の「肘から腕を前に出せ!!」とアドバイスされる理由です。
 そのためにもグローブ側の動作が重要になります。
 グローブ側を意識する事により、投球側の上腕の肘の内側から腕が前に出で
 肘を中心として前腕がしなるように、体幹の回転と共に加速し肩甲骨をうまく
 外転します。 肘は下げない。

リリース時
 
 グローブの肘の引き込みにより体幹の充分な前方回旋と前倒しをする。

フォロースルー期
 
 体幹の前方回旋を急激に停止せず、前方回旋を継続する。
 同時に身体をシッカリ捻って力を逃がす。
 無理にブレーキをかけず、腕が身体にバチンと当たるまで振り抜く。

<まとめ>

 大切なホポイントは、

 ○両股関節の内旋と両肩関節の内旋を意識する事

 ○投球側の肘屈曲角度を90度以上にする事

 ○グローブ側の肘のたたみこみと、その後の引き込みを意識する事

 ○体幹は最後まで前方回旋を継続し

 ○投球側も止めないで振りぬく。


以上をポイントにして投球フォ−ムの見直してください。

投球フォ−ムの矯正はシャドーピッチングでおこなったり、タオルなどの

小道具を利用しておこなってください。

一連の投球動作を指導者が矯正のポイントをアドバイスしてください。

矯正は肩の負担が軽減し傷害の予防だけではなく、

パーフォーマンスの向上にもつながります。


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野球肩(Z)

今回は、肩の理学的検査法です。

野球肩に限らず、肩の疾患でも使用します。

1、肩の不安定性の検査

 ○Sulcus sign
  座位にして、上肢を内旋外旋中間位にして患者の肘と前腕を保持して
  下方に牽引する。
  下方への動揺性が存在する場合には、肩峰と上腕骨の間に陥凹ができる。

 ○Anterior apprehension tesut
  座位として患肢を90度外転やや水平伸展として過外旋を強要する。
  前方の不安定性があると不安感や疼痛が生じる。
  不安のために患肢をその位置にさせない事もある。

2、肩峰下病変を調べるテスト

 ○Painful ark sign 有痛弧徴候
  肩関節を自動運動で外転させると70〜120度の挙上域で疼痛が増強する。
  70度以下120度以上の挙上では疼痛は消失する。

 ○インピジメント徴候
   座位にして、検者はその後方に立つ。
   検者の片手で肩甲骨の回旋を押さえ、同時に患肢を他動的に挙上し、
   肩峰に衝突させ疼痛が生じるかどうかを調べる。

 ○Drop arm sign  ドロップアームサイン
   他動的に外転90度をとらせて、検者が手を離したとき患者はその肢位を
   保持できず患肢が下降する現象です。
   肩板断裂の初期、肩板広範囲断裂および腋窩神経麻痺など
 
3、上腕二頭筋長頭腱の検査
 
 ○Yargason testヤーガーソンテスト
  患者の肘を屈曲し、検者の抵抗に逆らって前腕を回外すると結節間溝部に
  痛みを生じる

 ○Speed test スピードテスト
  検者の抵抗に逆らって肘関節伸展位肩関節を屈曲すると結節間溝部に
  痛みを生じる


4、SLAP病変

 ○Crank test クランクテスト
  座位として肩甲骨面で環指を160度挙上、肘屈曲にして検者は一方の
  手で患肢の上腕骨軸に沿って軸圧を加え、もう一方の手で上腕骨に
  内外旋を加える。
  痛みを訴えれば陽性

 ○O‘Brien test
  患者の方を90度屈曲10〜15度水平内転位、肘伸展位として母指を
  下に向けた前腕回内位とする。
  この肢位で検者が下方へ降ろそうとする負荷をかけ、それに抵抗して
  挙上位を保持させる。
   次に手掌を上に向けた前腕回外位をとらせ同じ手技を行う。
  始めの手技で肩関節の内部にクリックや疼痛が誘発され、
  2番目の手技で症状が減弱すると陽性とします。


5、その他
    
   X線、CT、MRI、関節鏡、関節造影、筋電図検査など
 

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野球肩([)

治療とエクササイズ

治療はに準じてください。

<エクササイズ>

まずは、必ずインナーマッスルをシッカリと復帰させます。

基本は1週間ずつ項目を加えてください。
  
 1週目:棘下筋1あるいは棘下筋2
 2週目:肩甲下筋1あるいは肩甲下筋2を加える
 3週目:棘上筋を加える
 4週目:前鋸筋 あるいは前鋸筋を加える
 5週目:菱形筋あるいは菱形筋・肩甲挙筋を加える
 6週目:上腕二頭筋長頭 を加える

できれば朝、昼、夜 1セットを三回。

壊した部分で変化さすのは当然ですが、以上を基本に考慮してください。

インナーマッスルがシッカリしてこそのアウターマッスルです。

6週間経過すれば、さらに肩のアウターマッスルの運動を加えてください。

投球する際に必要な主なアウターマスウルを軽く加えていく。
この際もインナーマッスルのエクササイズは必ず実行します。

投球側の三角筋、広背筋、大臀筋、上腕三頭筋、僧帽筋、腹筋・腹斜筋など

 三角筋は前部・中部・後部線維で構成されています。
  前部線維:フロント・ショルダーーレイズ
  中部線維:ラテラ・ショルダーーレイズ
  後部線維:リア・ショルダーーレイズ

 広背筋:チニング

 大臀筋:バックキック

 上腕三頭筋:ディップ

 背筋と大臀筋:プローン・レッグレイズ
 
 腹筋腹斜筋:サポート・レッグレイズ

 その他
  前腕の屈筋群:グリッピング
  上腕二頭筋:コンセントレーションカール
  上半身の強化:ワンハンド・ダンベルローリング
  身体のバランスのため:ラテラル・バウンディング

当院では普通一般の傷害後のエクササイズ、予防のエクササイズを推奨
しているために筋力強化はあまりお勧めしていません。

野球の選手やアスリートの皆さんは、以上の筋力強化の方法の詳しい説明は
検索すれば簡単にわかります。 申し訳アリマセンがお調べください。

12週目の3ヶ月経過した時点からキャッチボールに入ります。

腱や靭帯あるいは筋ー筋膜の傷害の治癒過程において、

6週間と3ヶ月のいう目安はポイントになります。

焦らないでください。

ゴールはもうスグです


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野球肩(\)


ピッチング練習の基本

投球フォームを確認しながら、ゆっくりとしなやかな動きを意識して行う。

焦らず順序よく、一つの項目を1週間毎に更新してください。

調子が良いからといって飛ばさないように。

ただし、インナーマッスルのエクササイズは毎日つづける。

焦るな!!ゴールはスグソコです。


○キャッチボール1
 
 5〜20メートル間で約20分間程度行う。
 ゆっくりと、、柔らかく、身体全体を使いしなるような自然な動きを意識し、
 1週間のうち5日間気持ちよく投げる。
 投球時の痛みがあれば中止です。
 翌日になって、身体の局部的なハリが残らなければ、
 距離と時間はこの範囲内で延ばしていく。

○キャッチボール2
 
 5〜40メートル間で約30分間程度を上記のように行う。
 翌日になって、身体の局部的なハリが残らなければ、
 距離と時間はこの範囲内で延ばしていく。

○遠投1

 キャッチボール1の後
 40〜50メートル間で約20分間程度を行う。
 ゆっくりと、、柔らかく、身体全体を使いしなるような自然な動きを意識し、
 高さ10メートル以内の低い弾道で、できる限り回転数の多い球を、
 1週間のうち3日間気持ちよく投げる。
 ボールがノーバウンドで届かなければ、バウンドさせても良い。
 翌日になって、身体の局部的なハリが残らなければ良い。

○遠投2

 キャッチボール2の後
 40〜50メートル間で約30分間程度を上記と同様に行う。
 翌日になって、身体の局部的なハリが残らなければ良い。

いよいよマウンドに立っての投球です。

○ピッチング

○フリーバッティング登板

○シートバッティング登板

○ゲーム登板

基本を述べました。

コーチの指導、トレーナーの指導のもとで行ってください。


長かった野球肩はこれで終了します。
野球をしない人でも肩の傷害をお持ちの方々も今回のピッチング以外は参考にしてください。

次回は上肢の前腕にしようかとは思っていますが、未定です。
来週からゴールデンウィークに突入します。
2回ほど更新はお休みします。 平成20年4月26日

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