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<股関節>
股関節について
はじめに
最近は変形性○○症が多いですね。
その代表が変形性股関節症と変形性膝関節症です。
専門医はあなたは変形性○○症ですのでいずれは手術です。・・・・と言われます。
手術は非常に進歩していますし、簡単ですよ。・・・と
「負」の暗示にかかってしまいます。
もうダメ!! 治らない!! 何をしてもダメ!! 手術しか方法はない!!・・・・・・
このような潜在意識が埋め込まれます。
チョット待ってください。 本当にそうでしょうか?
あなたにとっては、本当にそうなんでしょうか?
確かに人工関節の手術の進歩が著しいです。
人工関節その物も、手術の方法も日進月歩に進んでいます。
手術紺も入院日数も少なくなり、リハビリも術後すぐに実施できるまで進んでいます。
したがって、確かに変形性○○症の人たちの何%は痛みに耐えきれなかったり、
(自発痛に耐えきれなくなり、多くは夜間の自発痛のために睡眠不足になった状態)
あるいは生活のクオリチィーの向上のために手術も否定しません。
しかし、思うに
多くの場合は、手術にいたるまでの状態になるまで、本当に治療行為を行ったのか?
特に変形性股関節症の多くの人は変形性膝関節症と診断された人よりも、
もっともっと早い段階で変形性股間症と診断された人の方が多いのはないでしょうか?
おそらく30~40才の頃に診断されていたのではないですか?
あるいはもっともっと早い段階に診断されていた人も多いのではないでしょうか?
手術までの段階まで10年以上経過している人が多いのではないのですか?
治療する側、治療される側の両者に対して疑問が残ります。
キチント対処すれば効果の上がると思っているのですが?
変形性股関節症を克服するお役にたてれば幸いです。
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股関節の構造
股関節を構成する骨は2種類
大腿骨頭・・・・ほぼ球状の形をした太ももの骨である大腿骨の頭
寛骨臼窩・・・腸骨・恥骨・坐骨(この3骨は思春期まではお互いに軟骨で結合され、
その軟骨の形がYに似ているので、この軟骨をY状軟骨とよんでいます)が
癒合した大きな陥没部。
球状の大腿骨頭の約三分の二が、深いおわん形をした寛骨臼窩にはまり込んでいます。
関節の種類としては、
二つの骨でつながった単関節であり、球関節の多軸性関節です。
肩関節も球関節ですが、肩甲骨の関節窩は寛骨臼窩に比較すると浅い。
可動域は肩関節の方が大きい。
肩関節や膝関節は複合関節になりますね。
股関節の関節構造としては肩関節や膝関節よりも単純な関節になります。
股関節は関節包に包まれています。
関節包外には4つの靭帯と関節包内には一つの靭帯が存在しています。
関節包外の4つの靭帯。
輪帯:大腿骨頚を取り巻く靭帯で股関節包の過度の伸展を制限します。
腸骨大腿靭帯:全身にある靭帯で最強の靭帯で、関節包の前面を補強します。
この靭帯単独でも350キロの牽引力に耐えることができる最強の靭帯。
過度の伸展および内転を制限します。
恥骨大腿靭帯:関節包を前面から補強し、大腿の外転を制限します。
坐骨大腿靭帯:関節包を後面から強めるとともに、大腿骨頭を寛骨臼に押しつける。
肩関節は靭帯による補強は小さいが、
股関節はこのように4つの靭帯によって非常に強く補強されています。
関節包内にある関節包内靭帯としては大腿骨頭靭帯があります。
大腿骨頭靭帯:大腿骨頭窩からおこり、関節滑膜におおわれて寛骨臼窩につく、
長さ3~3,5センチの三角柱状の靭帯で中に血管を導入しています。
この靭帯は45キロの負荷に耐える強度を持っていますが、
寛骨臼底の脂肪のクッションなあたりでうねっており、関節包外靭帯の
ように骨頭の固定の力仕事していません。
おもな役割は靭帯の中に大腿骨頭動脈を包みこんで、大腿骨頭への
動脈血液の供給の輸送路を確保しています。
関節としての構造は肩関節や膝関節のよりも単純であり、強力な靭帯に補強されている.。
そんな股関節の弱点とは?
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股関節の弱点
股関節を構成している大腿骨頭、大腿骨頚部には栄養血管が少ない。
股関節は関節包に囲まれていましたね。
股関節の大きな特徴として、
その関節包は大腿頚部の大部分を越えて大腿骨頚の遠位端についているため、
その範囲内には血管分布が少なく、骨頭と大腿骨頚に対する血液供給が少なくなりやすい。
つまり、
関節包の内面の滑膜が最も血液を必要とする大腿骨頭と大腿骨頚部を被ってしまい、
荷重のかかる大腿骨頭領域と大腿骨頚部(くびれの部分)が弱点となっています。
不幸にも、最も栄養が必要な部位の栄養血管が貧弱である結果となっている。
この荷重のかかる骨領域における血管は大きな血管ではなく、
大腿深動脈から分かれた内側大腿回旋動脈と外側大腿回旋動脈の枝から
栄養が供給されています。
そしてこの血管の枝は、他の動脈の補充はなくしかも表在性に位置しています。
その結果、
二本足歩行である人間は、体重の5.2~5.6倍の荷重をうけ耐えなければならない
大腿骨頭部と頚部には酸素や骨の構造維持に必要な栄養がが多くいるのにもかかわらず
非常に貧弱な血管しかないため傷害された場合に回復しずらい。これは大きな弱点です。
これらの血管の枝は、
大腿骨の骨頭の発達に関連する骨頭の骨核の栄養血管でもあるのです。
この血管枝のみが骨端核に栄養を与えているのです。
つまり乳児、幼児、思春期の股関節は非常に虚弱な血管系を持っているといえます。
また大腿骨頭動脈という専用の血液輸送路は余分にもっています。・・・・・・・が
この動脈は20~30歳未満ではほとんど役に立っていません。
股関節はこのような弱点を持っているため、
高齢者に多い大腿骨頭頚部骨折や先天性股関節脱臼の整復後の経過は、
これらの血液補給がうまくいっているかどうかにかかっているといわれています。
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股関節の成長について
○大腿骨頭の成長・発育
一般的な長管骨の成長・発育の仕方
骨は、まず軟骨で形がつくられ軟骨のまま成長するのですが、
その一方では
軟骨の一部分に骨に変わって成長・発育する骨核ができます。
そして順次発育成長して、長管骨に変化していくのです。
骨の成長・発育は骨幹部と骨端は骨化していきますが、関節面の部分は、
関節機能を担うので、軟骨のまま温存され成長していきます。
つまり、関節を構成する関節頭と関節窩は終始軟骨のままで骨になることなく、
成長・発育していくのです。
さて、以上を大腿骨に当てはめてください、
大腿骨の骨頭の核は3~6か月の間に出現します。
そして増大し骨頭のほぼ全体を占めるようになります。 成人では軟骨部分は関節軟骨のみになります
発達は様々に因子により決定されるとされています。
発育プログラムに組み込まれた遺伝や代謝や内分泌などがありますが、
正常であれば力学的な要因が最も重要だと言われています。
股関節に限らず一般的に、骨の成長・発達には力学的影響が大きいのです。
骨頭が寛骨臼の中で転がりながら滑走しながら運動するときには、
大腿骨頭に対して求心位に圧縮応力がかかります。
大腿骨頭の成長・発達には
大腿骨頭にかかる圧縮応力が均一・均等である事が理想です。
そのためには、大腿骨頭の球状の部分がぴったりと合うように寛骨臼の中心に保持され
位置することが理想的に骨頭が球状に発達することになります。
変形性股関節症の原因である先天性脱臼はまさに骨頭が寛骨臼の中心に
保持されていない状態です。
つまり、求心的位置になく骨頭が不規則に発達し、成人においては球形でなくなのです。
必然的に大腿骨頭の扁平化が進行する結果となります。
レントゲン状では骨頭の短軸と長軸との比率を骨頭扁平率として計測したりします。
変形性股関節に進行する大きな原因です。
ではなぜ先天性股関節脱臼が多いのか?
新生児においては、
股関節は非常に浅い状態で包み込まれているのです。
そのために、大腿骨頭が寛骨臼から外れやすいのです。
新生児の股関節の特徴として、
○寛骨臼が非常に浅い。(レントゲン状では臼蓋角が大きい)
○大腿骨頚部の傾斜が強い。(レントゲン状では頚体角が大きい)
○大腿骨頚部前捻が大きい。
以上の特徴は、特別異常ではないのです。
これらは、年齢とともに正常に成長・発育するのですね。
ただもし、成長・発達が不充分であれば、
モチロン変形性股関節症に移行してしまう大きな原因になります。
順次述べていきますね。
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○寛骨臼の発育と成長
小児の寛骨臼は浅い。
寛骨臼は成人になると深くなります。
X線上で臼蓋の発育を知る指標となる数値(x線パラメーター)には様々な方法があります
○臼蓋角
臼蓋外上縁(臼蓋嘴)と、Y軟骨外上部とを結ぶ直線と、両側のY軟骨を結ぶ線
(Hilgenreiner線))とのなす角度を臼蓋角といい、臼蓋発育の目安となります。
<正常値> 男児20~25度 女児25~30度
新生児において20度~30度
5か月で20度
4歳児において臼蓋は下降しほぼ成人と同じ10度になります。
正常ではこのように非常に早い時期に深くなります。
このように寛骨臼は深くなり増大して、大腿骨頭は十分に包みこまれます。
新生児において臼蓋角が正常値より大きい場合を臼蓋形成不全といいます。
非常に浅い寛骨臼が、より浅い状態になっているのです。
ただでさえ脱臼し易い状態の大腿骨頭がより、脱臼し易くなります。
また大腿骨頭の運動の圧縮応力がうまく伝わらない原因にもなりますね。
二次性変形性股関節症の大きな原因となってしまいます。
また、
臼蓋角の発育・成長が不十分な場合も結局、臼蓋形成不全になりますね。
このように、寛骨臼の臼蓋の形成の状態は非常に重要なのです。
そのほかに、臼蓋の形態の指標となる数値(X線パラメーター)として、有名なのは、
○CE角(central-edge angle):臼蓋と骨頭との相対的な位置関係を示す指標
大腿骨頭中心と臼蓋外上縁(臼蓋嘴)を結ぶ線と、垂直線のなす角度をいいます。
<正常値>
成人 25度以上。
20度未満が臼蓋不全とされてます。
このCE角の計測は、変形性股関節症の進展予測を行うのに意義があります。
CE角10度未満の症例では進行例が多く認められた。
CE角10度以上では進行せずに、前期変形性股関節症でとどまっていた。
CE角20度以上では関節症の進展が認められなかった。
以上の報告などもあります。
とにかく、CE角を調べることは今後のために必要です。
反面、変形性股関節症が進行してしまい、骨棘形成や骨頭変形が進行してしまった
状態では、あまり意味がないとされています。
○Shrp角:臼蓋の形態を表す指標
Y軟骨消失後の臼蓋の傾きは、Sharp角で表します。
臼蓋外上縁(臼蓋嘴)と涙痕(tear drop)を結ぶ線が、左右の涙痕を結ぶ線となす角度です。
<正常値>
14歳以上 33度~38度
40~45度以上で臼蓋形成不全とされています。
日本においてはほとんどが二次性変形性股関節症だと言われています。
臼蓋形成不全は、二次性変形性膝関節の大きな原因です。
つまり、
この寛骨臼の発達は将来の股関節の機能においてきわめて重要です。
発達成長の要因は?
これも大腿骨頭の成長・発達と同じです。
正常な圧縮応力は、傾いて浅い臼蓋の周辺部により大きくなります。
つまり周辺部においての発達は中心部より大きくなるのです。
正常な圧縮応力が伝わることで自然に臼蓋が下降し深くなります。
つまり臼蓋角が増大してきます。
その時に重要な要因として股関節が外旋位にあることが重要です。
股関節が外旋位にあれば、その応力が骨の増大を形態的に最も良い方向に導きます。
反対に、もし内旋位にあれば、非常に不都合で、発達は障害される。
新生児において正しいオムツのしかた。・・・・・重要です!!
新生児におけるお母さんのオンブのしかた・・・・重要です!!
新生児がハイハイから順次二本足の直立歩行になる過程・・・・・重要です!!
正常な股関節の構造に臼蓋の傾斜の角度は非常に重要な要素になるわけです。
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○寛骨臼の発育と成長
申し訳ありませんでした。
前回、臼蓋形成不全において
寛骨臼の発育と成長で重要なX線パラメーターで重要な臼蓋傾斜角(TE角)を
記載していませんでした。 是非、前回と合わせてお読みください。
○臼蓋傾斜角(TE角)
臼蓋と臼底との境(T点)を通る水平線とT点と臼蓋嘴を結んだ線との角度。
臼蓋荷重部の水平面に対する角度になります。
<成人での正常値> 0~6度 平均値は10度
臼蓋傾斜角が大きいと、荷重時に骨頭が上外方に亜脱臼していく力が働いてしまいます。
このように正常な股関節の構造には臼蓋の傾斜は非常に重要な要素なのです。
簡単に知るためにレントゲン学的検査X線パラメーターとしてCE角、TH角、シャープ角は
成人の股関節の病態分析としてよく使用されています。
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大腿骨頚部の発育と成長
<1、頚体角の減少>
大腿骨頭については説明していますので、今回は
大腿骨の頚部の発育と成長について重要な要素は二つあります。
1、大腿骨の頚体角
頚体角とは?
大腿骨の骨幹部(体部の中心軸)と大腿骨頚部(大腿頚部の中心軸)とのなす角度。
大腿骨の頚部の傾斜のことです。
<正常値>
新生児 145度
5歳 135~145度
10歳 130~140度
成人 125~135度
新生児は頚体角が大きく、大腿骨の頚部は上前方に傾いています。
そして、成長とともにこの頚体角が減少していくのです。
新生児は、骨盤の寛骨臼における浅い臼蓋(大きい臼蓋角)に加えて、
大腿骨の頚部が上前方に傾いている(大きい頚体角)のですね。
つまり頚体角や臼蓋の傾斜のわずかな傾斜の増加が脱臼を助長し易くなります。
新生児の股関節は本当に不安定なことが理解出来ます。
股関節が安定するには、成長して力学的に安定しなければいけません。
臼蓋の減少→浅い臼蓋が深くなり、加えて頚部の減少が必要になります。
では、どのようにしてして発達・成長するのでしょうか?
この場合は、発達成長は頚体角の減少ですね。
大腿骨頭と臼蓋の発育成長には圧縮応力が重要因子でしたね。
この頚体角の減少という発育・成長も同様に圧縮応力が重要です。
新生児の大腿骨の上端は軟骨の塊であり、中心部や頚部内にまで上昇した、
骨幹核と骨頭核が存在します。
この骨頭核が力学的な圧縮応力をうけて大腿骨頭になります。
大腿骨頭を正常な球体に発達させ、(大腿骨頭の発育・成長)
同時に浅い臼蓋を深く発育・成長させる臼蓋角の減少に働き、
大腿骨頚部にたいしては、
同時に大腿骨頚部の垂直化をひきおこします。(大腿骨頚部の発育・成長の一要因)
また同時に、歩行開始時には、外転筋群が働きます。
これが、もう一つ大腿骨頚部の発育・成長に必要な要因になるのです。
筋力による張力応力です。 引っ張り力ですね。
筋群が付着している大腿骨の大転子塊に張力応力が作用して、転子部骨核の
出現がし増大してくるのです。
この大転子方向に働く張力応力は、大腿骨頚部の水平化をひきおこします。
大腿骨頚部は歩行開始に従い、垂直化と水平化をひきおこし発育・成長します。
このようにして、大腿骨頚部の傾斜がしだいに減少しつつ矯正されていくのです。
正常な股関節の構造に大腿骨頚部の頚体角は重要な要素になります。
次回は大腿骨の頚部のねじれである前捻角について、
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大腿骨頚部の発育と成長
<2、前捻角の減少>
前捻角とは?
頚部軸を膝通る水平面に投影すると、膝の屈曲軸が前額面にあるとき
頚部軸は前内方に傾いています。
このように
大腿骨頸部軸は、骨幹部前額面より通常前方にねじれています。
この頚部軸と体部軸とのねじれの角度が前捻角です。
この角度が大きい→大腿骨頭が前方に向く→前方に脱臼し易い
この角度が小さい→大腿骨頭が内方に向く→骨盤内方に向く→求心位に保てる。
<正常値>
前捻角は40度
新生児 15°~57°(平均32°)
1~3歳 20°~50°(平均34°)
成人 平均12°~15°
新生児では前捻が強く、成長と共に減少していきます。
これは、
胎児の肢位では股関節が屈曲位にあるので、母体内においては
この大きい前捻角は大腿骨頭を求心位に保つことができるためです。
ただし生後は、大きく前方に捻じれた大腿骨頭が、股関節の伸展位へ移行します。
もし、この大腿骨頭の捻じれが、そのままの状態のであれば大腿骨頭は
常に非常に前方に脱臼し易い状態におかれるのです。
前捻が減少することは骨頭をより求心位に保ち、関節の発達を正常に促進します。
股関節の構造で大腿骨頚部の捻じれ:頚部角が減少することは非常に重要です。
さてこれらの発達に必要な要素は、
新生児の大腿骨頭の前方脱臼は腸骨大腿靭帯の緊張が大きな役目となっています。
この腸骨大腿靭帯の緊張は前捻を矯正させ、大腿を内旋させます。
これは筋の作用によるものとされているのですが、本当の理由はまだ分かっていません。
以上のように
大腿骨頚部の前捻角の減少は股関節にとって非常に重要です。
<まとめ>
大腿骨の頚部角、大腿骨前捻角、臼蓋の傾斜の増減が脱臼を助長することになり、
結局は、大腿骨の頭部が正常に発育・成長につながります。
これら臼蓋・大腿骨頚部の発育・成長は正常な股関節の構造に重要です。
変形性股関節症に移行する大き原因になります。
これらは二次性変形性股関節症の大きな原因となるのです。
そして、股関節の弱点は知っておいてください。
変形性股関節症に限らず、すべての股関節の疾患に重要です。
次回は項を改めて変形性股関節症について
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